見出し画像

閑話休題③;怒りの行き先

ランチの時間。

たかがランチ、ですが
緊張から離れて一息ついたり、頭を冷静にしたり、
外の空気を吸って心を整えたり
されどランチの重要なひと時でもあって。

日本で働いていた時は、半分のチームが一緒にランチに行き
残り半分が患者さんをカバーし、ランチ後は交代、
夜勤の時は
最初の大学病院では患者さんが寝静まったらみんなで一斉に、
その後派遣で働いてた個人病院では交代
というスタイルで、
時間が決まっていたり、みんなで食べるって形式が作り出す
周りに合わせて仕事を終わらせないといけない緊張と
先輩も一緒にランチを食べる緊張とが混ざり合って
緊張Cの私には
いつもちょっとだけぎこちなかったような思い出があります(笑

アメリカの職場は
声をかけながら行きたい人が行きたい時にランチをとるので、
誰かと時間を合わせて一緒にランチをとるナース
一人で食べるナース
みんな色々。

ランチに行っている間は他のナースがその人の受け持ちを『カバー』します。
誰にお願いするかなんて朝の時点で決まってないので、
状況状況で忙しそうな方は避けてお願いするのが一般的。

仕事を引き上げるタイミングに関しても
基本、担当の患者さんが落ち着いたら、ですが
その『落ち着いた状態』も、ナースそれぞれの判断なので、
それこそ新人の時は、
なんとなく不安でずっとランチに行けなかったり、なんてナースもいて
『大丈夫、大丈夫、私がみてるからランチ行っといで』
と無理やりランチにい行かせたりももちろんあります。
こういうのは世界共通です。

『ナーシングジャッジメント』と言って
看護師の判断によることが多い世界なので
例えば、患者さんをトイレに歩かせて、
それを待ってからランチに行く人と、
『患者さん今トイレに行ったところ』
と申し送ってランチに行く人
2種類の違った状況に出くわすこともあります。

どちらが正しいってわけではないけれど
そのタイミングでランチに行かないと、
検査後の患者が帰ってきてしまう
入院が入ってしまうなどの諸事情が起こることもあり、
それの前にランチをとりたい状況を考えると、これもあり。

プライオタライズ、仕事に優先順位をつけながら働いてる背景には
患者さんのトイレを最後までお手伝いできないそれなりの理由があって、
患者さんがトイレを終了してナースコールが鳴る時には
別の人が介助に入るってこと、割とあるあるなのです。

が。

患者さん側にはそんな状況、分かりにくいですよね。

先日はナースが坐薬を入れて、
『今さっき坐薬を入れたところ』
と私に申し送りをしてランチに行き、
患者さんがトイレに行く準備ができた頃にナースコールがなり、
患者さんがどのくらい歩けるのかわからない私が
どう介助したら歩きやすいのでしょう?という意味で
『How can I help you? 』
と声をかけたところ、
『誰あんた!私に薬を入れたまま担当の看護師がランチに行くなんて考えられない!』
と怒鳴られ。

怒鳴られながらもお手伝いしてトイレに行って頂いて、
その後ランチから帰ってきたナースに状況を説明したものの
そのナースがその患者さんのお部屋に伺った時には
『ナースコールを押して入ってきたナースが『How can I help you?』って聞いてきてハラスメントだ!
と。

ここで考える、私の怒鳴られてる理由に関してですが、
1. 実際に私の声かけの不備、なのか
2. 坐薬を入れた看護師はなんで待っててくれなかったの?という不定された感覚からくる怒りの転換、なのか
3. 便秘が解決しないことからくるイライラの転換、なのか

そして、日本で看護師をしていた時とは違う
4. 全く他の理由、例えばアジア人が嫌い、なのか。

まず1番目の声かけの不備はこの状況では除去します。
理由は、『How can I help you?』と言っただけで怒鳴られたことを受け入れてたら、誰もナースになんてなりたくなくなりますもの。

2番目、3番目には良いコミュニケーションが鍵。
ナースがランチに行かなければならなかった理由を話すと大抵の方は受け入れてくれますし、便秘のストレスはプロバイダー(医師)に連絡です。

面倒なのは4番目ですが、それもあまりに酷いと問題ですが
この方の場合は私が担当ではないのでランチ後は問題ないことでしょう。

看護師という仕事はコミュニケーション能力が試される仕事です。
だからと言って自分にコミュニケーション能力があるか?
努力はしてるけど完璧ではない、が答えでしょうか。

人は間違いを犯します。コミュニケーションでも同じ事。
間違いとわかることなら良いけれど、考えの違いは間違いではないので
そこがまたややこしい。

でも、それを改善するのもまたコミュニケーション、言葉の力であって
時には何も話さずに、相手が話すことだけに耳を傾けることで
改善されることも。
ただただ吐き出したい、それだけ、を受け止める。

怒りの行き先に良いことはないけれど
絆が深まることもあるので
諦めないように、がんばります。
早々にあきらめる事もありますが(笑

むかっとした時には
相手を嫌いになるのではなく、
その状況に対応してる自分、案外やるじゃん👍
褒めながら。
(⬆️Xでのどなたかからの受け売りです。覚えてなくてすみません)

そうそう、これを書いていて思い出したのですが
少し前にいたレジデント(研修医)
研修期間が終わったらAI医療の道に進むと話していて。

これからは医師の管轄のもと?
AIが診断をくだすことも多くなるそう。
看護師の仕事もなんらかの形でAIに頼ることが増えるかもしれません。
でもその時、コミュニケーションはどうなる?

患者さんの怒りもAIに向けられるの?
それを思うと少し虚しいような寂しいような気持ちになりますね。
だとしたら、今はまだ、人間の私たちが受け止めるのも
案外悪くはないのかな。


怒りの行き先、
最後までお読み頂き、ありがとうございました。




この記事が参加している募集

#日々の大切な習慣

with ライオン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?