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マッチの素晴らしいところ

ここ最近、マッチの話題が世間でもちきりのようですね。多くは辛口の。

このシリーズでも、一応80年代ソロアイドルということで、ダンス系じゃないマッチについても何か書こうといくつかひねり出してきました。

そこでこのたび、逆張りってわけじゃないけど、あえてマッチの「素晴らしいところ」について書いてみたいと思います。何が凄いのか。ファンじゃないから知識もなく当然実態なんか知らないので、あくまでイメージ。

何度も言って恐縮ですが、彼がデビューした時は本当に驚きました。これってあり? って。ファンの人ごめんなさい。見た目だと、ひかる一平やそっくりさん新田純一の方がアイドル性や清潔感があった。歌唱においても、こんな声で人前で歌うのって許されるの?って子供心にすごく思った。

けど、大人気だった。そして、それなりになっていった。大賞まで取った。アイドルから歌謡界の天下を取った。

マッチの素晴らしいところ。結論から言うと、彼には「臆面がない」。これ、前にも書いたけど。

それがスターであることの最大の強み。迷い、気後れ、羞恥心といった自意識を彼は持っていない。それが凄い。それが特別。「こんなカッコイイ役、オレでいいのか」「こんなキザなセリフ、言うのテレる」なんて思わない。躊躇なく叫ぶことができる。

普通の人なら感じてしまうであろう「引け目」。「ルックスが抜群なわけじゃない」「この程度の実力で恥ずかしい」「大賞を受賞しちゃっていたたまれない」といった面倒な感性を持たない。余計なことをいちいち感じない。スターに自意識は不要。そうでないとタレントなんて神経が持たなくてやってられない。恥ずかしくていつまでも長々とアイドル事務所にはいられない。

「後ろめたさを感じる」という感性を持っていない、まれな人物。

「実力をつけたい」「アーティストでありたい」などと思わない。だから、躊躇がない。テレたりしない。スキルのなさに怖気づくこともない。歌唱力がなくても、ダンスできなくても、演技が並みでも、堂々とできる。その「堂々さ」がスターにさせた。大衆がスターだと思ってくれた。そもそも、ビッグになりたいとか金持ちになりたいとかいう野望もなかった。余分な思考がないのだ。

一方、例えばトシちゃんは自身の歌唱力のなさにそれなりの「引け目」を感じていたと思う。勝手な憶測だけど。だから、ダンスで頑張ってエンターテイナーとして一流になろうと。歌唱力の無さを補ってあまりあるほどのパフォーマンスを提供することでホンモノになろうと。そういった自意識があったのは、デビューが18歳と遅めだから、通常の思考や感性が育まれる時間があったからかも。スターになった後、誇りや主張といった雇われアイドルとしては厄介な自立心が生まれてしまった。その分、生き辛くなった。

あれこれ考えず、事務所や周りの言うことに従っていれば何とかなる。例えば、大手所属のあるアイドルが歌や演技が上手くないのを「お洒落、自然体」という個性にすり替えて大衆イメージを作り上げたように。ある程度の期間ハリボテをやっていれば段々それが厚くなって空洞を埋めてくるようになるし、それなりの「味」も帯びてくる。レコード大賞を取った『愚か者』もカバーソングの『アンダルシアに憧れて』も、彼の本来の歌唱力を超えていい味出てる。

人間、実力や中身がないとどうしても虚勢を張ってしまう。普通の人ならそのことに自己嫌悪してしまうのだが、マッチはそこで無駄に悩まず、目の前のことだけを引け目を感じることなくやり続けた。そのことで、一流の芸能人になった。

といっても、レコード大賞は、その年に活躍した少年隊や光GENJIによって「ジャニーズが受賞した」のを先輩として身代わりで受けたようなものだけど。最優秀歌唱賞受賞に至っては、かばいようがないというか。あ、最後結局ディスってしまった。

このたびも結局、今まで書いてきた記事と同じ内容になってしまったけど、ちゃんとマッチを賞賛しているのが伝わるだろうか。

とにかく凄いのは「ソロ」だった、ということです。ソロの男性アイドルなんて歴代の首相より希少な存在なのでは? イヨッ!大統領、じゃなくて「大将」! ニクいねコノッ!!