「後伸びする子」の「後伸びなう」を、日々、目の当たりにしている。
シリーズ「パズル教室の現場から」
~No.18~
2016年5月にスタートしたパズル教室、開講当初に年中さんだった子どもたちがもう、小3。
「低学年」と呼ばれるギリギリ最後の瞬間に、今、立ち合っています。
その子たちの「伸び」っぷりが、最近ものすごくて、日々驚かされます。5歳から、9歳へ。劇的な変貌。さながら青虫から蝶。
かつて、ごく易しい図形の問題にも四苦八苦していた子が、ド難問の立体認識パズルを完成させてくれたりします。
ええ!?これ、できちゃったの!?凄いねー!!
と、本気で驚かされます。そして、年中さんだった頃の姿を思い出して感慨深く、涙が出てくることもあります。
「ぼくたち、わたしたち、ちゃんと、後から伸びるから。心配しないで!」
と、言われている気がします。なかなか大人はその「後伸び」を信じて暮らせない。だからこそ、彼らの今の姿は尊いなぁと思います。
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幼児教育に関わる人間が、まず意識するであろうことが、「後伸びする子に育てよう」ということ、だと思います。
つたなく不器用な取り組みを見守りつつ……
今はできることが少なくても、いつか、この経験が、「後伸び」の手がかり・足がかりになるように。
早くから(大人の思惑により)知識や技能を詰め込まれた子どもというのは、その時は神童と持て囃されても、いつか頭打ちして、幼少期ほどは伸びなくなることが多いものです。
年齢が上がるにつれて伸び率が低下するのは仕方ないとしても、「もう前みたいに褒めてもらえない」と感じてしまう子どもの、心の傷の方が私は心配です。詰め込むなら、大人になるまで神童と持て囃し続ける覚悟を持ってやっていただきたい。でもそんなの大人もしんどい(笑)
そんなリスクある早期の詰め込みよりも、子どもが自分の意志で遊ぶものを選び、いろんな試行錯誤を経験して、「自分でやりきる」小さな成功体験をコツコツ貯めておくことが、幼児期には大切だと思います。子どもは、良い経験の機会があれば、自分の力を自分で伸ばしていくことができます。
(過去にこんな記事も書いてます)
取り組む内容は正直なところ何でもよくて、折り紙でも塗り絵でもブロックでも積み木でも、とにかく子どもが「今これやりたい」と思ったものを、可能な限り好きなだけやらせてあげることでしょう。
デジタルコンテンツは、どんなに優れたものでも「平面上」に留まるので……
実物の、立体的なもの・自分の手で触って操って確かめられるもの、に、いかに触れさせてあげられるか?が、今のこの時代の子育ての肝であるようにも思います。優れたデジタルコンテンツが溢れているだけに。それらを使うなとは言いませんが、親も子も「これ『だけ』で十分」と思うのは危険です。
結局、昔ながらのアナログな「遊び」の時間を、いかに確保してあげられるか?が大切な気がしています。
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かつて学習塾講師として、中学生を教えていた頃……
どうしても、平面上に描かれた空間図形が理解できない子や、図形の問題と見ると拒否反応を示す子など……「問題を解く」という、その手前の段階でつまづいて、先に進めない苦しみの中にある多くの子どもたちと接してきました。
あぁ、すまない、君のその苦しみは、君自身の責任ではない……
その土台となる「感覚」を身につける機会を、確保してあげられなかった大人たちの責任だ……
もっと早く、出会いたかった。
幼い頃の君に会って、一緒に遊んで、その中で学びの土台となる部分を、しっかり固める手伝いをしてあげたかった……
でももう君は、積み木や図形パズルでは遊ばない。そんな時間も、心のゆとりも、ない。
日々忙しい、中学生だからね……
そんなことを思いつつ、仕方なく、「このタイプの問題が出たら、このパターンに当てはめて解きなさい」だの、「これは捨てて、他のできそうな問題で確実に点を取りなさい」だの、その場しのぎの点取り技を伝授しては、無力感に苛まれていました。
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今、目の前にいる子どもたちは、あの頃に会いたかった「幼い頃の君」かもしれない。
「できないはずの難問」を突破して躍進する、長い付き合いの小3の子どもたちを前に、そんなことを思います。
この「後伸び」が、さらなる「後伸び」の土台となりますように……
「目先の伸び」のキラキラ感に惑わされず、「後伸び」を信じて信じて信じきる大人として、子どもたちのそばにいたい。
日々、そう思いながら、パズル教室の現場に立っています。
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シリーズ「パズル教室の現場から」、過去の記事はこちらのマガジンにまとめております。
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