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【クラファン終了 最終回】毎日投稿⑧ 知ってください「産後うつ」体験談

体験談⑦ 私は何を頑張ったらいいの? その答えは
体験談⑥ 2度目の隔離病棟への入院
体験談⑤ 「お母さんの方が大変なんよ」と言った長女
体験談④ お願いだから まだ入院していて
体験談③ ついに隔離病棟へ入院 その決め手は
体験談② あの日出来ることは「110番」しかなかった
体験談① 薬を飲まずにこっそり捨てていた
体験談⓪ 思い出が消えた日

1歳 & 6歳のパパ「おきなか」です!本記事には「産後うつ」に関する個人の体験が含まれます。ご気分に合わない方、どうぞご無理のない範囲で読んで下さい。

今回が「体験談」の最終回。一番伝えたかったこと、がこの記事です。

2/1(火)まで、クラウドファンディングを実施させて頂きました。
多くの支援をいただき、心よりお礼申し上げます。

当たり前が消えた日

ちょうど一年前の今頃、妻は「産後うつ」で隔離病棟に入院中。当時0歳の次女と5歳の長女は施設保護、娘たちと会うことも、電話で話すことすらできない。そんな中で、私たちは手紙と写真のやり取りで、お互いを励まし合いました。離れていても、私たち家族を支えてくれたもの、その一つが「日常の家族写真」でした。

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クラウドファンディングでは「日常の思い出写真を埋もれさせないアプリ」を開発し、紹介させて頂いていて、同じ経験をされた方の力になりたい、という思いで、経験談をお伝えしてきました。

原因など「無い」 そして「治る」


前回の記事の通り、長い長い入院生活を戦い抜く家内。家内は確実に快方に向かっていっていると、一日数回の電話口の会話からも、感じ取ることができました。もちろん時々は

私は何を頑張ったらいいの!? どうすれば出られるの!?

という難問が降りかかってきます。私はきちんと答えることが出来るようになってきていました。

自分が病気だということを自覚できるように頑張って
調子が悪い日 と 調子がいい日 を自分で見分けられるよう努力しよう
「どこも悪くないのに!!」と強く思う日もあるだろうが、それは「調子の悪い日」だと考えよう。逆に「早くよくなりたいな~」と思う日は「調子のよい日」そんな日を少しずつ増やせるように頑張ろう。

何通もの手紙と思い出の写真とのやり取りを経て、妻は退院しました。

娘たち私を忘れているんじゃないか
覚えていても 最後に見た私は、刃物を振り回すような状態だった
しかも施設に放り込まれて 長女は私を恨んでいるのではないか

そんな心配を車内で何度も口にしながら、娘たちに会いに行きました。なんと伝えて言いかからず、5歳の長女には「お父さんが今日行くよ~」としか告げられませんでした。

数か月ぶりの対面。抱きしめてもらうことも、声を聞くことも出来なかったお母さんにやっと会えた長女。いつも「お母さんの方が頑張っている お母さんの方がつらい」と言っていました。その日は一度も言いませんでした。「お母さんに会いたかった」と何度も何度も話し、ずっと泣いていました。次女は0歳から1歳になっていました。母乳しか飲まなかったのに、自分で哺乳瓶をわしづかみして、ゴクゴク飲むようになっていました。妻を見て「これ誰?」と戸惑いの表情を見せていました。もちろんそれは、ほんのつかの間のことでした。

うつ病の原因は「ない」


このような経験を経て、どうしても伝えいたいことがあります。

『うつ病の原因は「ない」 あなたも明日なるかもしれません』

家内の調子が本当に悪い時、また入院中、何度も言われた言葉があります。

考えすぎたんだね もっと気楽に構えていいんだよ
休みながらやろう 無理しなくていい 頑張らなくていい
周りに相談できる人がいるといい 何でも相談して
何とかなる!って思いながらやろう
(私に対して)仕事はほどほどに 奥さんのそばで話を聞いてあげて

とても励まされました。心の底から感謝しています。
また家内がずっと言ってた言葉も思い出されます。

母乳で悩みすぎた→うつになった→こどもに会えなくなった→悩みすぎダメ

エールをくださった方にとても失礼だと思いますが、何日も何十日も考えぬいて、何十回も心療内科の先生と話し合った末、私がたどり着いた結論はこれです。

『うつになる原因はない だから 誰しもが明日なるかもしれない
【×】母乳で悩みすぎ→うつになる→こどもに会えなくなる→悩みすぎダメ
【〇】うつになる→母乳でなやみすぎてしまう→うつひどくなる→入院

うつになる原因は「無い」んです。これは気休めではなく真実だと思っています。あなたも私も、明日なるかもしれません。だから妻がうつになったのは、悩みがちな性格のせいでも、私のせいでも、子育ての忙しさのせいでもありません。何も悪くなかったんです。悪かったものはただひとつ。それは「運」です。そして「運」は防ぎようがありません。そこに私は、そして妻はようやく気づきました。だからこそ治療を受け入れられたのです。だれでもかかるウイルスみたいなもの。だったら、薬飲むしかなよね。他の病気の時だってそうするし。うつの場合、自覚症状がないけど・・・といった具合に進んでいったのです。

だれもそんなつもりで言っていないことは分かっていますが「頑張りすぎないで」というメッセージには「悩みすぎたことが原因のひとつよ」を内包しています。本人は「あなたが悪い」というメッセージが無意識に届くのです。そして無意識に「私は悪いくない・・ 私は正常だ!」という気持ちが生成されてしまいます。

悩みすぎたからうつになったんじゃないのです。
運悪くうつになってしまったから、異常に悩みすぎてしまうようになり
うつが「更にひどく」なってしまったのです。


心療内科に気軽に通える未来にしたい


うつになるのは「運」です。防ぐことはできません。妻も再発するかもしれません。私もです。親も、娘もなるかもしれません。

何度でも言いたいです。防ぐことは出来ません。日々の生活の中で、歯車がズレた瞬間、誰しもがうつになります。原因などないのです。

でも うつになっても ひどくなることは抑えられると思っています
その方法はひとつです 心療内科にいって 治療してもらうことです

心療内科、行きたくないですよね。妻も嫌がっていました。実は数年前、私も勧められてしぶしぶ行きました。ものすごく嫌でした。話を聞いてもらいましたが、その直後は特に何も変わらなかった気がします。それでもその後、心は軽くなりました。なぜ行きたくないか、それは「うつなんて言われたくない。一度いくだけでレッテルを張られそう。どうせ話聞いてくれるだけだし。」など、様々だと思います。一番は「自分は正常だし」だと思います。「昨日耳鼻科に行ってきた」と「昨日心療内科に…」だと、イメージも大分違うと思います。

でもうつも、中耳炎も、ウイルス性なのです。自分の意志と無関係に、体に入り込んでいくもので、何も違いはありません。違うとすれば「自覚症状の有無」です。だからうつは怖い。まず自分で病院に行こうとはしません。怖いのです。当然何らかの異常や、少しのしんどさは感じているはずです。それを「自分はうつかも」と認めることは、とても恐ろしく、勇気のいる考え方です。だから

周りの人が一緒に 心療内科にいってあげてだください
心療内科に行く そのハードルをどうにか下げてあげてください
うつの症状を軽くして 重症化を防げるのは心療内科だけです
考えすぎてしまう それはうつが始まっているからかもしれません
心療内科にいき 「違う」 と言われればそれでいいじゃないですか
うつだ と言われても薬を飲んで治療すればいいのです
うつは防げない でも重症化 や 入院は予防できると思っています
『うつになる原因はない だから 誰しもが明日なるかもしれない
【間違い】悩みすぎ→うつになる→ひどくなる→だから悩みすぎダメ
【現 実】うつになる→悩みすぎてしまう→治療しない→入院

これが私が一番伝えたかったことです。私が、家内が苦しんでいるとき、「考えすぎないで」「そばにいてあげて」とみなが言ってくれる中、一人だけは「今すぐ心療内科に行け」と言ってくれた人がいました。本当に信頼していた人です。でも私たちはもっとひどくなるまで、心療内科に行きませんでした。だから入院しなければならなくなりました。私たちの唯一の後悔はそこだけです。妻の退院後、その方ともう一度話しました。そこで知りました。その方のお子さまも、うつで悩んでいたのです。知っていたのです。うつを治せるのは「心療内科」だけで、少しでも早く治療を始めれば「重症化」しない可能性があることを。

「産後うつ」のママ パパの力に それが使命


クラウドファンディングは2/1をもって終了しました。本当に沢山の方に支援いただき、本当にありがたいです。そしてそれは私にとっての「はじまり」です。その後も自分の経験をもとに、産後うつで悩むママ、そして中々救いの手が差し伸べられないパパ(私もそうでした)の、力になっていくことが、自分の人生における使命だと思っています。

今後も時々noteで記事を書き続けますし、どんな些細なことでも、ぜひメッセージを下さい。必ずお返事します。noteでも、TwitterでのDMやFacebookでももちろん結構です。同じ病気で悩む人が少しでも減り、家族みんなの思い出が世の中に溢れますように。これからも活動を続けていきます。

長文読んでいただき、本当にありがとうございました!


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