見出し画像

3.11被災者に想いを馳せて吹いたはずだったバッハと、早く思い出になってほしいコロナ


去年3月の終わりから4月にかけて、被災地へ訪問の機会がありました。

「宮城と熊本をクラリネットで繋ぐコンサート」

母は新潟、父は千葉出身で、生まれは新潟、育ちは神奈川な私にはどちらの地にもゆかりはないのですが、仲良くしていただいている演奏者の方に声をかけていただき、出演が叶いました。

画像1

プロもアマチュアも関係なくたくさんのクラリネット奏者が集まり、演奏しました。

ほとんどの方がはじめましてでしたが、和やかな雰囲気の中で音楽時間を共有しました。

一緒に音楽をつくっていく時間はひとりひとりが「クラリネット奏者」であり、真剣に音楽と向き合っていました。

「音楽は国境を越える」ように

「音楽は人と人との言葉以上の気持ちを共有し、新たな出会いを生む」ことを実感しました。


被災地訪問

74名の小学生と10名の先生が犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校を訪れ、語り部さんの話を聞きました。

その語り部さんは大川小学校で娘さんが亡くなられた、お父さんでした。

今までテレビなどで報道を目にしたことは何度もありましたが、実際に行き、校舎の中に入り、実感し、大きくなった感情はまだ上手く整理ができす、言葉にできないことが多いです。


3月の東北。冷たい空気。


しだいに雨が強くなり雪に変わり、「あの日」も雪が降っていて寒かった、と聞きました。

校庭に避難した児童たちはこの寒空の下で50分間待機し、その後津波にあった。

「時間は十分にあったはずなのに、なぜ逃げ遅れたのか?」

遺族の気持ち、二転三転している石巻市教育委員会の説明。

生き延びた生徒が4人いること。

その中で山へ逃げ助かった、当時小学5年生だった只野さんについて書かれている記事を見つけました。よかったら読んでみてください。

2018年に掲載された日本経済新聞の記事です。

しっかりと未来をみています。

生きていく、ということを考えずにはいられません。



私たちは石巻から陸前高田へ移動し、「奇跡の一本松」をみました。

雪と風が吹きさらす中、一本松が、立っていました。


被災地では子供も大人も、たくさんの人が亡くなって

たくさんの人が、ひとりひとり、それぞれの悲しみをもっていて

今も苦しんでいる人たちが大勢いて

元の暮らしに戻れない人たちがいて

前を向こうと頑張っている人がいて

頑張ろうとしている人がいて

もがいている人がいて

うらんでいる人がいて

にくいけれど、どこにぶつければいいかわからず自分を責めている人がいて

こども おや きょうだいへの

おばあちゃん おじいちゃんへの

友だちへの

となりに住んでいた人への

先生 同級生 先輩、後輩への

これから仲よくなりたいと思っていた人への

ありがとうを言いたかった人の

ごめんなさいを言いたかった人の

おもいが、そこにはあって。


やりきれない。


けど生きている人は、どうしたって生きていかなきゃいけない。

できることなら、笑顔で。


2020年も「3.11」がやってきました。

去年みた風景と聞いた話を思い出し、バッハを吹きました。

鎮魂歌のつもりでしたが、そんな綺麗な感情では吹ききれませんでした。


よかったら、聴いてください。



震災直後、

被災地ではないところに住んでいる私は、

「自分にできることを」といわれるけれど、

どこまでなのか?

それは余裕のある人が募金すればいいということなのか?

余裕のない人も自分をぎりぎりまで犠牲にして募金やボランティアをした方がいいのか?

なにが善なのか?

そんなことを考えていた記憶があります。


よく目にした「被災者の気持ちに寄り添う」という言葉

これは家があって、家族も無事で、大した被害に遭っていない、ぬくぬくあたたかい布団にくるまって寝ている私にはできない、と感じました。

そんな自分を「自分ができる最善のことをしていない」と思って責めました。

そしてそんなことで苦しんでいる自分は贅沢だ、弱い、甘えている、と考え、負のループに入ってしまいました。

楽器を吹くことでなんとか気を紛らわせていました。

子供でした。


今でも整理がついていないこと、うまく言葉にできない感情があり、どうしたらいいかわからないことがありますが、

「音楽をやっている自分」ができることはやはり「演奏」なんだと。

本当の意味で「今の自分にできること」なんだと今思っています。



話を去年の演奏ツアーに戻します。ちょっと明るいお話。

宮城最後の夜、現地の方のお宅(民泊)へおじゃまし、新鮮で肉厚な「わかめ」と「めかぶ」をごちそうになりました。

めかぶをしゃぶしゃぶしてポン酢でいただくのですが、お湯に入れた瞬間にパッと鮮やかな緑になって、思わず歓声がでてしまいました。

も〜〜〜プリップリで!

民泊のおじちゃんが刻んでくれためかぶご飯もおいしかったな〜

ご飯を一食食べるたびに、時間は進んでいることを実感させられました。​

みんなで「おいしいね」と言い合ってたくさん食べ、たくさん笑いました。

とても楽しい一時でした。

ほんとにめちゃくちゃおいしいので行ったことない方は行ってみてほしいです!

私は行けることなら毎年めかぶを食べに宮城へ行きたい!

(もちろんずんだと牛タンも!)


卒業式がなくなったこと

2011年3月11日、

大学4年生だった私は、学校でオーケストラのリハーサルが終わり、友達と昼食(ガパオ)を食べた後、別れて駅に向かう途中で地震にあいました。

駐車場の横を歩いていたので、しゃがんでフェンスにつかまり、おさまるのを待ちました。

そのあとはどうしたのか、記憶が曖昧です。

駅に行っても電車が動いていなかったのか、

さっき別れたばかりの友達に連絡したか、

覚えていませんが、とりあえず学校に戻り、友達と講堂で待機しました。

「津波」というワードが出てきてからは、

実家が海の近くなので、家族を心配しました。

その日は帰れず、学校の近くに住んでいた友達の家に、同じく電車が動かず帰れなかった何人かで泊まらせてもらいました。

幸い家族もみんな無事で、友人知人親戚でもなくなった方はいませんでした。

影響は卒業式と関連のイベントがなくなったくらいでした。

卒業証書が自宅に送られてきて、先生にお礼の電話をして...

当時は「あーあ、卒業式なくなっちゃった」くらいで、袴も着れないし、友達には会えないし、卒業旅行も行けなくなったし、ほんとに「あーあ。」という気持ちでした。


あれから9年経った今、コロナウイルスで卒業式がなくなる学校があると聞き、自分の卒業式がなくなったことについて考えてみました。

卒業式がなくなって、なにが一番心残りかというと、

「わざわざ連絡を取って会う約束をする人」以外の人との最後の挨拶ができなかったことです。

廊下ですれ違ってあいさつするだけの同級生や後輩、

他の楽器の先生、

授業以外で会わない先生、

授業は取ってなかったけど職員室にいくといる先生、

練習室の鍵をくれる事務の人、

警備員のおじさん。

「校舎」にも。

いつでも連絡を取り合って遊べる友人は大丈夫。

もちろん晴れ着を着て卒業式したかったけど、まあしょうがない。

そうじゃない、もしかしたらもう一生会わないかもしれない人たちに、

私は卒業式で、「お世話になりました」「ありがとうございました」「元気でね」と言いたかったんだと思いました。


どうか今コロナの影響で休校になっている子達に、少しでも気持ちの置き場をあげてほしいなぁと。

9年前の自分を振り返って、そんなことを感じています。


春のエチュード/ 酒井格

コロナコロナで数々の演奏会が中止になり、演奏者は悲鳴をあげています。

フリーランスもそうでない人たちも、みんな大変。

うちの近くのスーパーではトイレットペーパーもマスクもまだ売っていません。


そんな折りに、

吹奏楽作品をたくさん書かれている酒井格さんが3月9日に作曲された作品を、たまたまツイッターで発見し(リツイートしてくれた方に感謝!)、

3月10日の朝、寝起きジャージ姿のまま近所のコンビニに走り印刷し、午前中に譜読み練習し録音してみました♩

酒井格さんといえば中学生の時に吹いた「たなばた」の!

高校生の時にコンクールで演奏した「森の贈り物」の!

今、なるべくはやく反応すれば、酒井先生に私の演奏を聴いてもらえるかもしれない!(ミーハー)

しょうがないです。だって自分が中高生の時は作曲家と直にコミュニケーションがとれるなんて、自分の存在を知ってもらえるなんて、想像もしてなかったですから。うんうん。


「春のエチュード」という題名にぴったりな、爽やかで柔らかい、流れるような曲です。

よかったら聴いてください。

ツイッター投稿のあと、めでたく酒井先生に名前とコメント付きでリツイートしてもらい飛び上がるほど嬉しかったです。

曲名の改名と共に関連のツイートたちは消されてしまったようですが、心の中に宝物としてとっておきます^^

SNSの力ってすごい!


今回は内容が内容だけにだいぶ重くなってしまいました。

悲しい記憶は例年「その日」にフォーカスされがちですが、なんだか今年は自分にとっていろいろと想いを馳せるきっかけになりました。

これもコロナの影響かな。

もっと伝わるように、書けるようになりたいです。


バラバラな文章を、最後までお読みいただきありがとうございました。

引き続き「自分にできること」を模索していこうと思います^^

次は楽しく〜!♩


=====

「演奏を通して日々の成長を楽しむ」

音届(おとどけ)音楽教室 岩村麻里子

=====

無料体験レッスン実施中!

HPからお申し込みください♩


サポート頂けましたらとても励みになります! いただいたサポートは今後の音楽業界を元気にしていくための活動に使わせていただきます♪