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無一文になり仕事を辞めた結果、人生が180度変わり「好き」を仕事にできた

2021年10月、私は仕事を辞めた。

その昔、7年間ほどアパレル販売店で勤務していた私は、若さからくる勢いとエネルギーをほぼすべて、仕事と遊びにぶつけていた。店長としてお店のマネジメントをしたり、会議に出席するため大都市を飛び回ったり、時には責任者として厳ついクレイマーの暴言ににこやかに対応したりしていた。

当時はというと、稼いだお金はもっぱら飲み代に使ったり、ド派手な靴、服、鞄に費やしたりと、とにかく浪費癖がひどかった。「貯金」なんて言葉は知らず、宵越しの銭は持たないスタイル。今思えばゾッとするような生活を送っていた。その生活を脅かす薄暗いものが、世界に忍び寄ってきているとも知らずに。

2019年もそろそろ終わる頃、日本海のそのまた向こうで「ちょっとした」ウイルスが流行り出したというニュースがあった。「まぁ日本に関係ないっしょ」と呑気に聞き流しながら年が明け、アパレル界隈では1番の繁忙期に差し掛かった。毎年のことながらあまりの忙しさに心身ともにヘトヘトになりながら福袋を完売。さぁ間もなく春節(中国・中華圏における旧暦の正月)だ!インバウンド客に備えようと準備をしていた。

準備も虚しく、2020年の春節は例年に比べ客数が激減、肩透かしをくらったような閑散具合だった。この頃初めて、私は「コロナウイルス」という未知の疫病と向き合い始めたのだ。

その後のことは想像に難くない。1ヶ月の営業自粛、陽性者が出て営業停止など、今までの世界は変わってしまった。

このアパレル人生のなかで、こんなに休んだことは初めてだった。残業含めて1日10時間以上働き、休日出勤も日常茶飯事だった私は、同じことができなくなった。給与も減ったのだ。会社の制度が変わり残業NG、基本給減、ボーナスがなくなり家賃が払えなくなった。

人生で初めて窮地に立った私。お先真っ暗とはこのことだ。

とにかく、何とかしなければ。そう思い自分を振り返った私は、絶望した。店長という役職にかまけて誰からも怒られることなく、何も勉強せず遊び呆けてきた私に、できることなど何もなかったのだ。

自分の堕落した行動が生んだ結果とはいえ悔しかった。このコロナ禍でさまざまなことに制限がかかってしまった今、気がつくなんて。この会社でこのまま働くことが果たして自分のためになるのだろうか、とも考えた。今回なんとかして乗り切ったとしても、私のような中途半端な人間が販売員で居続けるのは、いずれ限界が来るだろう。そのときに何もスキルがない状態ではそれこそ絶体絶命だ。

そこで私は、20代の半分以上を過ごした会社を、思い切って退職することにした。慣れ親しんだ会社を離れるのは勇気がいることだった。周りからは「もったいないよ」「いきなり辞めたら生活どうすんの」と言われていたけど、もはやお金の問題だけではなかった。今までの怠惰な自分とも訣別したかったのだ。1番親しい友人にも辞めようと思っていることを伝えると、意外な答えが返ってきた。

「ハローワークとか行ってみたら?」

思い立ったが吉日、次の日にはハローワークの扉を開いていた。さまざまな相談に乗ってもらった結果、職業訓練という制度があることを知った。

ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)は、しごとをお探しの方を対象とした「無料※の職業訓練制度」です。
キャリアアップや希望する就職を実現するために必要な職業スキルや知識を習得することができます。※テキスト代は自己負担になります。

厚生労働省:あなたのしごと探しに、役立つスキルを。ハロトレ特設サイト

国からの給付金をもらいながら新しいスキルを身につけられるという制度だ。紆余曲折を経て、私はWebプログラミングのコースを受講することになる。その話はこちらでしているので、興味がある方はぜひ読んでほしい。

そして2021年10月、私は仕事を辞めて、新たな道へ歩み出したのだ。現在はWebサイト制作で培った知識を活かしながら、SEOライターとして活動している。元来、本を読むことが好きだった私にとって、「書く」という作業は新しい扉を開けたようで新鮮だった。Webサイトを作る過程で得たITの知識を書いてまとめたり、転職の経験を記事にしている。もちろん、Webサイトの制作も行なっている。

そしておかげさまで、今では何とか自立できている。コロナ禍で文字通り無一文になった私は、決死の覚悟で過去の自分とさよならした。アパレル業界では身につけられなかったスキルを習得し、今では好きなことを仕事にしている自分に少し誇りを感じている。当時、背水の陣の気持ちで会社を辞める選択をしていなければ、今の私はいないだろう。

最後に、もし私の言葉に耳を傾ける人がいるならこう言いたい。「やらない後悔より、やって後悔」と。あの頃から少し成長したとはいえ、相変わらず当たって砕けろという心意気で日々を過ごしている。

#自分で選んでよかったこと

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