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作文と小論文の違いってなに?

久しぶりの「まちか先生の作文アドバイス」シリーズです。夏休みの間は読書感想文などの宿題お助け記事を連日アップしてたから、この記事を書きながら”ようやく日常が戻ってきた感じがするな”と思ったまちか先生です(*^-^*)

本当は、この記事を「作文って話し言葉で書いてもいいの?」というタイトルで準備していました。いいかどうかをお伝えするには、作文と小論文の違いに触れた方が分かりやすいなと思ったので、このタイトルに変更してお届けします。

よくある質問「作文って話し言葉で書いてもいいの?」ですが、結論からいうと、「作文なら好きにしていいよ!」です。

え。作文なら?
作文ならって?
本当はダメだったりする?

そこの含みを感じ取ってくださってありがとうございます。今日はそういうテーマでお話したいなと思っているのです。

noteには、小論文を教えてらっしゃる素敵な先生たちがいます。皆さん熱量がすごくて、note記事・WEB記事が授業そのものという充実ぶり。ぜひ読んでいただきたい先生たちをご紹介しながら、作文と小論文の違いについて触れていきたいと思います。

「作文」を初めて書いたのは小学校の宿題でしたという人がほとんどですよね。それと同じくらい、たいていの場合「小論文」は受験(入試)で必要だから書いたという人が多いのではないでしょうか。

頑張って書いたのに添削がいっぱい入った!
赤文字を読んでみたら「そんなの知らない」ってことばっかり。
作文は得意だったのに自信がなくなりました……

実際に生徒さん達から相談されるお悩みです。わたしは作文の先生なので。だから言います「そうだね、作文と小論文は違うからね。大丈夫、ポイントを押さえれば小論文”も”書けるようになるよ!」

▶言葉遣い・表記の問題

〆野先生の「文章作成の基本」シリーズは必見です。小論文対策本でもここまで丁寧に解説してあることないんじゃないかなってくらい、言葉遣いと表記について論理的に解説してあるnote記事です。

最新のnote記事です。これ大事。自己推薦のように前もって書いて提出する場合はスルーしてしまいがちですが、入試科目に小論文がある場合、入試当日の試験時間中に極度の緊張のなかで「あれ、これどうやって書くんだっけ?」と迷いが出たらわりとパニくりますよ。平常時にしっかり自分のものにしておきたいですよね。

小論文って、敬遠される傾向にあるのですが、受験勉強するならある程度は本腰入れてやった方がいい。その理由は、ただひとつ。小「論文」という名の通り、大学進学後には文理を問わず必然的に論文を書く機会が爆増するからです。レポートもそうです。

小論文は受験とともに終わりますが、その先は論文です。

小論文めんどくせぇって気持ちも分かるのですが、当然のように求められるライティングスキルなので、自分のための学びだと思って取り組んでもらえたらいいなと思っています。

▶書き始めるまでの思考過程

「書き方が分からない!」という子に、「どう書きたいの?」と聞き返すと、「えっ……」と黙ってしまうことも。別にいじわるで言っているわけではなく、書きたいことを書くお手伝いをしようと思っての声かけなのですが、子ども達の気持ちと違っていることって多々あります。

よくよく聞いてみると、書き方の問題ではなく本音は「自分の考えが分からない」「言いたいことがまとまらない」なんですよね。わかるわかる。すごくわかる。自分の考えをつかまえるって、けっこう大変だもんね。

小論文、テーマ作文は、書きたいことが自分のなかに固まってないと書けません。

課題を理解し、どう解釈するか。書き始める前にやっておくべきことを教えてくれるのが古澤先生です。思考の整理をめちゃめちゃ丁寧に解説してくれます。

まちか先生(わたし)的に、テーマ型の作文っていうのは、作文から小論文へステップアップしていく流れだと捉えています。作文的なゆるさと、小論文的アプローチがミックスされている。コンテストの受賞作を眺めていてもそうですね。

本気モードの古澤先生の熱量はすごくて、スマホ世代の子ども達には動画の方が見られるからと解説アニメまで独自に作られたんですよ、今夏。真似できないパッション……。

小論文指導といえば、「添削指導」に偏りすぎているのが、わたしはとても心配なのです。うまく書けない子は、書き始める前につまづいている。そこを支えて、持ち上げるのがなによりの方法だと思うのです。

これはわたしがひと月前にアップした記事です。「どう書くか」の前に「何を書くか」を整理するのをお手伝いしたくて記事にしました。

特に書くのが苦手な子(と保護者さん)は、塾などを選ぶ際、”書く前の段階”を重視している作文コース・小論文コースを選ぶと劇的な変化を感じられると思います。

▶文章構成の方法論と答案作成法

コタニ先生は、医系予備校などで小論文・面接などを指導されている先生です。noteでお見かけしたとき、びっくりしました。ここまできめ細かく教えることがnoteで可能なんだなと。

医学部・歯学部・獣医学部を志望する受験生の皆さん、過去問(問題集)で解答例が省略されがちな小論文ですが、答案作成法から解答例まで掲載されているコタニ先生のnote記事をチェック!

有料記事の値付けも、わたしが自分の有料記事について考えていることに近くて、すごく共感しました。

このnoteでは、ふだん授業で話している内容に比較的近い講義を行うつもりです。これを無料で提供するのは、僕の講義を受講している生徒さんに申し訳ないと思うからです。

第0講:自己紹介とか講座の目的とか・・・

小論文は「論文」なので、ブレない方法論が存在します。自分で考えたこと、見聞きしたことを、意見として伝える技術です。一生必要とされるスキルです。解答にある例文を真似して書けばそれなりに点取れるっしょ、みたいな行き当たりばったりはもったいない!

でも、その方法論を教えてもらえる場所って意外と少ないんですよね……。

都市部以外では、高校どころか予備校でも小論文のレギュラー授業なんて存在しないことがありえるわけで。そして、高校や予備校で小論文の授業や講座が存在したとしても、小論文と作文の切り分けをきちんとせずに、あいまいな「文章作成講座」みたいになっていることも多いんです。次回の講座でお話ししますが、小「論文」っていってるのに、「作文」と混同してしまっている人が教える側にかなり多い。

第0講:自己紹介とか講座の目的とか・・・

本当にそう思います。小学校中学校で作文に親しんで、高校では小論文をしっかり教える流れができたらいいのですが…。

▶作文と小論文の違い

ざっくりいうと、「気持ち」を書くのが作文、「意見」を書くのが小論文です。つっこんでいうと、小論文に「気持ち」はいらないのです。わたしはこのギャップを小論文ショックと個人的に呼んでいますが、もしかして他にもそう呼んでいる人がいるかも!?と今WEB検索したけどゼロでした(笑)

仲良く楽しく元気いっぱいに通っていたスポーツクラブで、いきなり本格的な試合に出るように言われ「何やってんだ、攻めろ、守れ、点を取れ!」と叱咤されるようなもの。

「思ったまま書けばいい」って言われてきたのに!
→それは作文ね。

なんでダメなんですか、作文上手だねって言われてきたんですが!
→作文、すごく上手だったんだね。

繰り返しますが、意地悪で言ってるわけではないんです。別物なんです。別物だと教えていない、教える側の問題でもあります。

高校生が書く小論文、大学生が書くレポートや卒論、はたまた社会人が仕事で作成する文章などを見ていて、感じることがあります。SNSで議論が成り立たずにグダグダになっているのを眺めていても思います。

感情と意見が混ざってる。そこを分けられていないから、相手に伝わらないんです。(ちゃんと書いたところで、受け取る側が混ぜて受け取ると「お気持ち表明」と揶揄されたりしますけど)(なかには意見風に見えるけど実はお気持ちだけ叫んでいるものもあるから、むずかしいね)

言葉の発達の階段

人間は成長するにつれて言葉を使いこなすようになります。生まれたばかりの赤ちゃんに話せといっても無理ですよね。それと同じように、小学生におしゃべりできるんだから書けるでしょというのも、実はちょっと難しかったりもするのです。

話す→読む→書く→考える(推測など)

こういう段階を踏んで言葉は発達していくといわれています。わたしが大学時代に学んでとても印象的だったのは、「それぞれの段階には数年の開きがある」という教育学部の教授の言葉がでした。

ひらがなを覚えたのに本を読まない→音韻認識と文章の把握は別。数年待ってあげて。
話すのは出来るのに文章を書けない→文字を書くのに精いっぱいなのかも
けっこう鋭いこと言うのに作文は全然で→思考回路に手が追い付いてないだけ。

具体的にあげると、子育て中の「なんで?」「どうして?」あるあるばっかりですよね。今年の夏休みに完璧な作文が書けなくてもいいじゃないですか。一緒に取り組んだって思い出が力になって、次の学年に上がったら急に書き始めるかもしれませんよ♡

読書感想文をサポートする親が気をつけるポイントは5つ

引用が長くなりました。

言葉の発達は段階的です。「聞いて理解できる→口に出すことができる」「話すことができる→書くことができる」これらに数年の時間差があることは、保護者さんなら子どもの育ちを見ていて実感されるのではないでしょうか。

思考力の後を追うかたちで作文力は育っていきます。言い換えると、自分が考えていること以上のものはアウトプットできないし、作文力を鍛えないと考えていることと言うこと書くことがかけ離れたままで、いつまでも幼い表現にとどまってしまうのです。

10代後半って、ようやく書く力が備わってきたり、書いて表現したい欲が出てくる頃。それまで作文をあまり書いてこなかった子に多く見られるのですが、「自分の気持ちを分かってほしい」という衝動があふれちゃうんですよね。逆に「作文上手な自分」に固執していると、その書き方で小論文もなんとかしようとしてしまいがち。

小論文を書く学齢になってその調子だと、「そういうのは作文で卒業しておこうよ」となってしまうわけです。

子ども達が、作文は作文、小論文は小論文として、適切なタイミングでそれぞれをしっかり学ぶ機会が持てたらいいなと思います。

作文って話し言葉で書いてもいいの?

最初の話題に戻ります。

作文と小論文の違い、最初の一歩としてお伝えしているのがこのこと。作文は話し言葉で書いてもOKです。小学一年生で書いたことある人も多い「先生あのね」から始まる作文。おしゃべりするように書くことで、スラスラ書き進められる取り組みですね。作文はそれで良いのです。

少し学年が上がると、読書感想文の書き出しを印象的にするために「×××って聞いたことありますか?」などと語りかける方法で書いてみる子も出てきます。これもOK。作文の工夫です。

作文を話し言葉で書くメリットは、指導者によって捉え方が違ったりします。「日常的に使っている言葉だから子どもでも書きやすい」「親近感があり読みやすい」などが多いかな。

まちか先生は、それらに加えてもう1つ大きなメリットがあると思っています。それは、作文に何を書くかを頭のなかでまとめるとき、会話(対話)が役に立つからです。

質問が子どもの言葉を引き出す

世の中には読書感想文の書き方についての本がたくさんあります。それなのに「読書感想文が書けない……」と悩む子は減りません。”読書感想文に書くネタ10個”とまちか先生は教えているように、読書感想文に書く要素って決まっているようなものなのです。普遍的っていってもいいかもしれません。

しかし、書くネタのリストを子どもさんに渡して、「これで書いたらいいんだって」と伝えても、「分かったー!」「書けたー!」とはなかなかなりませんよね。

そこで試してほしいのが、親が子どもにインタビューするかたちで聞き取りすること。びっくりするくらい、子どもはいろんなことをはなしてくれますよ。これがそのまま読書感想文になっていくんです。

読書感想文をサポートする親が気をつけるポイントは5つ

子どもは会話(対話)を通して考えを深めていきます。質問に答えようと、自分の頭のなかに思い浮かんだことを言葉にしていくんですね。一人で「うーん」と考えていただけでは出てこなかった表現が口から出てきたりします。

さっきの読書感想文の例だと、親子で作文に取り組むので分かりやすくインタビューだと説明しています。たとえばこれが、意見文だと「違う意見もあるよね?反論されたらどう答える?」というふうに声をかけてあげる壁打ち役がいると、子どもは自分の考えをまとめやすいのです。

作文が話し言葉でもOKな理由、作文が「思ったままを書いていい」と言われる理由は、ここにあるとまちか先生は考えています。子どもが頭に思い浮かんだことを、目の前にいる相手に向かって言語化するトレーニングが作文だからです。作文の宿題も、提出する相手は担任の先生です。読み手が想定できます。

もう少し大きくなって、中学生高校生くらいになると、目の前に誰もいなくても自分の頭のなかで考えを深めていけるようになります。言語化のその先です。事実と感情を分ける、考えを意見というかたちにする。小論文の入り口に立っている感じがしますね。

生徒さんや保護者さんから、作文教室でよく質問されるTOP3をご紹介して、この記事のまとめとしたいと思います。

Q「何年生まで話し言葉で書いていいですか」

A「その子にもよりますが、作文のなかでパパママじゃなくお父さんお母さんもしくは父母を使い始める頃から、書き言葉を意識すると子どもも納得しやすいと思います。”とか→など”、”なんで→なぜ”、”すごく→たいへん”といった、よく使う表現から教えてあげてください」

Q「自分の気持ちと自分の意見の違いがわかりません」

A「そのとき感じた素直な思いは、大切にしていいんだよ。作文は自分のために書くけれど、あなたの気持ちを汲み取りながら読んでくれる人がいる。そこが書く楽しさでもあるんじゃないかな。一方で、意見は提案するものなんだ。伝えたい相手が納得してくれるように理由を添える必要があるよ。気持ちには理由はいらないけれど、意見には理由がいる。ざっくりいうとそんな感じかな!もっというとね、あなたの意見を支えているのがあなたの気持ちなんだよ」

Q「作文は必要ですか?何歳から始めればいいですか?」

A「文字を書けることと作文を書けることとは、発達段階が異なります。書字には身体能力も関わってきますので、小学校に上がって国語を習う頃が1つの目安になると思います。作文で、自分の気持ちを書いて読み手に受け止めてもらえる経験をたくさん重ねることが大切です。原稿用紙の使い方、出来事や議題をどう捉えるか、分かってもらえるにはどう書けばいいか、といった、この先ずっと必要なライティングスキルの土台ができます」

あとがき

長い長い記事を最後まで読んでくださってありがとうございます。いつも長いけど、今回も6000字。うーん、どうしたものか。

ここまで読んでくださった方はお気づきだと思うのですが、まちか先生のnote記事は話し言葉で書いています。わたし自身がエッセイ調の文体が好きというのもありますが、「作文の先生らしくていいよね」というのが大きな理由です。キャラづくり?みたいなものかな。一人称も「まちか先生」だしね。書き言葉じゃありえなーい。

引用させていただいた、3人の小論文の先生方。勝手にご紹介して申し訳ございません。いつも記事の更新を楽しみにしております。

わたしは小学生中学生をメインに作文を教えています。作文を通して、書く楽しさを伝えるだけでなく、一人ひとりが最適なタイミングで考える力を身につけていくお手伝いできたらいいなと思っています。小論文の先生達にスムーズにバトンを渡せるように。

ご紹介いただきました

noteを始めて「楽しいな」と感じるのは、アンサー記事をいただくとき。受け取ったものを言葉にして、その言葉がまた新しい記事を生むって、すてきだなぁと思うのです。

〆野先生にご紹介いただきました。noteという文字のコミュニケーション、すごい。だから「書く」って楽しいんだと思います。それに、〆野さんの小論文講師としての矜持がビシバシつたわってきてしびれます。わたしから〆野先生へのさらなるアンサー記事はこちら

コタニ先生にご紹介いただきました。わたしが作文→小論文の橋渡しを意識していることを汲み取っていただき嬉しいです。コタニ先生は小論文→アカデミック・ライティングの橋渡しを意識されているそうです。今後そういう連携が取れる流れが全国にできていったらいいなと思います。

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