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小論文の書き方

基本的なルール

小論文の基本的な書き方やルールは、原稿用紙を用いた作文を書くときのルールと同じです。そのため、まずは「原稿用紙の使い方」を確認しましょう。
原稿用紙には、縦書きと横書きの2種類があります。どちらの原稿用紙でも、話の内容が変わるときの「改行して1マス空ける」ことや、「句読点やかぎかっこは1文字として数える」ことなどは同じです。しかし、縦書きの場合は漢数字で書くことや、横書きで数字を書く場合は1マスに2つの数字を入れて良いことなどルールが異なる場合もあります。まず最初に原稿用紙の書き方の復習すると良いでしょう。
その他、気を付けたいポイントについて以下で解説します。

語尾を揃える

文章の基本ルールの一つに「語尾を揃える」という決まりがあります。語尾には、「~です・ます・でした」などの敬体と呼ばれる語尾ではなく、「~だ・である・た」などの常体と呼ばれる語尾で統一するほうが適切です。

文字数の指示に従う

小論文の課題の場合、文字数が指定されます。看護師が求められる小論文では、800文字~1000文字が条件になっている場合が多いようです。できるだけ指定された文字数の8割以上は書くように心がけましょう。800字指定であれば640文字以上、1000文字指定であれば800字以上となります。なお、指定された文字数よりオーバーした場合は減点や採点対象外とされることもありますので注意が必要です。

簡潔にまとめる

小論文は指定された文字数の中で自分の意見を述べる必要があるため、簡潔にまとめることが大切です。そのため、文章が長くなり過ぎないように気をつけましょう。1文が長すぎると読みにくい文章になり、自分の意図が相手に伝わりにくくなります。また、文字数を稼ぎたいからといって、同じ内容を何度も繰り返さないように気をつけましょう。

誤字脱字はNG

減点を最小限に抑えるためには、誤字・脱字がないようにすることが大切です。日頃から漢字に慣れ親しんだり、丁寧に書くように意識をしたりすると良いでしょう。

小論文の基本構成

看護師の小論文は「序論」「本論1」「本論2」「結論」の4段階で構成するのが基本です。指定文字数が800字のときには、序論(100文字)、本論1(300文字)、本論2(300文字)、結論(100文字)と考えて構成を練ると書きやすいでしょう。文字数の割り振りに関しては、テーマによって多少の変動があっても問題ありません。しかし、序論や結論が長く、本論が短いと相手に内容が伝わりにくくなることを覚えておきましょう。

序論

テーマに対する自分の考えを述べます。
「信頼される看護師とは」というテーマであれば、まず「信頼される看護師とは、相手の気持ちや考えを予測して動ける看護師である」というように簡潔に述べることが大切です。序論とは、小論文の導入部分になります。自分がこの小論文で伝えたいことや、相手が小論文を読み進むにあたって理解しやすくなるように書くと良いでしょう。

本論1

自分の考えに対する説明を述べます。
たとえば、前述の続きで序論が「信頼される看護師が、相手の気持ちや考えを予測して動ける」ことであれば、どうしてそう考えるのかを具体的に書きます。たとえば、「手術室看護師を経験して、医師の考えを予測し良いサポートができた」「患者さんの気持ちを考えて看護提供したことで、信頼関係が築けた」などの経験を含めた理由を挙げると良いでしょう。

本論2

本論1を深堀して具体的に述べます。
本論1に関する内容に沿って、自分の考えを述べると良いでしょう。経験や失敗から、「信頼されるとはどういうことか」「信頼がないとなぜ困るのか」などを深堀りします。

結論

テーマに対する解決策や目標などを挙げて、文章を締めくくります。
信頼される看護師になるために、「今後どうしたいか」「どうしたら相手の気持ちや考えを予測できるか」など序論で述べたことと繋げて書くようにすると文章にまとまりが出てきます。

評価されやすい小論文のポイント


転職や採用試験の小論文を書くうえで意識したいポイントは、「テーマに対する自分の考えや見解、また、課題への目標や解決方法などが明確になっているか」という点です。くわえて、「誤字・脱字がないか、言葉の使い方があっているか」という基礎的な部分も評価のポイントになります。

小論文の4要素

小論文が成り立つ要素として重要なのは「読解力」「発想力」「論理的思考力」「表現力」の4つです。小論文は、ただ単に自分の意見を連ねて書けばいいというものではありません。4つの要素や基本的な文章ルールなどをしっかり理解したうえで書く必要があります。

読解力

小論文のテーマを理解するために必要なのが「読解力」。テーマと関係ない内容だったり、テーマが途中ですり替わってしまったりすると評価は下がってしまいます。出題されているテーマの理解ができているかどうかが評価のポイントになるでしょう。

発想力

テーマに対して、自分の経験や考えを具体的に結び付けていくのが「発想力」といえます。簡潔に要点をまとめるためには、テーマに沿った具体的な体験や考えが必要です。そのため、看護実習や看護業務で感じたこと、看護師になろうと思ったきっかけなど些細な経験から内容を考える発想力が大切といえます。

論理的思考力

テーマに沿った内容で書いたつもりでも、「論理的思考力」が相手に伝わらないと評価に繋がりにくくなります。論理的とは、「要点が簡潔にまとまっているか」や、「解決策や目標などが明確に示されているか」という点です。また、思考力について評価を得るためには、構成を意識して書くと良いでしょう。構成が整っている小論文は読みやすいため、内容が読み手に伝わりやすくなります。

表現力

小論文で正しい「表現力」を発揮するためには、誤字や脱字、文法の使い方を意識することが大切です。どんなに素晴らしい論理的思考を持っていても、正しい言葉を使って文章に出来なければ評価が下がってしまうでしょう。さまざまなテーマに沿って、文章を丁寧に書く練習をおすすめします。

看護師の小論文の例文

ここでは、「高齢化社会に向けて看護師が求められる役割とは何か」(800字)というテーマに沿った小論文を紹介します。例文を参考にしながら、「序論」「本論1」「本論2」「結論」の構成をチェックしましょう。

序論

高齢化社会において看護師に求められる役割は、高齢者ができるだけ長く生活の質を維持できるように支えることだと考える。そのためには、治療に関する看護だけではなく、病気を予防するためのサポートも必要となるだろう。

本論1

私が健康の維持について考えるようになったのは、祖母がきっかけである。85歳の祖母は、自転車で買い物に行き、地域のサークル活動にも積極的に参加していた。年齢に関係なく、楽しめることはたくさんあると祖母を見ていて感じた。しかし、祖母は洗濯物を干す際に転倒し足を骨折してしまった。退院後も車いす生活が続き、自分の思うように動けなくなったことで生きる楽しみを失ったかのように見えた。私は、その姿を見て、人生を楽しむためには「健康を維持すること」が大切だと考えるようになったのである。また、退院後のリハビリや病気の自宅療養においては、訪問看護も重要な役割を担っていると実感した。

本論2

病院における看護師の業務内容は、医療における医師のサポートや介助だけではない。入院患者の生活支援も業務の一環である。この生活支援に関する業務は、介護の分野とも深く関わっていると考えられる。つまり、看護師は医療と介護の両方に携わることができるのだ。高齢化社会で求められるのは、健康を維持するための看護である。そのためには、病気に対する看護だけではなく、健康な高齢者へのサポートや訪問看護も必要だと考えられる。

結論

これからの看護師は、医療と介護の中間の働きが求めらるのではないだろうか。そのために、私は医療のサポートとしての看護技術だけではなく、病気や怪我の予防についての知識も学んでいきたい。1人でも多くの高齢者が健康を維持できるよう、看護師としてできることを実践していきたいと思う。

小論文における注意点

看護師の採用試験における小論文を書く際の注意点を解説します。

時間配分

小論文の試験では、テーマに関する文章の流れや文字数はもちろんのこと、時間配分にも注意しなければなりません。まず、最初の5分ほどで、書く内容について余白にメモを取ると良いでしょう。箇条書きでいいので、序論・本論・結論の内容を決めます。試験終了の5~10分前に終われば見直す時間ができるため、自分で目標時間を設定してから書き進めるようにしましょう。
時間配分に失敗しないためには、練習のときから時間を計るようにします。自分がどこに時間をかけてしまいやすいのかを知ることで、対策を考えることも可能です。

予想外のテーマが出題されることもある

出題されるテーマの予想が外れてしまうこともあります。動揺しないためにも、さまざまなテーマを予測しておくことが大切です。時事問題に関しては、その年によって出題されやすいテーマが変わります。政治、経済に関しては日本のことのみならず、世界で起こったことについて触れられる場合もあるでしょう。新聞やニュース記事をチェックして、おおまかな内容を掴んでおくのがおすすめです。

看護師の小論文対策

小論文対策として重要なのは、書く練習をすることです。文章を書くのに慣れることで、基本のルールが定着し、誤字・脱字も減ってきます。

練習をする際には、過去問があるかどうか確認しましょう。過去問があれば、出題傾向の高いテーマを絞ることができ、練習がしやすくなります。自分のことについてのテーマが多い傾向があれば、看護観や理想の看護師像など比較的書きやすいテーマから練習するのがおすすめです。

書き方については、参考書や本を活用して対策をとると良いでしょう。参考書には出題されやすいテーマや小論文の例文などが書いてあります。また、原稿用紙の使い方や文章の基本ルールなどを確かめるためにも1冊は持っておくのをおすすめします。

また、テーマによっては医療用語から出題される場合も。教科書に出てくる医療用語や、現代社会が抱える医療問題などについて調べておくと良いでしょう。

小論文は客観的に読まないと評価がしづらい試験です。そのため、練習の際も誰かに添削してもらうようにしましょう。学生であれば、学校や塾などの先生に頼むことができますが、転職するときの添削では、家族や友人、同僚のほか、就活・転職エージェントを利用する方法も。きちんとした添削が得られれば、苦手な部分を重点的に対策ができます。

【参考】

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