見出し画像

安奈の日記(フィクションです。。。か⁉️)


安奈の日記
ぱくりじゃないわよ
あたしの名前が安奈
「アンネの日記」が先に出版されたいただけ。

今日は、金曜日
ちょっとだけ、寄って帰ろう

週末のせいか、地下鉄もいっぱい
みんなどこへ行くのでしょう
それは、あたしも同じだわ

週休二日制
昭和のサラリーマンは、土曜日の午前中は出勤していたらしいけど、あたしには考えられない
週5日ですら、うんざりしちゃう
特に人間関係
苦手

だから、たまに、阪急百貨店の催し物を見に行くの
今週は、確か、やきものの展覧会だったかしら
19時までだったかしら、すぐにわすれちゃう

すごく興味があるわけでもないんだけど、気晴らしね
ボーっと、見ているだけで、落ち着くの
催し展は、癒し展

「阪急百貨店9階」 わたしのうつわ時間~波佐見・九州の焼きもの

あれ? 催し展会場の向かえ側にあんなおおきなテディベアのぬいぐるみ

店員さんに写真をお願いしようかしら

あっ、カップルに先にいかれちゃった
しかも熟年カップルだわ
どうも、ご夫婦じゃなさそうね
あんなにラブラブした夫婦なんていないもの
・・・
なんだか、楽しそう、女性のほうは、輝いているわ、とっても嬉しそう、日本の方かしら
男性のほうも、もう、彼女に夢中のようね、幸せそうなふたり
悔しい反面、羨ましいわね
どうも、二人とも日本人じゃなそうね、日本人は照れ屋だし、あんなにわき目も降らず、ラブラブしないもん

あたしも、一応、結婚しているの
旦那は、小学校からの幼なじみで同級生

あたしは、小学生の時に、いじめにあっていたの

当時のあたしのあだ名は「カッパ」
目が細くて、カッパみたいに口が、とんがっていたから・・・

でね、 あたしの名前が安奈っていうでしょ
東京の方は、会話の始めは、「あのね・・・」から始まるでしょう
関西は、「あんな・・・」から始まるから

「あんな・・・~」「安奈のことと違うで~」・・・って、あたしが居ると話が始まらない

「カッパ、カッパ」「あんな~、安奈とちがうで」っていじめらている時に、いつもかばってくれたのが、今の旦那

うちは、珍しく、ふたりとも物静かな性格に見られているかもしれないわ
でも、内面は、それほど、静かでないのかもしれないわ
浮き沈みも結構あるし、吉本新喜劇を見て、大きな声でも笑うし
映画や、ドラマを観て泣くこともあるわ
夫婦喧嘩は、あまりしないけど、それでも旦那にイライラしたりするし
社内でも腹立たしいと思うことは、常だしね

世間一般的には、夫婦のどちらかが、『陰』で、どちらかが、『陽』っていうパターンが多いでしょ
ちょっと、目線を変えると、旦那が、アウトドア派だったら、奥様は、インドアとか
うちは、ふたりとも、どちらも、インドアかな

安奈は、ラブラブの熟年カップルを横目に、テディベアとの写真撮影は、後にして展示会場に入ることにした

一応、あのふたりのことを「阪急カップル」とでも、名付けておきましょう

前回は、漆の展覧会だったかしら
とっても、気に入ったものがあったので、1点だけ購入したの

おうちで、見ているだけで癒されるの
阪急さんのいいところは、いい物、本物が多いところと、やっぱり定員さんが、丁寧で、親切なところかしら
言っとくけど、あたしは、阪急さんの回し者じゃないわよ

ちなみに、肌着は、ユニクロ、メッセージカードは、高島屋ね
こちらも、お店の回し者じゃないわよ

普段の職場環境から離れられるというのも、気分転換になるから好きです。

今日は、うつわの展覧会ね、今日は、観るだけね、給料前だしね
結構、人も多いわ、商品も上品で沢山あって、ワクワクするわ
焼き物の名品と言われるものは、色の深さ、形の歪さが味になっているように、あたしは、思うの。きっと、多分

あら、まだ、あのふたり、スマホで写真を取り合っているわ
ほんとうにもう~って感じい

安奈は、うつわの展覧会を満喫して、「阪急カップル」を後にしながら、地下鉄の改札入り口へと向かった。

あっ、しまったわ、テディベアとの写真を撮ってもらおうと思っていたのに、すっかり忘れしまったわ
もう、あの「阪急カップル」のせいだわ
でも、まあ、今回も、上品なうつわを購入できたし、帰って開けるのが楽しみだわ

結局、買うつもりではなかった安奈は、阪急の紙袋を手にしていた。

突然、課長が、「PDFを修正できないか?」って・・・
「PDFは修正できませんよ」「でも、一度、スキャンして、ワードか、エクセルに変換してから修正して、それをもとのPDFに戻せばいいんじゃないでしょうか」って、伝えたら、「それなら、私、できます。分かります」って、他の派遣さんに横取りされちゃって、なんだか、むかつく
さっきまで、「PDFは、修正できません」って、言ってたじゃん
あたしのアイデアでしょ

泥棒猫

安奈は、時たま、突然、仕事のことを思い出し、悔しく思ったり、腹立たしく思ったりする
安奈自身も、そのことに気づいていて、「突発性イヤイヤ病」って、名付けていた。

やっぱり、ちょっとだけ、飲んで帰ろう

安奈は、たまに行く30分・500円でワイン飲み放題のお店に向かった
今夜は、確か、旦那も、懇親会とやらで、食事の支度をしなくてもよかったことを思い出した

ふう~、何だか、疲れちゃったな
「え~っと、まずは、白ワインをお願いします、あっ、それと、このミニピザとください」
このお店は、こじんまりしていて、カウンターだけだから、ひとりでも、さらっと、飲んで帰れるんだな

向かえに座っている若いカップル
多分、まだ、学生かしら
女性のほうからアプローチした感じね
男性のほうは、今どきの背が高くて、いい男
草食男子って感じね
どうして、もっと、近くでお話ししないのかしら

女性のほうは、イマイチね
お化粧で、なんとか、ごまかしている感じね
でも、ブラウスのボタン、ひとつ外しているわ
会話というより、女性のお話を男性が聞いているだけね

男性のほうは、恋愛経験がなさそうね
女性のほうは、恋にこがれてっていう感じかしら
ふたりは、まだ、これからね

このお店では、人間観察して、勝手な妄想ができるから楽しいのよね

横の女性ふたりは、OLぽいわね
さっきから、上司の愚痴ばかり
自分のことを棚に上げてさ
「社員じゃないし、社員じゃないし」って、聞こえるから
契約社員か、派遣さんかしら
こちらもやはり、云う側と聞く側に分かれちゃうのよね

後、2つ、席が空いているから、ゆっくり飲めそうだわ
「すいません、今度は、この赤ワインをお願いします。あっ、それとチェーサーと」

あたしも、派遣社員だけど、派遣社員でも、ぴんきりね
っていうか、色んなタイプのひとが居て、戸惑うわね

こんな時でも、どうしても、お仕事のことや、人間関係のことを思い出して考えちゃう

ふう~

あっ、やばい、あのふたりだわ、阪急カップルだわ

えっ、まさか、この店に、入ってきちゃったわ
早く、帰らないと

すません、お会計、お願いします

。 

「ただいま~」って言っても、まだ、帰ってないわね
今のうちに、洗濯ものを取り入れて、阪急で購入したうつわは、一旦、あたしの洋服ダンスへ。
ささっと、お風呂に入っておこうっと

うふふ、まだ、帰ってきてないわね、
阪急は行ってないことにして、ワインも飲んでないわよ、阪急カップルにも会ってないことに・・・
それにしても、あたし、どうして、こんなにこそこそする必要があるのかしら
なんにも、わるいことしてないのにね

平日に録画しておいたドラマでも観ようかしら

安奈は、現在、41歳。子供は二人居て、長女は21歳、OLで、大阪府内で一人暮らし。
長男は、20歳で、岡山県の大学生。
まだ長男にはお金がかかるけど、ふたりとも家を出たので、今は、旦那とふたり。

なんだか、ドラマを観てても、あの人のことが気になって、集中できないわ
まだ、残業しているのかしら・・・
それとも、旦那と同じように、飲み会にでも参加しているのかしら・・・
今夜も本当は会えるはずだったのに・・・

思い切って、電話してみようかしら。

「ただいまー」
あら、帰ってきちゃったわ
後で、メールしてみようかしら。

「あら、懇親会なのに随分早かったのね」

安奈は、少し慌てながらも、その素振りを一切見せず、明るく振舞った、

。。。。。。

愛海はそそくさとデパートの紙袋を手に出ていく女性を視界にとどめながら、自分たちと入れ替わりに出ていった女性を目で追いながら、うっすらと阪急の催事場で、会った女であることを思い出した。

「あっ・・・さっきの女性・・・?」
「うん、僕たちが阪急の催事場でいちゃいちゃしていたときに、同じフロアにいた情勢だよ・・」
俊介はすかさず、状況を理解して言葉をつなげた。
そして愛海が自分に興味が戻るのをじっと待つ。

「何、飲みます? ビール?」
愛海は俊介が回答し終える前に、ビールと自分の好みのワインを注文した。
この店で二人が気に入っているのは、さっと席を確保し、店員に気兼ねすることなく、軽いつまみと世界の日替わりワインを注文でき、好きな時に切り上げて帰ることができるところだ。

実際、地下鉄の改札に近い地の利の良さにも関わらず、人の目を素通りさせてしまうような存在感を隠すような雰囲気がその店にはあった。

愛海と俊介は阪急の催事を見て回ったあとは、たまにここに立ち寄ることあった。
正直、料理の味もワインの良し悪しも微妙で、さほど印象にのこるものではなかったが、u型のカウンターには小さな死角がいくつもあり、寄り添いながらカウンターの下で、こっそりと自分の脚の膝をぴったりと俊介にくっつける行為が、何より、愛海を安心させた。

愛海と俊介はことあるごとに、一瞬で、自分たちの、ひと時の愛を紡ぐための小さな繭を行く先々で創った。

それは背景の変わる舞台で演じる恋愛劇のように、書き割りのシーンは都度都度、変わる。

最初は熱情に駆られて恐る恐るだった口づけや小さな愛撫は、一緒に過ごす時の経過、経験のなかで二人を大胆にしていた。

地下鉄へ向かう階段、エレベーターに3秒の昇降の時間、・・・ビルの物陰、日の落ちた薄暗い神社の鳥居のそばなど、およそ、二人の直感でそうと思われるところで、二人は小さく深く愛し合った。 まるでそれがデートという名の劇中で演じる最終章の山場のように、二人しか理解しえない世界にうずもれ、足をすくわれるようになりながらも、まるで避けて通れない儀式として、二人は想像の海にのまれ、感情の波に足をとられて流された。

そして今夜も二人は、ワインを飲み終えて軽く店をでた後、二人にふさわしい背景をみつけてそこで、今夜の愛に終止符を打つだろう。  後、1時間先か、2時間先に・・・

。。。。。。

そこ頃、安奈はいつもの「突発性イヤイヤ病」の発作が出ていた。

社員が社内のDVDを自宅でファイル変換し、社内で見れるようにしたことを、自慢げに周囲のひと達に云っていたことを思い出していた

アホ、丸出しだわ、あたしが忠告してもチンプンカンプンの返答だったわ

パソコンウィルス、情報漏洩、なんだかんだとうるさく、問題の多い世の中、全く理解していないのね
想像力っていうのが、ゼロなのよ。しかも、安全委員のくせに・・・
「ご安全に」とか、「コンプライアンスに注意してください。」って、常日頃から言ってくせに・・・
それは、形だけね。頭の中では、この会社では、安全第一らしいから、一応、言っておこう、はい、ご安全に!、言ったよ、言いましたよって感じかしら。
明日、この出来事を全社員にメールでぶちまかしてやろうかしら
社長のメールアドレスが分かっていたら、社長にも送り付けてやりたりわ
コンビニの雇われ店長のほうが、よっぽどしっかりしているわ

安奈は、録画していたドラマを観ながらも、イライラして、ドラマの内容が、全く頭に入ってこない

まっ、いいか、愚か者は、かわいそうね、とでも思うようにしようかな

さてと、焼酎がまだあったかしら、明日は、休みだし、まだ、時間も早いわ、もう少し飲みなおそうかしら・・・
ドラマも最初からね

安奈は、録画ドラマを観ながら、今度は、昔のことを思い出していた

ところで、たまに、思うことあるのね、結婚当時のこと

こんなあたしでも、結婚できてよかったわ
小学生の頃は、「カッパ、カッパ」って、からかわれていたのにね
そこには、秘密の改良作戦があったのよね
それは、歯の矯正術
確か、口もとのことでイジメにあっていることを母に伝えたのね
そしたら、あたしは、知らなかったというか、気づかなったけど、カッパの原因は、出っ歯だったのね
でね、母に歯医者に連れて行かれて、矯正術が始まったのね
針金のようなものを歯に巻き付けられて、イヤだったわ、何年も続いたかしら

でも、そのおかげで、今では、全くカッパの面影は無くなったの

母のおかげね、感謝だわ、ありがたいわ、ありがとうございます。母上様

もともと、あたし、色が白くてね、肌は綺麗ほうなのよ、ちょっと自慢ね
“色白は、三文の徳”っていうでしょ、“お徳ね”
あっ、違ったわね、“色白は七隈隠す”っていうでしょう、“お得ね”

結婚当時、旦那に「どうして、あたしと結婚したの」って聞いたことがあるの
そしたら、「安奈は、昔から人に優しいとこあるし、俺にも、優しいしね、何事にも一生懸命だし、それに意外とグラマーだしね」だってさ、
うふふ
あの人も同じこと言ってような気がするわ

「ヒロシ君、聞いてる」?

シャワーを浴びて、出でくるヒロシに、間を与えず、安奈は、声をかえた

「ちょっと、待ってよ、今、ドライヤーしているから、なんにも聞こえないよ」と、ヒロシ。

う~ん、もうヒロシったら、いつも、聞いてほしい時は、居ないし、居ても、あたしの話なんか、右から左ね、男って、どうして、ひとの話を聞かないのかしら

「で?なに?」とヒロシ

「もう、いいわよ」と安奈

「じゃ、もう寝るよ」と、ヒロシ
「おやすみ」
普段は、大抵、あの人に、あたしの不平不満を聞いてもらっていたけど、今夜は、会えず、もう、不完全燃焼だわ

男って、ほんと、厄介な生き物だわ、自分勝手だしね

ちょっと、相談事をしたら、「世間一般的には・・・」とか、「どちらが正しいかというと・・・」とか、上から目線で、説教じみた言い方をするじゃない
あたしは、そんな意見を聞きたくて、相談していんじゃないの
あたしだって、もう、この歳になるとよし悪しぐらいは、分かっているわよ、自分のミスも、そりゃありますわよ

あたしは、ただ、お話を聞いてもらって、女として、優しくなだめてほしいだけなの
男って、ほんと、なんにも分かってないわね

昔、“男はつらいよ”っていう寅さんの映画があったけど、あたしだったら“女のほうがもっとつらいの”っていう映画を作るわね

小説家のたまごを応援しています
月之まゆみさんです
https://tinyurl.com/yhbolj42

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?