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人生の主導権を放棄しないための、不満・悩みの考え方

今回は、本の紹介と、それをビジネスでどのように活用していくかをご紹介します。

『嫌われる勇気 -自己啓発の源流「アドラー」の教え-』
筆者は岸見一郎さんと古賀史健さん。哲学者である岸見さんから、ライターの古賀さんがお話しを聞きながら書いたという共著です。

この本、すべてのビジネスパーソンにおすすめなのですが、特に…
「話すの苦手だし、営業向いてないんだよなぁ」と思っている人
「自分の部署は商品が悪いから不利なんだよな」と思っている人
「いくら頑張っても、どうせ評価されないしな」と思っている人

ちょっとネガティブになっちゃうとき、ありますよね。こういう思考を根本的に解説し、解消してくれるのがこの本です。

【挿絵】嫌われる勇気

この本、正直まとめきるのは非常に難しかったんですよね。
なにせ、「心理学の三大巨頭」アドラー大先生の思想の話ですから。
そこで今回は、大事なエッセンスを抽出してご紹介します。

自分の人生は自分で決められる。
他人に干渉されず、幸せに生きる道を選ぼう。

すっごい抽象的なので「そりゃ分かるけど!」と感じるかもしれませんね。
まぁまぁ、具体的に見ていきましょう!

1.人生はすべて決まっているもの?

みなさん、こういったニュアンスの話、聞いたことありませんか?
「昔から暗い性格で友達もいなかったし、いまさら明るく営業しろ、なんて無理だよ…」
他にも例えば、「自分は貧乏な家に生まれたし、高卒だから、金持ちになって幸せにはなれないんだよ…」
これらはいわゆる「原因論」です。過去の出来事(原因)によって、現在の自分(結果)が規定されているとする考え方です。
結果には必ず原因がある、ということは一般的に広く知られていることですよね。

これ、みなさん、賛成ですか?反対ですか?
アドラー心理学では、これを明確に反対しています。
「原因論」の考え方だと、すべて過去から決まってくるので、もはや未来は変えられない。「原因論」の住人でいる限り、一歩も前に進めないというわけです。

じゃあ、アドラー心理学ではどう考えるか。
それは、「目的論」です。
先ほどの例で言えば、昔から暗かったから、今も明るく営業できない、のではないです。
何らかの目的があって、明るく営業しようとしていないんです。
その目的は、人や状況によっていろいろあります。例えば、「いまさら頑張っても、同僚に変な目で見られそう」と恐怖から逃れるという目的かもしれませんし、「明るくなるための努力をしたくない」と安定を求めるという目的かもしれません。
何か目的があり、そのために自らそのライフスタイル(性格や気質)を選択している、と考えるのがアドラー心理学です。
こう考えると何が良いのか。自らライフスタイルを選んだということは、自分で選び直すことも可能ということです。「明るく営業しよう」と選び直せばいいんです。
「原因論」で考えるとどうしようもなかったですが、「目的論」で考えることで、人は変わることができるようになります。

2.みんな、何に悩んでる?

みなさん、悩んでいることはありますか?僕はちょうど108つあります。
職場のあの人とうまくいかない、あの業務は苦手だ、全然モテない、体重が減らない、などなど。
アドラーは、すべての悩みは「対人関係の悩み」だと断言します。
確かに「あの人とうまくいかない」とかはそうですが、「体重が減らない」とかってどう思いますか?対人関係?

ぽっちゃりよりはスリムな人の方が良い、と僕は思っているんですね。でもこれって、「ぽっちゃりの方が安心感を与えられる」とも考えられますよね?
「ぽっちゃりはダメだ」という、いわゆる「劣等感」は僕の主観的な解釈ですよね。ぽっちゃり自体には何の価値もなく、自分でどのような価値を与えるのかを決めています。
例えば、この世界に僕しかいないし、誰も見てなかったら、ぽっちゃりとか気にしてないですよね。価値とは、社会的な文脈の上で成立しているものだからです。なので、価値の問題も最終的には人間関係の問題なんですね。

人間には、普遍的な欲求として「優越性の追求」というものがあります。「向上したいと願うこと」「理想の状態を追求すること」とかがそうです。
その中で、理想に到達できていない自分に対して、劣っているように感じる。これが「劣等感」です。劣等感自体は健全なもので、成長するために努力を促すものです。
ここで気を付けなければいけないのは、勢い余って「どうぜ自分なんて…」とならないことです。これは、劣等感ではなく「劣等コンプレックス」と呼びます。
「劣等コンプレックス」とは、自らの劣等感をある種の言い訳に使い始めた状態のことです。
「どうせ私は学歴がないから成功できない」みたいな感じです。これ、さっきの「原因論」ですよね。こうなってしまうと、自分では未来を変えられないということになってしまう。
健全な劣等感に留め、劣等コンプレックスにならないためにするためには、誰とも競争しないことです。他人と比較するから「どうせ自分なんて」となっちゃうんですね。
健全な劣等感は、他者との比較の中で生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるものです。
ここを意識しておくことが大切です。

3.人は人、自分は自分

すべての悩みの根源は対人関係。まぁまぁ、なるほどと。
「じゃあ、どうすればいいの?とはいえ悩むじゃん!」という話ですよね。
対人関係から悩みが来るんだったら、乱暴に言えば、他人のことを考えなければいいんです。
性格に言うと、自分の課題と他者の課題とを分離して考えていく「課題の分離」という考え方が必要です。ほとんどの対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むことによって引き起こされます。
そして、誰の課題かを見分ける方法は、その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か、を考えればいいんです。

例えば、話がまったく通じない上司がいて、どんなに頑張っても評価されない。しかもめっちゃ怒鳴ってくる、みたいな。
このとき、「あの上司がいるから、仕事がうまくいかないんだよな」と思うのは「原因論」です。もうこれ、上司がいる限り、一生うまくいきません。上司に自分の人生の主導権を握らせるのか?という話ですよね。
もし「課題の分離」ができていると、どうなるか。まず、めっちゃ怒鳴ってくるのは上司の課題です。その感情を最終的に始末すべきは上司です。なので、それにすり寄る必要はないし、自分を曲げて頭を下げる必要もないです。
一方、そんなこととは関係なしに、一生懸命仕事に励むことは自分の課題ですよね。自分の仕事にどう取り組むかによって、最終的に迎える結果を引き受けるのは自分です。

自分の仕事がうまくいくか、自分の課題にどう取り組むかについて、他者は関係ない。
「課題の分離」をすることで、自分と他者をしっかり分けて考える。
そうすることで、悩みの根源である対人関係がスムーズに進んでいくというわけです。

まとめ

・過去(原因)が未来を決めるわけではない。自分でライフスタイルを選択し、未来を変えることができる
・健全な劣等感を持つために、誰とも競争せず、「理想の自分」との比較をしよう
・課題の分離をすることで、他人に人生の主導権を握らせず、自分で自分の課題に取り組もう

明日からできるアクション

それでは、この本の情報をもとに、ビジネス現場で明日からできるアクションを1つご紹介します。

【実践編】
★不満や悩みを1つピックアップして、「課題の分離」をしてみよう

例えば僕だったら、「あの上司、現場見てないから気持ちが分からないんだよな!」とか思っているんですが…
これ、「現場を見るかどうか」「気持ちが分かるかどうか」は上司の課題ですよね。一方、「現場の気持ちを伝える」「現場が前向きに働けるように工夫する」ことは自分の課題として取り組めますよね。
伝えた上で、そこから先は相手の課題。自分にはコントロールできないし、してはいけない。

改めて考えたら、不満や悩みって、確かにほぼすべて対人関係だと思いました。不満がつもりつもると、だんだん苦しくなってきますよね。「課題の分離」を念頭に置いておくことで、だいぶ楽になります。
「自分の課題の中で、できることはないかなー?」と考えることで、自分の人生を自分でコントロールしている実感も湧いて、前向きに行動できます。
ちょっと抽象的な内容なので難しいところもありますが、かなりおすすめです!

今回は以上です!最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今後も、ビジネスでの組織論やリーダーシップなど、『チームワーク』に関するお話しを提供できたらと思っております。
またぜひ読んでくださると、小躍りして喜びます。
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