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本当にあったちょっと危ない話

その出来事は、僕が当時40歳の頃、ゴールデンウィークの初日に、仲良しのいとこや、親戚たちが集まるちょっとした"つどい"があって、僕は、家族と一緒に参加した

狭いリビングではあったが、テーブルの"おでん"を囲み、"ビール"や、"日本酒"、"チーズ"や、"おかき"のなどで、ワイワイ、ガヤガヤ、近況の報告からはじまり、昔話をしたりして、楽しい時間を過ごしていた

そして、賑やかに始まった"つどい"もあっという間に過ぎて、ビールの空き缶が転がってきて頃、残った僕の家族といとこの家族は、リビングから和室に移動して、ゆっくりとした時間に変わった時、ひとりのいとこのお母さんが僕に話かけてきた

『あたし、足首のちょっと上に大きなくぼみがあるのよ』

いとこのお母さんなので、年齢は、もう、70歳ぐらいだったように思う

もうだいぶとお歳とはいえど、若い頃は、綺麗だったのかなと思えるほどどことなく大人の色気が残っていた

自分に急にそんなことを言われも、どうこたえていいかわからないし、どうしたものかと思いましたがらも、笑顔で、『えっ、そうなんですか』『どうしはったんですか』と聞いてみた

彼女は、僕の質問に応えることなく、『ちょっと、触ってみて』と云いながら、僕のほうに足首を突きだしてきはったのだ

そっか、だいぶとお酒もはいって、酔っぱらっているのだろうと思いましたがら、そのへこみを探すように彼女の足首を触った瞬間

『あっ、ァ~ン』

それは、とてもなやましく、その息に女の色気をたっぷりとまぜた"喘ぎ声"を小さく出したのだ

その瞬間、その彼女の娘にあたるいとこが『おかあちゃん!』と叱るようにその彼女に云った

いとこは、一言だったが、その続きの心の声は、きっと、『おかあちゃん、なにをこんなところで、そんな声を出してるの?みんな居てるねんで』だったのだろう

その時、自分に、いったい何が起こったのわからないまま、彼女は、出した足首を引っ込めて、僕は彼女のことを気にしながらも、また、世間話などを少し続けて、その"つどい"は、お開きになり、その話には、一切、触れず、家族とともに帰宅した

もう、20年以上も前の出来事だが、たまに、あの時の彼女の声を思いだすも、今も、あれはなんだったのかわからない

『本当にあったちょっと危ない話』でした
おしまい

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