「運動が、なぜ脳に良いのか」考えてみる
こんばんは。
最近、自分の研究分野以外にも手広く知識をつけるために、医学・科学・心理学などの色々な文献を読み漁っているのだが、「運動が脳の活性や体の健康につながる」という研究データを多くみる。
メタ分析は、科学的にはかなり信頼性がある分析手法の一つなので、「適度な運動が人間の健康維持や脳の活性に良い」ということは、ほぼ間違いないだろうと思う。
そこで、「運動がなぜ脳の活性や体の免疫システムなどの維持に良いのか」そもそも根本理由を考えてみた。
まず、運動をすると、どんなメリットがあるのか、一般的な概念で箇条書きすると
運動による効用
・心拍が上がる
・余計なカロリーを消費し、血中の糖分を消費する
・血流が良くなる
・リンパの流れが良くなる
ここで、脳細胞や体の細胞について考えてみる。
我々の体は、無数の細胞でできているが、その細胞への栄養源は血液から取り込まれる。また、各細胞の不要物についても血管に運ばれ、肝臓や腎臓などに運ばれ濾過されたり無毒化されたりする。
「血液」と聞くと、栄養源を細胞に運んでいると考える人も多いが、「酸素」も運んでいる。
なので、当然だが、人体にとって、血液と血流こそが重要な要なのだ。
また、これまた当たり前のことだが、脳は「酸欠」に一番弱い。
脳というと「糖」ばかりがクローズアップされ、「糖が脳の栄養源だ」と思われるが(実際にそうなのだが)、その前に忘れてはいけない要素は「酸素」である。
酸欠になり、一番最初にダメージを受けるのは、「脳」である。
上記図のように、脳の血流量は、成人で約2000リットルともいわれており、ウォーキングなどを日課にすることで、約10倍になるらしい。
成人した人の血中酸素濃度というのは、あまり変わらないのだが、定期的に運動している人は、筋肉がつき(代謝が上がり、ポンプの役割もあり、血流増進の一因になる)、酸素濃度が高くなる傾向にあり、酸素循環が良くなるという。
※ただ、運動すればするほど良いというわけではなく、過度な運動や自身の限界値を超えた運動については、心身ストレスが多く、筋繊維などが壊れることによる疲労物質が体の酸化を進めることもあるため、「ほどほどな運動」が良いということになる。
※酸素は、元々人体には毒にもなりうるので、運動したりマッサージしたりすることで得られる「ほどほどな酸素濃度」が一番良い。高山に行くなどのイレギュラーな状況の時以外は、酸素吸入や酸素カプセルなどの人工的なものはあまり推奨されない。酸素中毒になれば、むしろ危険なので。
まとめ
ということで、「運動が良い」というのは、「血流が良くなり、血中酸素濃度が上がり、脳細胞の隅々まで酸素が運ばれるから良いのだ」と言い換えられる。
もちろん、運動は、血中酸素濃度を上げるだけではなく、他の要素も絡み合っているのだが、ここでは複雑になるので、割愛する。
基本的には、「血流を良くして、血中酸素を増やそう」ということになる。
ということで、運動以外に大事なことをいかに箇条書き
血中酸素濃度を上げ、血流をあげるためにしたらよいこと
・マッサージ
・鼻を通す(これ、大事!子供の鼻を通すだけで、IQが7ポイントも上がる!)
・姿勢を正す
・リンパの傍を締め付けない
・森林が豊富な自然の中に行く(木々が作り出す新鮮な酸素に身をおく)
・瞑想する(呼吸を整えるの意)
血流を良くするためには、マッサージや姿勢を良くするだけでも効果はあるので、試してほしい。
血流が悪くなれば、脳にある毛細血管までうまく酸素が運ばれず、脳細胞は「酸欠状態」となる。もちろん、細胞が活性して何かするためには、更に酸素が必要となるので、酸欠状態の細胞が、さらに酸欠になるようなことは生命存続のためしないということだ。
ちなみに、「二日酔い」の正体も「脳の酸欠」が主な原因である。運動不足で、頭が働かず、「ぼーっとしている」状態は、「脳細胞が酸欠で麻痺している」状態ということだ。
当たり前なことが実は大事だったりするので、備忘録がてらメモ。
よし、皆さん、毎日10分の運動を日課にしよう。
参考文献
https://www.thelancet.com/journals/lanpsy/article/PIIS2215-0366(18)30227-X/fulltext
嬉しいです^^ 美味しいコーヒーと一緒に今後の医療談義をしたいなと思います。