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「組織行動論」の学びから見えてきたこと

皆さん、こんにちは。神村です。

前回はモンテディオの監督交代にも触れながら、苦境におけるリーダーの在り方などについて話しました。
あれからチームとしてもようやく勝利を収めることができ、今は暗闇を抜けたような感覚です。(今も全く予断を許さない状況ですが…)

今回は打って変わって、「組織行動論」について皆さんと一緒に考えたいと思っています。実は今、APU(立命館アジア太平洋大学)の「組織行動論」という講義を受講しています。これを読んでいる学生さんや若手社会人にとっても、体系だった学問で裏打ちしながら、自身や他人の行動を見直すきっかけになればと思います。

(本稿は「Off the pitch talk 」第86~88回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー&文責:神田さんでお届けします)

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#86 : https://stand.fm/episodes/608fb7c5aa63e52287d47b1d
#87 : https://stand.fm/episodes/60927220aa63e55763d4ab79
#88 : https://stand.fm/episodes/6094fcd1abb2ac37b6fbb817

そもそも組織とは?

まずは、私が30年以上社会人経験を積み重ねてきた中で、今 APU の講義を受けている理由から説明します。かねてから「組織行動論」の講義を行う教授と懇意にさせていただいており、私自身の社長業や組織を動かす側の経験を、学生たちに語る機会を頂けたのが直接のきっかけです。と同時に、この講義を通じて次第に自分が過去に上手くいったことや失敗したことを単なる「経験」ベースで語ってることに気づくようになりました。世の中のセオリーや学問に裏打ちされた「理論」を交えて話さないと、単なる体験談で終わってしまいます。ある意味で、「組織行動論」という学問を深めることで、自身の行動を客観的に振り返ることができ、新たな気づきが生まれるのだと再認識しました。

ところで、皆さんは「組織とは?」と聞かれたら何と答えるでしょうか。学問的な定義では、2人以上の人間が集まった瞬間から「組織」は成立するそうです。では、「組織」と「グループ」の違いについて説明してくださいと言われたらどう答えるでしょうか。(分からなかった方はインターネット等で調べてみてください)「組織」には共通の目的があり、それに基づいたルールや役割があるのが特徴です。そして、組織は役割に応じた地位を定め、個々人をアサインしていく構図になります。

一方、組織に応じた地位(職位)を定めると、今度は「上司やマネジャー(組織の上に立つ人間)は偉いのか?」という別の議論が生じます。本質的には、上司・マネジャーとしての役割を果たすべき人間がアサインされているだけであり、その人自身の優劣などを決めるものではない筈です。ですが、「上司は偉い」というある種の誤解が会社に浸透しているケースが後を絶ちません。皆さんの身近なケース、例えば学校の部活で先輩やコーチが偉いというのは、無意識的に思っていたことでしょう。良い/悪いという価値基準の話ではなく、事実そのような状態に陥りやすいということを認識しておくことが大切なのです。

現場目線での「組織行動論」~個人編~

前述の通り、モンテディオはシーズン途中で監督交代という手段をとりました。その事実に対し、様々なメンバー(関係者)が様々な思いを抱きます。そもそも、組織というのは全く異なる価値観を持った個々人によって構成されています。人によって、「大丈夫かな…」と不安に思う場合や、「よし、頑張ろう!」と前向きに捉えるなど違いが出てきます。個々人の感じ方(捉え方)自体に正解は無い筈なのに、自分と異なる意見や価値観に出会うと、つい「その考え方は間違っている」と否定してしまうことが多いように感じます。これは、個々人の行動が組織に与える影響が少なからずある証拠とも言えます。

一般的によく言われますが、組織の中には「自燃性」、「可燃性」、「不燃性」の3タイプの人が存在すると言われています。この集合体が組織であると捉えると、リーダーには個々のタイプをきちんと見極めることが求められます。その上で、たとえば「不燃性」タイプの人間を排除してしまえば、一旦問題は解決したように見えるかもしれませんが、その繰り返しが組織そのものの性格を変えていくということもあります。つまり、組織の中での人の行動原理を正しく理解していないと、本来持つ「組織目的」を実現することが難しくなったりもするのです。

また、人は他人に少なからず影響されるものです。私は個人的に”モチベーション”という言葉があまり好きではありません。どこか他責な表現に聞こえてしまうからです。どちらかといえば、”セルフコントロール”という言葉の方が腑に落ちます。当然、リーダーであっても人を鼓舞することが苦手な人もいますし、逆に役職がなくても周りを鼓舞するのが上手い人はいます。その人の個性を活かして組織の価値を最大化できるかが、まさに組織行動論なのだと学びました。”Can you motivate anyone?” 

現場目線での「組織行動論」~組織編~

今度は、組織そのものについても考えていきたいと思います。

組織あるいは集団の中で、逆張りのことを言い出しにくい空気を感じた経験は誰しもあると思います。皆さんは、自分以外の全員が反対するような意見を持った時、勇気を出して堂々と意見が言えるでしょうか。例えば、昨年から続くコロナ禍でも、今となってはコロナ自体をバネにすると発言する経営者や企業も徐々に増えた気がしますが、1年前はコロナへの恐怖感が募る中で、「今こそチャンスと捉えて前進しよう!」と逆張りの発言をしていた経営者はとても少なかったと思います。淀んだ空気を変えるには相当のエネルギーが必要になります。元々それが得意な人が居れば良いですが、得意な人が居ない場合であっても、個々の役割行動とは何か?を突き詰めることが、結果的に組織のためになるのです。時には好き/嫌いの判断軸を超えねばなりませんし、自分の不得意、嫌いな役割を担うことは、強いストレスがかかります。その時こそ、楽観主義が組織を救うのだと私は信じています(以前にも紹介した「真剣にやるけど、深刻にならない」というメッセージにも通じます)。

私自身、部下などに対しては危機感マネジメントという手法を無意識のうちにとっていました。要するに、「このままじゃまずいぞ」や「もっとやらなあかんやろ」と周囲に発破をかけることです。ただ、これで他人を動かしていると言えるのか?、本当に人は動くのだろうか?と今更ながら反省しています(特に今の20代の方々などには効果的ではないと感じます)。10年ほど前、ある経営者と話をしたときに言われたのが「危機だ危機だと聞き飽きた」という言葉です。「神村君も社員に"危機だ"って言ってない?」と聞かれてハッとなったのを鮮明に覚えています。この言葉の本質は、人を動かすには感情論だけでなく、理論や戦略が必要だということです(もちろん理屈だけでも人は動きませんが…)。この感情と理論のバランスは正解のない議論かもしれませんが、他人を鼓舞する力の源は何なのか?を考えることは大切なのではないでしょうか。

まとめ:新たな学び・気づきを楽しもう!

今回は私自身が最近学んだ内容を皆さんに紹介いたしました。学問的見地から見れば、まだ私も「何か私かをマスター」しているわけではありません。学び直しは結構面白い、社会で経験を積んだからこそ、学ぶことが腑に落ちるようになる、そんなことを今感じています。ぜひ皆さんも、自身が属する組織(部活・勤務先など)と照らし合わせながら、思索を深めてみてください。

(文責:神田)


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