見出し画像

今日は、「強み」についてのドラッカーの名言をじっくり味わいましょうか

人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。強みに集中し、卓越した成果をあげよ。

「マネジメント」(ピーター・F・ドラッカー/ダイヤモンド社)

50年以上前に語られた、「マネジメントの父」ドラッカーの言葉。今でもなお、迷えるビジネスパーソンにとっての光り輝く北極星だ。

ドラッカーの言葉は北極星


就職氷河期に苦労して入社した大企業を一年足らずで飛び出した私は、小さな研修会社に転職してからというもの、自分の知識と知恵と経験と度胸の足りなさを補うため、来る日も来る日もビジネス本を読みあさった。

二宮金次郎よろしく、文字通り歩きながらも読んで読んで読みまくった。歩きスマホの先駆けか。

蛍光ペンを片手に、重要箇所にハイライトしながらも歩いた。ゆがんだ線を引きすぎて、もはやどこが重要かわからなくなることもしばしばだった。

カバンの中にはいつも、「今日読むかもしれない本たち」がぎっしりと詰まっていた。弱小社会人だった私の精神安定剤だったのかもしれない。


そして、あまたのビジネス本の中でも、ドラッカーの作品、彼のつむぎ出す言葉はいつも特別だった。


生まれたての子鹿のように弱々しかった私でさえ、彼の言葉が時代や国境を超えた普遍的なものだと直感で理解していた。

そして出会ったのが、この言葉だ。

人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。強みに集中し、卓越した成果をあげよ。

「マネジメント」(ピーター・F・ドラッカー/ダイヤモンド社)

衝撃を受けた。

「マネジメントの父」と呼ばれるほどの人が、一個人の強みにまで言及するなんて。しかもこんなにも美しく無駄のない表現で。

私の「強み探究」そして「天職活動」に、「パチッ」とスイッチが入った瞬間だった。

「弱みの強化」と撃沈


しかし、分かっていても人は「弱みを強化」しようとする。そして撃沈する。

他者にあって自分にない才能、平均に満たない能力、自分とは真逆のキャラクター。それらをどうしても追い求めてしまう。

MBAに飛び込んだときもそうだった。

研修会社に転職して8年近く経って自信を深めていたのと同時に、ビジネス全般の知識が足りていないという焦りがあった。「弱みをガッツリ強化」するためのMBA入学だった。

そして、4年間もがいた。どんなに頑張っても成績は平均以下だった。

外資系企業の人事に身を置いたときもそうだった

グローバルに仕事をすることに憧れを持ち、純ジャパが独学で身につけた英語をひっさげて転職した。「弱みを弱みと認識」しないままで。

結果、10年間ずーーっと弱々しかった。帰国子女がウヨウヨ歩く外資系企業では、必死にもがいても英語は平均的だった。

語学に関しては、人の何倍も努力したという確信はあったが、それが「強み」に転じることはなかった。

海外本社に出張すると、惨めさが屈辱と自己嫌悪に変わった。超内向型の性格と自信なき言語のダブルブロックで、3日間の会議で一言も発せないまま日本に帰ってきたこともある。恥ずかしくて、逃げたくて、泣きたかった。いや、ホテルで泣いた。

分かっていても人は「弱みを強化」しようとする。そしてあえなく撃沈するのだ。

「弱み」は「教化」ではなく「弱体化」させる


「弱み」を何とかしようとする努力を、私は否定しない。ドラッカーもきっとそんな意図はなかったはずだ。弱みを晒しながら生き残っていけるほど、社会は甘くない。

でも、それは明確な意図を持って行わなければいけないと思う。「強みの邪魔にならないように」という意図だ。そして目指すのは、「弱み」の「強化」ではなく「弱体化」だ。

仕組みを作ったり、誰かと協力したり、やり方に工夫を加えたり。そうやって結果に悪影響がでないように、「弱み」の存在を薄めていく。

余計なクモリを取り払って、「強み」を光り輝かせるのだ。

「強みを強化」することで得られる圧倒的な成長実感と卓越した成果


一方、「強みの強化」に時間と努力を投下するとどうなるか。その成長スピードと充実感、そして成果は圧倒的だ。

他者とは比較にならないほどの短時間で技術を習得し、即座にそれを発揮して高い成果を収める。周囲を驚かせる。努力をした分だけ、自分自身の成長という見返りを手にすることができる。

苦しい瞬間はないのか?

ある。でもそれは「できない」ことに対する八方塞がりな苦しさではなく、「もっとできる、できたはずなのに」という希望を伴った苦しさだ。悔しさ、とも言い換えられる。

私自信、研修ファシリテーターとしての「強み」つまり「天職」を見出してからは、仕事人生が180°変わった。

次の日が来るのが待ち遠しい。早く新しいアイデアを試したい。参加者と向き合いたい。「分かってますか?アナタには信じられないほどの可能性があるんですよ!!!」と叫びたい。参加者の肩を持って揺さぶりたい。グワングワンにしてやりたい。もっと成長したい。もっと貢献したい。もっと役に立ちたい。

そんな毎日。


最後にもう一回だけ、じっくり味わおう。

そして、迷ったときにはまた、ここに戻ってこよう。

人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。強みに集中し、卓越した成果をあげよ。

「マネジメント」(ピーター・F・ドラッカー/ダイヤモンド社)



※コチラもおすすめ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?