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読書レポート【前編】「Product Led Growth」(プロダクト・レッド・グロース)


所感

SaaSモデルはもちろんですが、幅広い製品やサービスのマーケティング方法論として汎用的に応用できる内容と感じました!特にパンデミック以降、我々のビジネス環境に溶け込んだZoom、Slackなどもプロダクト・ドリブンでPLGモデルを果敢に取り入れ成長を加速化させている事例企業と言えます。

また、戦略論はこれまで多数ありましたが、ここまでプロダクト目線に踏み込んで整理された書籍が意外とあるようでなかった、というのも興味深い。


時代の変遷として、デスクトップからオンプレミス、クラウド(Salesforce、Hubspotに代表されるツール)へと世の中のビジネスモデルが転換する中において、誰でも簡単にサービスを試せる、使えるという利便性が染み込む中で買い手(ユーザー)起点のマーケティングの重要性が自然と理解できる1冊です。

B2Bでは製品や独特の商流・商慣習が中心の業界ではまだまだ介在価値としてラストワンマイルのソリューション営業、ハイタッチセールスは有効だと言えます。また、大手向けの大規模導入は複数の意思決定フローの中で調整・見極めも必要なシーンもあることから"人間"が得意とする空気を読み過去の経験をインデックスしながら思考した逐次的な適応が受注の要因になることもあり得ます。
(僭越ながら、自身の過去におけるセールス経験での成功要因も思い当たる節あり)

ここで抑えておくべきことは、
書籍の中で紹介されているフレームワークを一つの成長戦略として捉えること(唯一無二と盲信しない)、何よりプロダクトがMust to haveという領域まで磨き込みができていること。

個人的にはこれらの状況が見受けられると検討して良い施策と感じます。

  • MVP構築〜PMFが完了。これからGTMフェーズの組織

  • RePMFのプロダクトを推進する組織

  • CACが増加中(IS/FSの生産性低下)

  • ユニットエコノミクスが基準値以上(例:3〜)

  • 顧客視点のマーケティング思考・風土醸成に興味・課題がある

  • 1社依存型の売上構成(セールス主導型でACVは高いがリスク)

  • MODEL型組織で稼働するもチャーン率はじめ各指標の悪化

それでは、気になった箇所を各チャプターごとでピックアップしてみました。僕自身のフィルターを通したものとなるため、琴線に触れる箇所がいくつかあった方は実際に手に取って読んでいただくことをお勧めします!

自身がどの立場にいるか(BizDev,PMM,PO,IS/FS/CSのMgrなど)で、参考になる点が多分に変わりそうなところもこの書籍が良質なものとオススメできる部分です。

内容が盛りだくさんのため、【前編】【後編】と分けています。
(この記事を書いている現時点では後編はまだ着手できていませんw)

PLGとSLGの違い

PLGとSLGの構図。こうして見ると明確に特徴が異なります。
PLG企業が上場後も高い成長率を維持し、ソフトウェア銘柄全般に比べ2倍以上高いEnterprise Valueで評価されていることがわかります!

PartⅠ 戦略をデザインしよう

PLGの重要性が急速に増しているのはなぜか?


変化その1
スタートアップの成長に以前より多くのコストがかかるようになった

・市場の参入障壁が下がりレッドオーシャン化→CAC増加
・おしなべて収益性が悪化している企業の乱立

この5年で顧客獲得コストは55%上昇した一方で、サービスに対する顧客の支払い意欲は同期間に30%低下した。

プロフィットウェル(SaaS企業の収益管理・分析会社)

変化その2
顧客は自ら学ぶようになった

4分の3のB2B購買担当が営業担当からプロダクト説明を受けるより、自ら情報収集したいと回答。

調査会社フォレスターより

変化その3
購入プロセスで、プロダクトの利用体験が重視されるようになった

・オンボーディングもプロダクト上で実施される(ex:ネットフリックス)
・新しいユーザーを購入まで導く役割は営業よりプロダクトが担った方が良い

これらの変化にセールス主導型組織は対応しきれない可能性がある。
セールスが主導することで顧客がプロダクトを学ばない状況が永遠と続く。
結果的にCACの悪化、MQLの契約不締結につながる。
(各種コンテンツをDLしたからといって有効リードと捉えて直近購買層と勘違いしたセールスを披露することは組織の収益性、レピュテーション面でもネガティブ要因)

セールス主導型組織のメリデメ

何よりプロダクト開発がセールス(プロフィットセンター)よりも劣後されてしまう点は組織構造上、大きな問題に。
※組織間のハレーション、戦略上のコンフリクトにもつながりますよね‥。

主導起点ごとの組織による問いの立てかたのちがい

プロダクト主導型のセールスチーム
「見込み顧客に合ったプロダクトを売るために、プロダクトをどう活用できるだろう?我が社のプロダクトの価値をすでに理解している顧客にそう聞いてみよう」

プロダクト主導型のマーケティングチーム
「リード獲得でNo.1になるためにプロダクトをどう活用できるだろう?」

プロダクト主導型のカスタマーサクセスチーム
「我々のサポートがなくとも顧客の成功を支援できるプロダクトを作るには、どうしたらいいだろう?」

プロダクト主導型の開発チーム
「より早くプロダクトの価値を実感できるようなプロダクトを作るにはどうしたらいいだろう?」

ここでは、プロダクト主導型が前述の変化(①顧客獲得コストの上昇②ユーザーの自主学習意欲の増加③購入プロセスにおける利用体験の重要度の増大)から身を守ってくれるGTM戦略

PLGのメリット

1.優位な成長エンジン
 ①広いトップ・オブ・ファネル
  フリートライアルとフリーミアムモデルは、カスタマージャーニーの
  早いタイミングからユーザーを取り込むことができる。
  競合他社がデモ申し込みフォームに必要事項を記入させている間に
  見込み顧客はプロダクトを検証できる。

②迅速なグローバル展開
  結果、競合他社とスピード感で優位性が生まれる。競合がセールスの
  採用に忙しくしている間にPLG採用企業はオンボーディング体験の
  改善に注力し、わずかな時間で世界中の顧客にサービスを届けられる。

2.拡大に低いCAC
 ①短いセールスサイクル
  見込み顧客自らがオンボーディングできることで、プロダクトの価値を
  感じるまでのタイムトゥバリューとセールスサイクルを大幅に短縮。
  ユーザーが価値を感じた後にとるべきアクションはプランのアップグレ
  ード。

 ②高いRPE(Revenue Per Employee)
  プロダクトが拡散しやすいPLG戦略により少ない人員で体制を構築でき
  ることから、結果導入サポートコストも下がり顧客当たりの利益率が
  高くなる構造。

 ③より高い購買体験
  ユーザー自らオンボーディングできるようプロダクトが設計されている
  ため、導入サポートなしでユーザーはプロダクトの価値を感じられる。

武器を選ぼう


MOATフレームワークを起点に戦略を練る。

M:マーケット戦略
 自社のGTM戦略はドミナント型戦略か、ディスラプティブ戦略か、
 差別化型戦略か?
O:オーシャン状況
 自社のビジネスはレッド・オーシャンか、ブルー・オーシャンか?
A:オーディエンス
 自社のマーケティング戦略は、トップダウン型か、ボトムアップ型か?
T:タイム・トゥ・バリュー
 自社のプロダクトは、どれくらい早くユーザーにプロダクトの価値を
 示すことができるか?

引用元:「MOATフレームワーク」
フレームの詳細、設定するためのKey Questionなどとても参考になる記事です!

▼マーケットを選ぶ時の質問事項
 └事業開発領域、PMF/PSF前に実施すると効果的
1.ベストなソリューションを最も安く提供したい?(ドミナント戦略)
 →グロースを期待できるホリゾンタル型SaaSは大体これ。
  その分、プレイヤーも多いため常にプロダクトのアップデートと
  変化が激しい市況に適応するためのRePMF文化が必要

2.十分にサービスを受けていない顧客向けに、特定ニーズを満たすべく
 カスタマイズされたソリューションを最も高い価格で提供したい?
 (差別化戦略)

 →顧客のペインを正確に捉え、芯をとらえたソリューションが適切か。
  理想は顧客を取り巻く業務環境を包括したシームレス感・API連携機能を
  備えていること。バックオフィス系SaaSに見られる統合型起点で
  上手くいくこともあるし、コンポーネント型でエッジを立たせるで顧客
  評価を得られることもある。

3.過剰にサービスを受けている顧客向けに最もシンプルなソリューションを
 一番安く提供したい?(ディスラプティブ戦略)


4.それとも複数の戦略を掛け合わせたハイブリッド型戦略にするか?

これらの質問を通してマーケット戦略を決めた後、市場の外的要因と整合性が取れているか確認する。
レッド・オーシャンか?ブルー・オーシャンか?

海のコンディションを調べる


ブルー・オーシャン戦略:セールス主導型のGTMとの相性◎
レッド・オーシャン戦略:プロダクト主導型のGTMと相性◎

2つのオーシャン戦略のちがい
機能を拡張しブルーオーシャンからレッドになることもあるし、ターゲットを
変える(エンタープライズからSMB)で海が変わることある。状況を見極めピボットも大事。

プロダクトがブルー・オーシャンにあって、ユーザーがプロダクトの価値を体験するのに時間がかからない場合はPLGモデルを取り入れる。
他方、プロダクトが複雑なものなら、まずはセールス主導型のGTM戦略でユーザーを啓蒙しながらニーズを生み出しにいく。

(PSFからの見極め含めこうした時のセールス(インサイドセールス)の役割は大きいと個人的に思います)

レッド・オーシャンにいるなら、ファネルを広げ、CACを引き下げ、トップ・オブ・ファネルを狙いにいく。可能な限り早く効率的に成長する必要がある。

▼オーシャン見極めの質問事項

1.新たな需要を創出しているのか、既存需要を獲得しているのか?
2.プロダクトの価値を実感するまでの時間は短いか?
3.マーケティング・セールス、PLGのうちどれが自分たちのビジネスに適しているか?

オーディエンス


PLGモデルの際に見過ごせないのが、市況・意思決定フローの変化。
SaaS業界の全体的な価格低下トレンド、現場の従業員が過去の上位レイヤー層と同様に意思決定に大きく関わることが増えた、という変化が前提。

トップダウン型販売戦略のメリット・デメリット
フリーミアム(トライアル型)はトップダウン型には合わない。主に経営層やボードが中心になる意思決定者がプロダクトをオンボーディングすることがないため。
セールスへの負荷が高いため、採用力、人海戦術でテリトリーを占有する企業向け。
ボトムアップ型販売戦略のメリット・デメリット
KGIだけではなくKPIの解像度が高い、管掌するミドルマネジメント、現場メンバーを主役にするのであれば、この戦略が適している。

▼どちらの戦略がいいか決める時の質問事項
・プロダクトを簡単に使うことができ、その価値を容易に体験できるユーザー層をターゲットにしているか?(これがNoならPLGは向かない)
・1顧客あたりのACV(年間契約金額)はいくらか?
 ロータッチまたはハイタッチセールスを支えられるだけのACVが獲得できているか?

タイム・トゥ・バリュー


ユーザーを以下の4象限に整理。そしてスポイルドの獲得、最大化を目指す。
外的環境に左右されるオーシャン状況と異なりコントロールが可能な場合が多い。ベテランユーザーはアンケート調査やNPSの取り組みに有効だが、注意しないと他プロダクトに鞍替えされるリスクあり。

モチベーションを強化する場合は優れたキャッチコピーを作る
サインアップ数を増やしたいなら、オンボーディングで不要なステップを除く

PartⅡ 自社ビジネスの基盤を築こう

プロダクト主導型ビジネスの基盤を築く


・新規ビジネスの立ち上げ
・プロダクト主導型の道を推進
・SLGからPLGへのピボット
・プロダクト改善、RePMFの段階

これらに該当する状態なら、UCDフレームワークを用いる。
大事なことは、どれか1つでもステップを飛ばすとユーザーに中途半端な体験しか提供できない可能性がある。

▼UCDフレームワーク
U:理解する→プロダクトの価値を理解する
C:伝える→その価値を伝える
D:提供する→約束した価値を提供する

出典元

プロダクトの価値を理解する


▼前提となる大切な質問
「プロダクトを購入する人々は、どんな対価を期待しているのだろう?」
特にB2Bでは以下の2と3を忘れない!

1.機能的対価
(=ユーザーが解決したい主なタスク)
絶対条件ではあるが、顧客価値に対する十分条件ではない。

2.感情的対価
(=そのプロダクトの機能的対価から得たい感情、または避けたい感情)

例:
BIツールの場合)
新しいデータで絶好の機会(または脅威)を発見した時に得られる興奮や驚きの感情
→決してイケてるダッシュボード、APR連携に感情が動くわけではない。
 それは一部のギークや趣味的思考が高い実務担当者かもしれない

3.社会的価値
(=そのプロダクトを使うことで得られる他者からの評判)
例:
グーグル広告の場合)
ユーザーは上司にキャンペーン結果をまとめたレポートを見せる時にそれを得られるかもしれない。
BIツールの場合)
経営層に週次の売上レポートを提出するとき(賞賛・人事評価)

バリューメトリクス
→プロダクトから得られる価値を測る方法

①機能的メトリクス:「1人あたり」「100動画あたり」
②対価ベースのメトリクス:結果に応じて課金されるもの

【バリューメトリクスに必要な3つの条件】
1.ユーザーにとって理解しやすいものである
 プロダクトがすでに確立された市場であれば、他社の価格を参考にする。

2.ユーザーがプロダクトから得られる価値と連動している
例:
ライブチャットソフトのビジネスの場合)
ユーザーのウェブサイト上に、ソリューションを使ったメッセージの投下量
会話数が増えることでどれくらいユーザーが価値を感じているか把握できる。

3.ユーザーがそのプロダクトから価値を得れば得るほど大きくなる
Slackはフェアな課金ポリシーを設け、アクティブユーザーにしか課金していない。ユーザーが価値を感じていれば、課金するのも一考だが、価値を得ていないのであれば課金を減らすべき。

よくある誤ったメトリクスはユーザー数で課金すること。こうしてしまうとチーム内で広まらないことでネットワーク効果が担保されない。
(長期的に見ると失敗につながる)
→ライセンス(ID)数課金モデル、本当に最近多いと感じる昨今。。

【メトリクスを見つける方法】
1.客観的分析
紙を1枚用意して、できる限りブレスト。メトリクスの要素がユーザー数、売上の総額、メッセージ総数なのか?考える。

2.データドリブン・アプローチ
ユーザーを全体最適化せず個別ごとで分類し考える
└有意義なインサイトを得るためには、コアユーザーと解約ユーザーの利用パターンを比べてみる

▼データ分析をする時に重要な質問
1.コアユーザーは、普段このプロダクトをどのように使っているだろうか?
2.コアユーザーがプロダクトでやらないことは何だろうか?
3.コアユーザーがオンボーディングの際、最初にやることは何だろうか?
4.コアユーザーで、プロダクトから価値を得て成功している人の共通点
(年齢・性別・職業・住所、チーム構成・能力)は何だろうか?

▼同時に解約ユーザーに対しての質問を設ける
1.ユーザージャーニーをコアユーザーのものと比べた場合、主な違いはどこにあるか?
2.具体的にどんなアクティビティに違いがあるだろうか?
 解約ユーザーは何を達成でき、何を達成できなかったのだろうか?
3.解約ユーザーはターゲット市場内にいたか?
4.解約ユーザーの主な解約理由は何だったか?

→ヘルススコアだけにとらわれず顧客ごとの定性データを拾うことが大切。
 どうしても表面的な変数や項目に固執することでインサイトを拾えないことがCS上のフォローにおける失敗として"あるある"なため。

プロダクトの価値を伝える


価格の開示を控え問い合わせを促そうとするSLGとは異なり、PLGは積極的にスターター向けプランを前面に打ち出す。

▼プライシングモデルと顧客獲得モデルを正しく設定する方法
1.料金ページを複雑にしない
 5秒テストに耐えられる内容になっているか、30秒以上ページに滞在
しているユーザーに対してポップアップを出してフォローアップに向けた接客機能が備わっているか、など工夫する。
また、機能を無料開放しすぎないこと。

2.有料プランにアップグレードする必要性を感じない無料プランは作らない
 営利目的を追求する以上、フリーミアムに目玉機能を備えて有料ユーザーが増えないことはよくある罠。

3.ダウングレードしやすい設計にしない
 有料から無料にダウングレードすることを留めるために調査する。
【無料機能しか使っていない有料ユーザーの調査項目】
・無料プランの想定ユーザー層と合致しているのは何人か?
・何割であれば失っても構わないか?
・この無料機能を提供することで獲得が見込める追加ユーザー数は?
・この機能を無料で提供することで売上は見込めるか?
・この無料機能にバリューメトリクスは含まれているか?

SaaSにおける4つの基本的なプライシング戦略

1.適正判断型
 感覚的な判断のため、最も効果的ではない。憶測は低い利益につながる。

2.コスト・プラス型
 プロダクトの販売コストと運営コストを計算し、利益マージンを上乗せしたもの。

3.競合ベース型 
 競合他社のデータをもとにサービス価格を設定するもの。その競合がプライシング調査をしていることを前提とするが、実際はしていない可能性が高い。※調査会社のデータから7割以上の企業がプライシング調査をしていない(もしくは、憶測で設定している)

4.バリュー・ベース型
 サービスが提供する価値をもとに価格を設定するもの。SaaSモデルで有効な戦略はこれになる。ユーザーがいくらなら支払う意思があるか調査し、どんな機能を開発して欲しいか知る。

プロダクトの価格を決める方法
オプション1:
経済的価値分析を用いたプライシング
→ユーザーの知覚価値を測るために、前述のユーザーが得る対価(※)を念頭に置く。大半の企業がユーザーに聞かずスプレッドシートに数式を載せて決めてしまっている。
※機能的対価、感情的対価、社会的対価

オプション2:
市場調査とユーザー調査を用いたプライシング
→ユーザーが許容する価格帯を把握する。

STEP1)
質問を準備する
(より多くのユーザーに質問するほど正確な価格を把握できる)
1.高すぎる
→いくら以上だと「我々のプロダクト」は高すぎて購入しないと判断しますか?
2.安くない
→いくらだと「我々のプロダクト」は高く、いったん検討しようと思いますか?
3.高くない
→いくらだと「我々のプロダクト」はお得だと感じますか?
4.安すぎる
→いくら以下だと「我々のプロダクト」は安すぎて、品質に不安を感じますか?

STEP2)
質問方法を特定する
対象者:
 既存ユーザー、見込み顧客
方法:
・サーベイツール
 選択肢を提示し選んでもらう仕様にする→回答率Upに効果的)
・インタビュー
 4つの価格に関する質問だけでは正確な回答が得られにくい。プロダクトの品質改善、ユーザーニーズの理解を深める際に活用する。

STEP3)
分析する
PSM(Pricing Sensitivity Meaturement/適正価格調査法)を使用し、PMC(安さの限界点)とPME(高さの限界点)をプロット。この2点間の範囲が許容可能な価格帯となる。
 

引用元
単に適正価格のゾーンが把握できるだけではなく、それぞれの価格
にあったペルソナをブレイクダウンし、見込み顧客ごとにあった価格を特定できる。
プラン設計時、信ぴょう性の高い示唆を得られるデータとなりうる。

料金ページに載せるもの
①バリューメトリクス
②全てのパッケージの支払い意思額 
③ユーザーに価値があるとみなされている機能
 a.絶対的に皆が求めるもの(マクドナルドだと、ハンバーガー)
 b.含まれていると嬉しいもの(マクドナルだと、ポテト、コーラなど)
 →単品ではなくバンドルにしてARPUを高める効果
 c選択肢を設けたbのもの(コーラーの代わりにコーヒーなど)
 →全員がコーラを必ずしも飲みたい訳ではない。それによりセット売りを控える事象を別の提示パターンで食い止める役割
④ユーザー属性情報
 →プロダクト名をユーザーのペルソナに合わせてセットしたり、ロイヤルユーザーの名前に似たものをニックネームとしてつけたりする。そうすることで、顧客が自分に合ったプランをより早く見つけられ、ターゲット顧客にとって最も有益な機能・利点に注目してもらいやすくなる。

前編のまとめ(Appendix)

いかがでしたか?かなり実践的な内容でした。我ながらまとめていて改めて憶測や何となくベースで取り組んでいたことを反省しつつ、上流から下流にかけてのタスクイメージの勉強になりました。

大切なことは、自社の状況を正しく見つめ、関係者と議論しながら事業開発の視点を持つこと〜正しいチョイスは何かを考えることと思いました。
この書籍の冒頭にある通り、全ての企業・製品がPLGモデルを通して最良の戦略か、と言われるとそうではありません。例えば、以下のような環境が目立つようであればSLGがマッチするでしょう。

代表的な企業では、Salesforceがまさにそうだと言えます。彼らのプロダクトは顧客の課題領域によって起点となるファンクショナルな活用シナリオも千差万別ですし、成功事例が分岐するため、顧客を啓蒙する営業の介在価値が極めて高いと言えます(セールスと言えば、Salesforceというブランドイメージが強いですよね)

僕自身も仕事の中で取り入れた彼らのセリングサクセスメソドロジーはデータを活用し、再現性の高いセールス技法を体系的にした画期的な手法です。以前、同メソッドについて触れた記事もありますので、よければご覧ください!
今では多くの国内企業が取り入れる「THE MODEL」型の分業スタイルも人的投資が可能で、複雑な価値提供パターンを有するからこそ、生まれた"カスタマーサクセス"思考の源泉と考えられます。

  • 新しいマーケットのため、ユーザーの啓蒙が必要

  • ニッチ領域かつバーティカル要素が高く、セールスが全潜在顧客に直接アプローチができてしまう商圏サイズ(アプローチ可能な範囲がTAM<SOMの優先度となる事業)

  • ACVや顧客単価が高く、導入に至る意思決定プロセスに役員承認が必要

  • プロダクトの活用シーンが多く、個社に応じた提案が必要

後編では「価値を提供する」ところからピックアップしていきます!
是非、ご覧いただければ嬉しいです。



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