実家に置きっぱなしのモノはありませんか?(47)
前回の記事で、日本人はトランクルームサービス利用率が諸外国と比べて低い(300人に1人)とのデータを説明しましたが、実は日本人、トランクルームには預けないものの、実家には荷物を預けているのです!
2019年8月、私の勤務先株式会社サマリーにて、実家に置きっ放しのモノについてのアンケートを行ったので、その結果を紹介します。
・対象者 :独立した子供がいる親 333人
・調査内容:独立した子供が実家に置きっ放しにしている荷物についてのアンケート
・実施時期:2019年8月
驚いたのが、独立した子供の4人に3人が、実家に荷物を置きっ放しにしていることです。
さらに、半数以上が、「押入れ1個分以上」もの量を預けています。
押入れ1個分以上となると相当の量ですが、このうち大半の方が「独立した時から、ずっと、同じ量を置きっ放しにしていた」ようです。大学進学や就職で実家を離れ、新生活の慌ただしさについつい整理しきれなかったモノが、そのまま実家に残り続け、きっかけを失ってそのままになっている様子が想像できます。
置きっ放しにしているアイテムとしては、本・洋服・思い出の品が上位。他にも、コレクション品・スポーツ用品・布団などの意見もありました。
確かに、私の身の回りでも、「卒業アルバムや高校時代の思い出は、全部実家に置きっ放しにしてきた」「衣替えの度、オフシーズンの洋服と布団は実家に送り返している」という声を聞いたことがあります。それを語る子供側の表情に申し訳なさはなく、むしろ「親に顔を見せる良いきっかけになる」「親も自分に会えて喜んでいる」と、ポジティブな様子で話されています。
子供側からすると、実家に荷物を置きっ放しにするのはとても便利です。季節外の衣類・布団や、思い出の品は、「1ヶ月以内に使う予定はないけれど、捨てることはできないモノ」であり、部屋に置いておくと収納スペースの稼働率を下げる存在だからです。トランクルームのようにお金もかからず、いざ必要になれば親に送ってもらえば良いし、親の家なのでセキュリティも安心と、便利に思ってしまう気持ちも分かります。
しかし、親側からすると、実は結構な迷惑になっているのです!
両親のうち、母親の方がより「邪魔」を感じる度合いが強く、約6割が「邪魔だ」と感じていることが分かりました。
一方で、お子さんに荷物を引き取ってほしいと考えているお母さんのうち約3割が「まだ子供にはそのことを伝えられていない」、約6割が「伝えたものの、片付けの予定はない」。きちんと伝えて、片付けという行動に移せた子供は、7%未満と少数でした。
直接伝えられなかった方に、「なぜ伝えられないのか」理由を尋ねてみると、半数以上のお母さんが、「子供の方が狭い家に 住んでいて、かわいそうだから」と回答しました。確かに、近年の住宅狭小化で、お子さん世代は狭い家に住まざるを得ない 事情も理解できますが、親の思いやりに甘え荷物を置きっぱなしにし、堂々としているのは頂けないものです。
また、置きっぱなしにしている荷物を、お子さんの許可なく親御さんが触り、トラブルに発展した経験について、自由回答で応募したところ、数多くの報告を頂きました。
「古くてかなり匂いのするスニーカーがあり、もう履かないものだと思って捨てたら、数か月後に捨てたのか聞かれて、捨てたと言ったら『勝手に捨てないでくれ』と文句を言われました。(東京都在住 61才男性)」
「化粧品などをいろんな場所に置きっぱなしにしてあるので、空だと思って捨ててしまった化粧品があり、なぜ確かめずに捨てたのかと怒られました(東京都在住 60才女性)」
悲しみ・怒りの声が続々と…。中には「部屋を勝手に使って文句を言われた(69才男性)」という意見もあり、せっかく親御さんが第二の人生を楽しむ場所である自宅がお子さんの荷物によって自由に使えないという、悲しい実態が分かりました。
子供が置きっ放しの荷物が部屋を占領していることにより、元々子供だった部屋を、独立後に活用できていない人は62%。荷物がなくなれば、
・梅雨時に洗濯物を干したい
・オーディオルームとして活用したい
・リフォームして、間取りを変えたい
・自分の書斎にしたい
という思いがあるとのことです。
ちなみに、置きっ放しの荷物の稼働率は低く、約7割が「1年に1回も取り出されず、親が触ることもない」状態とのことです。1年に1度も使わないもののため、親御さんが毎日、一番長い時間を過ごすお家の1部屋が、無駄になってしまっているのは悲しいことです。
もし、あなたがご実家に荷物を預けているのだとしたら、一度親御さんと、今後荷物をどうするか、話し合いをしてみることをオススメします。もちろん、ご実家が十分に広いスペースを持たれていて、住み替えやリフォームの予定がないならば、あなたのモノを置いてもらうのも良いでしょう。その場合も、定期的な荷物の整理を行い、死蔵品にならないよう注意が必要です。
もし少しでも、親御さんに迷惑をかけているなと感じたら、徐々に荷物を減らしていきましょう。ご自身の自宅にスペースがない場合は、外部収納を利用し、ダンボールに入る分は移動させることを検討してはいかがでしょうか。
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