「スポーツの本質を見せつけられた」ブラジルで最も印象に残ったラリー――日本フレスコボール協会、会長・副会長インタビュー【前編】
窪島剣璽さんと後藤隆志さんは、日本フレスコボール協会の会長と副会長です。日本で初めてフレスコボールに着目し、2013年に日本フレスコボール協会を設立。以降、普及活動に尽力してきました。
今回のブラジル大会には、2人も選手として出場。2人で大会に出るのはほぼ初めてという中、日本人の先陣を切って登場し、会場を沸かせました。
インタビューでは、ブラジル文化としてのフレスコボール、自らトップ選手たちとプレーして感じたこと、若手選手の活躍に対する想いなど、分厚い内容をお話しいただいています。
全フレスコボーラー必読、そして、フレスコボールにちょっと興味がある、という方にもぜひ読んでいただきたい内容です。
まずは、爆笑と感動の前編から!
コパカバーナでやるからこそ、感慨深い大会
— 改めて、ブラジル大会はいかがでしたか?
窪島 僕はメキシコやイタリアの世界大会には何度か行っていたけど、今回はリオのコパカバーナビーチでやるというのが、ハート的に大きく違ったところ。フレスコボールはコパカバーナ発祥で、野球でいう甲子園みたいなところだから。ロケーションも良くて、簡単に言うとテンションが上がる場所です。
あと選手のレベルも、日本に来たら優勝するだろうなという人が無数にいて、そこはやっぱり、リオのスポーツなんだっていうのを再確認したね。
— 大会の時の雰囲気はどうでしたか?
窪島 やっぱりそれなりの緊張感もあるし、日本チームも盛り上がった。俺とごっとんが最初に出て。みんなは、スパーンスパーンスパーンスパーンと打ってて、「オラオラオラ」とか声を出してやってるんだけど、俺とごっとんは、ドタバタしてるし「うおぉぉぉ」とか「うりゃぁぁぁ」とか、うめき声。(笑)
後藤 もう、会場は大笑い。これフレスコボールか?って感じで。ある選手には、「お前らのは痩せるな。」って言われた。動きが多いから、フレスコボールというより、フィットネスだと。5分間だけど、落としたらタイムが止まるから、実質、10分近くプレーしてるわけよ。もう、地獄の沙汰なんだけど。(笑)
“This is the フレスコボール”
窪島 でもね、芝・斉藤のラリーとか本当によかったよ。すごかったよね。
— 私も見ました。
後藤 いやー、あれは正直、泣いた。こうスポーツ選手が、一生懸命打ち込んできて、この大舞台でその成果を見せるっていう、スポーツの本質というか。プロフェッショナルの魅力、突き詰めた人たちだから出せる感動を見せつけられた。みんな1年がんばってきたんだなっていうのが本当に伝わってきて。
窪島 ビッグラリーで、スタンディングオベーションじゃないけど、拍手もすごかったよ。
↑日本代表の芝・斉藤ペアの様子※芝・斉藤ペアのインタビューとラリー動画はこちらから
後藤 ブラジル選手が1分以上続くラリーはざらにあるんだよ。でもやっぱりそれとは想いが違うし、俺はスタートアップから見てきたから、日本人であそこまで出来るっていうのを、見ただけで十分かな。
窪島 “This is the フレスコボール”だったよね。かっこよかった。ブラジル人たちも、それに関しては賞賛というか、予想よりうまくなってます。みたいなね。今までは、そんなにガチで練習を積んで出た日本人ペアはいなかったから。ある意味、本当のトップ選手が行って出来た、いいラリーだったと思う。かなり攻守の交代も多かったし、リカバーもすごかった。
後藤 本番に入ったら、亮太の方が粗さが出ていて、芝くんのほうがぐっと安定して集中してた感じはあるかな。それに引っ張られて、亮太も乗ってきて。
窪島 芝くんは終わってから、あれはなんだろうね、悔しさか疲れか、感極まってか、ちょっと泣きながら、誰も寄せ付けない雰囲気を出してたよね。すぐ切り替えて応援してたけど。
後藤 僕は見てた選手の中で、ブラジルの選手よりも、日本の芝・斉藤のビッグラリーが一番印象に残っている。
窪島 俺もそうだね。
— ぜひ窪島さんと後藤さんの動画も見せてください。
窪島 ドタバタしかしてないけどね。俺らが声出してると、カミーラ(2人のラリー中、球出しをしている女子のトップ選手)とかも笑うんだよ。掛け声の質が違うって。「うおぉぉぉ」とか、中年のうめきね。
後藤 めちゃ笑われたよね。
窪島 出ちゃうんだよ、声が。(笑)
〇窪島・後藤ペアのラリー動画はこちら。(本人たちがおっしゃるほどうめいていません!笑)
ブラジルでの競技人口は100万人!?
— 日本人はどうしても勝ち負けにこだわるところがありますが、ブラジルはどうですか?
後藤 こだわってるよ、もちろん。あっちの人は人生賭けてるもん。あれだけの選手層なら、勝ち抜くことは嬉しいと思うし。
窪島 モチベーション的に、一回一回の大会が名誉だと思ってやってるよね。
— それは、プロもアマチュアも?
窪島 まあ、アマよりプロの方がそういう気持ちが強いだろうけど。でも、アマの人たちも、いいプレーをしたら納得するっていう感じかな。
後藤 どのスポーツもそうだけど、結局、ブラジルの70年の歴史がある中でも、それで食えてる人って本当にごくわずかなんだよね。トレーナーをしていたり、ラケットなどのグッズを作ったり、スクールで教えたり。
— 競技人口としてはどのくらいいるんですか?
窪島 ブラジルの国内では、100万近くって言われてる。それは競技者でやってる人、レジャーとしてやってる人、スクールでやってる人とかいろいろ含めて。
— 選手自身もラケットをつくっていたりして、楽しみ方はいろいろありますよね。
窪島 そうだね。一応スポーツショップに行けばラケットは普通に売ってるし、競技大会をやっているほかに、違うところでもちらほらやってたりするから。それなりに根付いてるのは感じられた。他の大会は出ていて今回はいなかった人も、俺が思い出すだけでも結構いるし、やっぱりまだまだ、選手層は厚いね。
— 大会の日じゃなくても、ビーチには人がいっぱいいますけど、常にコートがあるんですか?
後藤 常設のポールが立ってて、エリアを仕切っているところが、コパカバーナで2つあって。そこはレッスンプロをやっている人が主(ぬし)みたいになってて、朝から日没まで、ずーっと打ってる。
— 普通に海水浴をしている人もいるんですか?
後藤 いるいる。でもね、ビーチが広大なのよ。三浦海岸の3倍くらいある。
窪島 三浦にたとえるところが(笑)。まあでもそうだよね。
後藤 ビーチから海まで行くのにすごい距離だもん。平らなビーチがずーっと続いていて、ようやくなだらかになるのが、150~200メートルくらい行ったところで。だからビーチスポーツをやるには絶好の場所。常夏だしね。
後編に続く———
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