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健康情報は「対象者」と「健康条件」によってポジティブにもネガティブにもなることを理解しよう①(ヘルスリテラシーUP)

初めましての方、そうでない方、こんにちは。
ウェルネスドア合同会社の狩野です。

今回は健康経営の推進と共によく使われ始めた「ヘルスリテラシー」について解説していきます。

ヘルスリテラシーとは?

健康に関する情報・知識を、理解し行動に繋げる力の事で

①健康情報の収集
②健康情報の理解
③健康行動への活用

「健康情報」への対応と、健康になる為の行動の実践まで①~③の過程全てが「正しく」機能している事を「ヘルスリテラシーが高い」、①~③の過程で、不足や間違い、行動に繋がらないなどの場合は「ヘルスリテラシーが不足」または「ヘルスリテラシーが低い」と表現します。

1.健康情報の収集

 健康情報を収集する事が得意であったり、健康分野の専門家に接触する事が出来る人は、健康行動に役立つ情報を取得しやすく、これは健康情報が入手しやすい環境やコミュニティ(健康情報に詳しい人との繋がり)に所属しているか?の影響を受けやすいです。

▷補足・解説・参考例

・(専門家との接点)産業医や管理栄養士などの相談窓口がある
・(環境)定期的な健康教育(セミナーなど)が実施されている
・(コミュニティ)同僚のヘルスリテラシーが高い、健康的な生活習慣や行動を心がける人が多い

 周囲の人や環境が健康的であるか、そうでないかは、他人のヘルスリテラシーと健康行動に影響する。

2.健康情報の理解

健康情報を十分な量を収集出来たとしても、その情報を「正しく理解」したり、その中に紛れている「悪い情報」を取捨選択する事が出来なければ、知識を蓄積し、健康行動への活用へと繋げる事は難しくなります。

▷補足・解説・参考例

他人から聞いた情報や、ネット・SNSで読んだ情報のどの部分が正しく、どの部分が間違っているか?又は情報全体が特定の方向や結論に偏っていないか?を判断する事が出来るかどうかは、その後の健康行動によっては健康を損なう確率を高めてしまう。

3.健康行動への活用

最後に、健康行動へと繋げる為には、収集、取捨選択し蓄積した情報と知識を自分自身の健康状態と、生活習慣、生活環境などの条件に論理的にまとめたり関連付けたりし、現実的に実行可能な行動へと落とし込む必要があります。この段階で収集・蓄積した情報が間違っていたり、偏っていたりなどすると、蓄積した知識から「メリットとデメリット」を総合的に判断した行動がとれないなど、返って健康を害してしまうという事も起こりかねません。

▷補足・解説・参考例

・食品の栄養表示成分表から、自分の食生活から過食、不足している栄養を計算して次の食事で調節をするなど判断ができる
・健康診断の結果から、生活習慣を改め、運動や食生活の見直しなどの目標を立て、専門家の協力を適切に受ける事が出来る

ヘルスリテラシーが不足している人の傾向

・自身の生活習慣(食生活・運動不足・体重管理など)から正しく健康不安を感じにくい
・極端な生活習慣への変更を行う(〇〇は食べない、〇〇は体に悪いなどの決めつけ、頑固な姿勢を見せる)
・救急サービスを利用しやすい
・病気の為に入院しやすい
・薬を適切に服用できない
・薬や栄養に関する表示や説明を理解しにくい
・予防サービス(健康診断・予防接種など)の利用率が低い
・高齢者の死亡率が高い
など

注意!健康情報は「確証バイアス」を起こしやすい

※確証バイアスとは?
-先入観や、自分の好みや趣味趣向、仮説を肯定する為の自分にとって都合が良い情報ばかりを収集する傾向の事。

 人は、専門分野では無い事に関しては、自分にとって役に立つのか、立たないのか?良いのか悪いのか?と直ぐに結論に辿り着きたいと思うものです。それに対し、専門家の立場というのは、情報に対して常にフラット、中間地点からその情報の「メリットとデメリット」を偏りなく収集し蓄積し、「どの相手」「どの条件」「どの様な目的」に置いては、この情報を「ポジティブ」に取り扱うか?「ネガティブ(リスク)」取り扱うかうか?を検討しています。

 一般の方からすると、この姿勢は結論までに時間を要し、自分にとって「断言(アドバイス)」してくれるものではないので、共感を持たれにくく、好感度も高まり難い場合が多い。逆に、素性が不透明であったり、健康マニアの様な素人の発信するネット、SNS情報は、簡潔に断言するように結論を記している場合が多く、刺激的で、共感や好感度を高めやすく、人の心を掴んでしまったりします。

 しかし、この簡潔に短時間で断言する情報発信というのは、その背景を十分に説明するものはなく、特定の方向性や結論に人を誘導しやすく、極端に「メリットのみ」「デメリットのみ」を発信するものであり、その情報を収集し蓄積してしまう事は、総合的(自分にとってメリット、デメリットを天秤にかける)な健康行動への判断力失わせる可能性があります。

 多くの場合健康情報に対しては、自分の性格や趣味に合い、特に影響を受けている人の発信や行動に傾倒・心酔し易いものです。誰しもこの様な「自分の信じたいものを信じたい」という感情と性質を持ち合わせているだという事を理解し、それを前提にした情報収集、例えば、あえて自分にとって「ピン!」と来た情報の「デメリット(リスク)」やネガティブな側面を探すなどし、健康情報の収集と判断の過程で可能な限り「確証バイアス」への対策を意識する事をお勧めします。

 増え続ける健康情報を隅から隅まで目を通すのは、専門家でも難解で時間がかかるものです。だからこそ簡単に結論を見出さず、情報を中間地点からフラットに語る事の出来る、信頼できる専門家の指導アドバイスを求めたり、組織として集団の健康教育を導入する事が重要であると考えられます。

執筆担当:ウェルネスドアLLC代表 狩野 学

参考資料(健康教育の新しいキーワードとしてヘルスリテラシー)

ヘルスリテラシー②インターネットとSNSの「フィルターバブル」と「エコーチェンバー」に注意

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