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スピリチュアル系3話 -第1話- レイキとオラクルカードを記憶に残してくださったスタッフさん vol.2(2011年42歳)

こちらは、「スピリチュアル系3話 -第1話- レイキとオラクルカードを記憶に残してくださったスタッフさん vol.1」のつづきです。
vol.1は、こちらからご覧くださいませ👇

では、つづきをどぞ!👇


「レイキ……聞いたことはありますが……」
ボンヤリと返答したところで、記憶はキュルキュル巻き戻され、オート再生を開始した。
……そうだ、確か15年位前のお勤め時代、経営者交流会に参加した社長(好奇心旺盛)が、朝礼放送かなにかで興奮気味に話していたな。「レイキと言って、手をかざすだけで治療する方法を目の当たりにしました!なんでも、手から出る光のエネルギーで治すとのことでした(←要約)」と。

けれど、当時の私はあまり興味が持てなかったんだった。……だって、抽象的過ぎてよく分からなかったから(社長すみません)。
だから、「ふーん」と思ったきり深掘りすることはなかったけど(社長、重ね重ねすみません)、何となく記憶には残り続けていたんだよなー。

……そんな取るに足らない回想を、私は決して口にはしなかったのだが、スタッフさんはあの時の社長の話を補足するかのように、かいつまんでご説明下さった。
おかげで手法は理解出来たが、今度は効果をどう感じ取れば良いのかにちょっとだけ戸惑う。

しかし、それでも実際受けてみると、6・7分ほどの施術にもかかわらず、まず心がふわりとほぐれ、体もじんわりと温かくなった感覚があった。
具体的にどの部分がどうなったとは言えないが、心身に少しゆとりが生まれた感じ。内面のなにかが変化した気配もある。
『は~こういう不思議な方法もあるんだ……。それにしても、ここまでしていただけるなんて……』
温かなご高配に胸が詰まる。

こうして施術は、最終的に10分オーバーで終了。
しかもその後、お茶のサービスまでもがついていた。
「何から何までありがとうございます……」
テーブル席に移り、優しい香りのハーブティーをいただく。

他に来客が無かったのもあって、お互いなんとなくホッと一息……。
しばし穏やかな時間が流れた。

……とは言え、これ以上長居するのも失礼。
私はお茶をグビグビ飲み干し、「今ちょっと色々大変なので、とてもリフレッシュできました。本当にありがとうございました!」とお礼を告げ、ササッと帰り支度を始めた。

その姿を、何とはなしに見ておられたスタッフさん。
少し沈黙したのち、テーブルの隅にあった美しい絵柄の箱を指差しながらおっしゃった。
「もし良かったら、オラクルカードをひいてみますか?」
「オラクルカード?」

この日2つ目の未知なる世界に、曖昧な表情を浮かべる私。
するとスタッフさんは、箱からカードの束を取り出し、サーッと広げて見せて下さった。
……いやそれがまた、なんと美しいこと!
天使や人物が描かれた絵柄は、どれも光にあふれ、英語も添えられている。

その様式に、私はふとタロットカードを思い起こした。
しかし、「オラクルカードは、占いに使われるタロットとは違い“天啓”。その人がより良い道へと進めるための必要なメッセージや気づきをもたらしてくれる」とのことである。

「………?」
どうしてもその差異が分からず、固まる私。結局、イマイチな理解力のまま、ひとまずおっしゃるとおりに裏返しの束の中からカードを1枚引き、神妙な面持ちでオープン!
……が、カードの意味もまるで分からないので、リアクションに困る。

そこへすかさず、スタッフさん。付属の解説書(日本語訳)をペラペラめくってそのカードのページを見つけ、手渡して下さった。
見ると、「カードが持つ意味」と「メッセージ」がある。

まずは、カードの意味を読む。………正直『ハズレてるな』と思った。
何故なら、今抱えている悩みの対策や結果がまるで見えてこない。
見当違いの内容にガッカリ……。もういいやと諦めた。
でも、『せっかくなので、一応メッセージも……』とざっくり読み始めたところ、勝手に胸がワナワナと震え出したのだ。

まるで訳が分からなかった。
書かれているメッセージは、良くも悪くも「読み手の受け取り方次第」というような、フワッとした内容なのだ。
なのに、なぜか魂を鷲掴みされたようにハッとさせられたのは、おそらくその行間に蓄えられたエネルギーの高さ。全く別次元の、人知を超えた、圧倒的に壮大で力強い愛の波動が、溢れ出ているように思えてならない。

うまい例えではないかもしれないが、占いが“対症療法”だとしたら、こちらは気づきを促す“根本的意識改善”。その人にとって「真に」良い道へと導いてくれるもの。
だからこそ、無意識の領域に自ずと沁み渡ってゆく感じがある。
……そう、それはまさに天啓。スタッフさんのご説明通りであった!

『ちゃんと私のことを分かっていて、見守っていてくれている!!』
これまでに感じたことのない、感動とも感激とも感謝とも歓喜ともなんとも言えない感情が勢いよく吹き出し、胸は一層ワナワナした。
私は、必然的にもたらされたであろうメッセージを取りこぼしなく吸収するため、再度確かめるように文章を読み返した。……が、あふれる涙で全然見えない。

『……なんで泣くの?』
そう己に問いかけた瞬間、せきを切ったように、涙がだばだば流れ出し、しゃくりあげるまでの号泣となった。

一方、スタッフさんは、静かに狼狽された。
そこまで思い詰めているようには見えなかった、といったご様子だった。
されど、すぐに切り替え、次々と私にティッシュを渡し始められた。
そして言葉少なに根気よく、傍でじっと見守って下さったのだった。

「……うっ…す、すみません……ヒグッ」
「大丈夫ですよ。……大変なんですね……」
あれこれ問いただすことも無く、ただただ小さく「うんうん」と頷き続けて下さるスタッフさん。
そのどこまでも物静かで穏やかな温かさが無性にありがたく、一層感極まる。
……こんなに気が緩んだのはいつぶりだろう……。

実は数年前、スタッフさんはガンの大手術を受けられていたのだった。
その上で、マッサージ中に私も同じ臓器を何度も患ったことがあることを知ると、とても親身になって耳を傾け、そこにもレイキをあてて下さっていたのだ。……ご自身の方が断然大変であったはずなのに、だ……。

『なんて真に強く、深い慈愛に満ちた素晴らしい方なのだろう……』
このような方に出逢ったのは初めてだった。こんなにも人に畏敬の念を抱くことも。
涙はますます滂沱として流れた。もはや、なんで泣き出したのかが分からなくなるほどに……。

混乱の涙は、もうどう頑張っても止められそうになかった。
だが、これ以上お店に留まるのは申し訳ない。
私は、グッチャグチャの笑顔を心配顔のスタッフさんに向けた。
そして、出来る限りの感謝の気持ちをしゃくりあげながら切れ切れに伝え、「お体を大切に……」と言い残し、放心状態のままお店を後にした。

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数ヵ月後、私はサロンを再訪することにした。
前回はグズグズドロドロ状態だったから、今度こそはお金を払ってマッサージを受け、あらためてちゃんとお礼がしたい。

ところが、予約をとるためインターネットで確認したところ、存在していたホームページが見当たらない。
嫌な予感がした私は、後日慌てて現地へ。
「………あ………」
そこにサロンの看板は無かった。
新しくはめ込まれていたのは、全く別のお店のもの。
サロンは消えていたのだ。跡形もなく、夢のように。

言葉も無く立ち尽くす。
切なさと無力感の大波が押し寄せた。

変わってしまった看板を穴のあくほど見つめる。
「スタッフさんはお元気だろうか……」
私はひたすら思いを馳せた。そして、人の心にどこまでも静かに寄り添えるあのお方が、どうかずっと健やかで幸せであって欲しい、そう切に願った。

看板をしつこいほど確認した後、僅かな希望をもってお店があった階に
行ったのだが、やっぱり無かった。本当にショックだった。
……スタッフさん、お元気でしょうか。あの時は本当にありがとうございました。
健やかで豊かな日々を過ごされていますように……。



ここまでご覧くださいましてありがとうございました😌
余談もあるのですが、長くなるため次回更新します。
良かったらそちらもご覧ください (/ω\)