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マインドマップを作文指導に使わない方がいい理由を解説(7/21追記)

この記事、元々は「マインドマップは小中学生の作文指導に有効か?」というタイトルで下書き保存していました。読み返してみると、わたしが主宰する作文教室では指導に使っていない理由を力説してるなぁ、と思ったので、改題です。

作文教室の先生でも、こうなのよ。
みんなもっと気楽に書き直したち修正したりしましょ!


マインドマップとは?

本来のマインドマップは、世間でカジュアルに使われているものとだいぶ違うといいます。考案したのは、イギリスの著述家・教育者のトニー・ブザン氏。脳の自然な働きを最大限に引き出す思考の表現として編み出されました。(マインドマップは日本語での商標登録もされているそうですよ)

今では広く、自己啓発やビジネスにも使われるようになりました。


作文を書くメソッドの一つとしても用いられています。マインドマップが使える子はどんどん使っていいと思うのです。でも、実際は使えていない子もとても多くて。なぜ?

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マインドマップで思考が混乱する???

はてなを3つ並べるのは、まちか先生の好みです(どうでもいい情報です)。でもここから先は大事なので読み飛ばさないでね。

最初に書いておきたいのは、マインドマップの是非を問いたいわけじゃないということ。あくまでも、実践で子ども達に作文の書き方を教える時、マインドマップはツールとして使いやすいか?というお話なのです。一斉指導するツールとして、という前提です。

どう思われますか?

ちなみに、ということで、まちか先生の個人的な感想ですが……。マインドマップは、ビジネスシーンで企画立案するときなどアイデア出しの場面でとてもお世話になっております。自分ひとりでやるときも、じっと考えていたら出てこなかったようなワードがぽこぽこと引き出されるし。複数人でブレストするようなときも、思いがけない方向にアイデアが広がってとても有意義なんですよね。

しかしながら、です。作文教室では「何を書くか?」「どう書くか?」を構成するときにマインドマップは使いません。

メソッドとして教材に取り入れていません。(わたしはマインドマップを指導するライセンスを持っていないというのもあります)

よくあるケースなのだけど、作文のためにって自分で頑張って書いて持って来たマインドマップに、書くとき振り回されちゃってる子ども達がいて…。あまりにもたくさん見てきたので、一度ちゃんと記事にしておこうかなと思いました。

子ども達が書きづらそうにしている点は次の4つ。

  • 時系列がわかりにくい

  • 項目別にまとまっていない

  • ぜんぶ書かなくちゃの呪い

  • 事実、感情、説明などの要素が足りない

1つずつ見ていきましょう。

→時系列が分かりにくい

思いつくまま紙にメモしていくので、マップの枝について、どれが先でどれが後なのか分かりにくくなります。

一例として「ピアノの発表会」をあげますね。練習の枝に書いた「ここは間違いやすいから本番で気をつけようと思った」ことと、本番の枝が違うので、「そのことに気をつけて演奏したら成功した」という因果関係があるのに、それらを結びつけて作文に書くのが大変になってしまうのです。

マップのあっちとこっちを自分の頭の中で切り貼りしなくちゃいけないもんね。

これは大人でも難しいと思うなぁ、まちか先生は。何のためのメモだってなりますよね。印をつけたりしてまとめる方法もあるかもしれませんが…。

→項目別にまとまっていない

ここでは、「夏休みの思い出」を取り上げます。

真ん中に主題の「夏休みの思い出」と書いたとします。で、素直な気持ちで、線をぴーっと引いて「楽しかった」と書いたとします。そしたらそこに、キャンプ、プール、虫取り、花火、っていう感じにたくさん羅列してくれるんですよね。1つの旅行での出来事ではなく、個別の思い出だったりします。

おっとっと。たくさんあるのはいいことだけれど。ほめたい!ほめたいのに!というジレンマ。

幹を作るのも技術がいると思うわけです。いや、書き出したものを集約する方に技術がいるのかも。もしくは、指導する側にツールを使いこなす技術がいる。わたしはマインドマップの伝道師ではないので、そこをナビゲートすることはできません。自由な発想はそのまま生かしてあげたいと思いつつ……。力量がなく申し訳ない。

自由な発想をするためのマインドマップがとっちらかる原因になってしまっては、もったいないなって思います。マインドマップで作文を書くなら、マインドマップをきちんと教えられる指導者の下でやる方が良いでしょう。

→ぜんぶ書かなくちゃの呪い

まちか先生は、ここが一番のネックだと思っています。

自由にたくさん枝葉を伸ばして書いてくれたマインドマップ。すごいね!すてきだね!と心から拍手です。

さあ、段落構成を考えようってなったとき、マインドマップで書き出したものをぜんぶ作文に盛り込みたいって気持ちが出てきてしまうみたい。

まちか先生は編集ライターの仕事を長年しているので、取捨選択…思いきって削ぎ落とすことの大切さも身に染みているのですが、作文教室の子ども達にそんなライティングスキルがどうのこうのって話なんて関係ありません。

ぜんぶ書きたい!(そうだよねー)
ぜんぶ書かなきゃ!(まてまて)
ぜんぶ書けない……(落ち込まなくていいのよー)

書く楽しさを味わってほしいのに、書けない悲しみに凹んでる顔を見るのはつらいです。

→事実、感情、説明などの要素が足りない

これはですね、仕方のないことだと思います。

思いつくままに枝葉(メモ)を茂らせることができた、それはとても素敵だけど、それだけでは「文章」を作るには要素が足りないのです。

そのときの状況とか、そのときどう感じたかとか、周囲の様子をどんなふうに五感で表すかとか……。マインドマップで本人次第に(自分の脳みそ頼みで)メモしていたら思いつかないことも出てきます。

大人だったら、文章にするタイミングで付け足すのも可能かもしれないけどね。小中学生向けの作文教室では、出来るだけ負担なく文章化する方法を身に付けてほしいから。

作文の構成にマインドマップを使うとしたら

ここからは、仮にマインドマップを作文に使うとしたら、子ども本人&おうちの人の声かけで心がけると楽になるポイントをピックアップします。試してみてね!

苦手別★解決策 時系列

思いつくまま書いてしまうと、時間の流れを整理するのが難しい場合は、「事前」「出来事までの流れ」「メインの出来事」「事後」というふうに、時間帯ごとに分けて、メモするように声かけしましょう。

苦手別★解決策 項目を絞る

何を書こうか考えたときに、あれこれもと考えが飛んでしまう場合は、思い出すためのスイッチを設けます。写真や動画を見返したり、当日使った道具(プログラムや持参品)などを見ながら、親や先生とまずはおしゃべり。いちばん楽しくお話できたことを中心に書くとスムーズですよ◎

苦手別★解決策 どこまで書いたらいいか分からない

思いついたことをぜんぶ書きたい! そういう子、結構多いです。そういうときは「いちばん頑張ったこと」(感情)や、「いちばん時間かけたこと」(物理)というふうに、声かけする大人がアドバイスの一環として”縛り”を設けてあげることで、まとまりやすくなります。

苦手別★解決策 要素(説明)が物足りない

自然に任せて思いついた言葉だけで作文を書くと、どうしても物足りないものになってしまいます。これは子どもだけでなく大人もそうですよね。では、何が足りないか、何を足せばいいか、迷った時は次のように声かけしてみてはいかがでしょうか。「行事案内のプリントに書いてあるような説明を入れてみよう(概要)」「その時の気持ちを体の動きで表してみると?(感情)」「どういう意味があるのかな?(着地)」など、足りない要素につながる質問を通して、要素を補完します。

この記事を読まれた方のnoteをご紹介

この記事へご反応いただきとっても嬉しいです。わたし、noteの楽しいところってこういうかたちの交流だと思うんですよね。

SOさんの記事です。マインドマップを使いこなしていらっしゃるSOさんのご意見とても学びが多かったです。

今はデジタルツールでのマインドマップも可能であること。編集機能によって紙ではできなかった・やりにくかった「整える」プロセスも楽にやれること。SOさんの記事で知ることができました。ありがとうございました。

KojiDoiさんの記事です。読み応えあります。

マインドマップはツールの1つなのに、ツールを使いこなせずに悩むのは本末転倒だというご主張にとても共感しました。ご紹介されていた「ノンストップライティング」に興味を持ったので、わたしもやってみたいと思います!

まとめ

マインドマップは、自由な発想で思索を広げたり深めたりできる素敵なツールです。しかし、思考力などが成長過程にある子ども達にとっては、その自由すぎる発想と、それを取りまとめる力がアンバランスで、上手く使いこなすのは至難の業です

マインドマップを作文ツールに使うときは、個別での声かけが必要になると思います。向き不向きもありますので、一斉指導には適していないというのが個人的な考えです。どちらかというと、書くことが好きであれこれ考えること自体を楽しめるタイプの子どもに向いていると感じています。

マインドマップを作文指導に使っていない理由を上げるつもりが、もしマインドマップを作文指導に使うならここに気をつけて!というお節介な記事になってしまいました。

もしマインドマップを使いたいなら、いちばん良いのはライセンスを持っている人に習うことだと思います。言い換えると、マインドマップを使いこなせない指導者が安易に手を出したら危ないんじゃないかなとも思うのです。

だからわたしは自分の作文教室では取り入れていません。自らマインドマップやってみて困ってる子には、そのマップから読み取れる「つまづき」を元に、そこから一旦離れて作文を書くという指導をしています。

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