編集長の推薦図書「爆発的ヒットは"想い"から生まれる」 #今週のマーケ本
皆さんいかがお過ごしでしょうか。靴磨くマーケターの小東です。
私は最近、Voicyというラジオアプリにハマっています。皆さんは使っていますか?
Voicyはパーソナリティの方々が非常にユニーク。旅人や料理研究家、歌手の方など、普段直接聞けないようなお話がサクっと通勤時間中に聴けてしまいます。
実は先日、Voicyで知った落語家さんが気になり、聴き続けていたら、とうとう落語の講演会に初めて参加してしまいました。チケットを買ってね。
まさに、ファンになって、遂にはコンバージョンしたわけです。
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ファンになって、人や番組を好きになり、応援する。この流れは人同士がつながりやすいSNS時代には欠かせないポイント。
私が今週気になった、キラリと光る一冊は「爆発的ヒットは"想い"から生まれる:SNSから始まる新しい時代のマーケティング(境治)」です!
この本について要点と気になったポイント、自分なりの解釈をまとめていきます。
■本の要点
本の趣旨を私なりにまとめると、こうなります。
・ヒット作品・商品の裏側にはそれを支えるファンコミュニティ、クラスタの存在がある
・作品・商品に込められた想いに共感するファン、クラスタをSNSで形成し、話題を広めていこう
本書は映画やドラマ作品の実例から、ファン・クラスタがどのように共感し、話題が広まって行ったのか考察しています。
■ポイント①:コンテンツとコンテクスト
本書では、空前のヒット作「逃げ恥」と星野源の事例が紹介されていました。
私はSNSマーケティングに関わる者として、「逃げ恥」は「恋ダンスがシェアしやすい形式(ミーム)だった」とか、「Twitter上でのリアルタイム視聴が盛り上がっていた」とか、その程度は押さえていました。
ただ、私たちマーケターは作品を見る時、もうちょっと深掘りした方が良さそうです。具体的にはこういう目線を持つのが大事と思いました。
・コンテンツ(ex. 監督、俳優・女優、主題歌、など):
星野源がラジオのオールナイトニッポンで古参ファンを集め、俳優や歌手、文筆家として多岐にわたる活動をつうじて多様なクラスタのファンを有してたことが「逃げ恥」ブームの一因だった。このように、作品を構成するコンテンツにどんなファンが触れることになるか念頭におくと良い。
・コンテクスト(ex. 題材の世界観・雰囲気、テーマ設定):
「おっさんずラブ」が大ヒットしたのは、ただのBLではなく「人が人を好きになることは自然なことだ」という純粋で共感性の高い(あまり口外しやすくはないけど)テーマだったから。作品や商品のテーマや世界観がどの生活者のどんな気持ちに刺さるか深く検討する必要がある。
こう見ると「マーケターは社会学や心理学を学ぶと良い」という人がいるのは、なんとなく頷けます。下記はsagako氏のnote、超おすすめ。
■ポイント②:空中戦と地上戦
私のいるSNSマーケティング界隈では、どうしてもSNSを中心にPRを考えてしまいます。
ただ、多くの生活者の最終的なタッチポイントは、商品棚であったり劇場であったり、店内という「現場」にあります。
本書では「サントリー ハイボール」や「カメラを止めるな」の事例が挙げられていました。いずれもPRという「空中線」と「現場(≒地上戦)」がセットになっています。
言葉自体は正直好きではないですが、概念は二つとも大事。
・「ハイボール」は、美人を起用した華やかなCMによるファン作りの裏に、泥臭い営業部隊がいて居酒屋に商品を取り扱ってもらうよう広めていたこと
・「カメ止め」は、新聞の書評欄を見たニッチな映画ファンが劇場をいっぱいにしたことで、その満席具合を見た人の期待感が高まりブームの温床になったこと
TVCMによる売れ行きの見立て・雰囲気作りも、新聞による根強いファンへのリーチ・それによる態度変容も、ブームを作るのにはやっぱり心強い存在ですよね。
この辺りは「新版 戦略PR:空気をつくる。世論で売る。(本田哲也)」も参考になります。SNSマーケターはPR会社さんや大手代理店さんとも協業することもあるので、理解を深めとおいて損はないはず。
■まとめ
今回の話をもとに、「もし自分がPR戦略の企画者なら?」という視点でまとめると下記になります。
・ターゲットペルソナ、ターゲットクラスタを整理して企画する
・ペルソナのどんな気持ち(ex. 私も分かる! / 応援したい!)に訴えかけるのか検討する
・オンオフ両面で顧客接点を取れる構造かどうか検討する(特に、マスやダイレクト領域は専門家とともに、一気通貫な施策に落とし込めているか)
以上になります。
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今週磨いた革靴はパラブーツのシャンボード。雨に強い靴だけど、びしょ濡れになって乾燥気味でした。
また来週もお楽しみに。
■ゆるく、ランチできれば
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