初恋みたいな導線は
幸/不幸の判断を他者に委ねる気はないんだ
それを問うなら
りんごに手をかけた人類全てが有罪になってしまうよ
初恋みたいな導線が
ばちんと機能する瞬間を知った
ああ
目を覚ませてよかった
彼をまた視界に入れられてよかった
生きていてよかった
私を続けることができてよかった
全てが回復して
全てが順調
全てが拡大して
全てに納得をする
そんな日がやっと来たというのに
自由になったというのに
思いのままに生きられるというのに
プラグを繋ぎ直す先を
今も尚、もて余しているなんて
あの季節に、繋がれたままでいたかったなんて
立ち去れないでいるなんて
今更誰にも言えやしないな
感情が無ければ良かったのにと
何度思ったことだろう
ハッピーエンドが何を指すのか
必死で理解をしようとして
でもやっぱり呑み込めずにいた
誰も彼も嘘しか言わないものだから
信じられるものが何ひとつなくなっていったっけ
幸/不幸の判断を他者に委ねる気はないんだ
初恋みたいな導線を
過去からゆっくり引き抜いて
わたしは動かなくなった私の脱け殻を
見つめる
初恋みたいな導線は
わたしの手のひらの上
天には果てなく銀河から落ちてくるものがある
そこに流れている聴いたことのないような高音域の歌を
少しずつプラグに染み込ませてゆく
灯りが紅くともり
水が青く引かれ
緑が深く繁る夜
わたしは生まれて初めて希望のことばを発音した
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