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【エッセイ】自分の中にある突拍子のなさ

最近、夜眠るのが少し上手くいかなくて、なかなかの深夜…何なら早朝まで起きている。

その起きている間どう過ごすかということに関しては、これまでの数年でいろいろ試行錯誤をした結果「どうしようもない」という結論を自分の中に見出しているので、眠くなるまで、YouTubeを観たり音楽を聴いたり、いろいろ考え事をしたりボーッとしたりしている。

翌日に明確な予定のない者の特権である。へへ。

そんなわけで、この頃はゆるりと夜を漂いがちなのだが、昨夜も例に漏れず「そういう夜」だった。
眠れないなあと思いながら、ベッドの中で何をしていたのかというと、自分のカメラロールをたぐっていた。

1週間前…1ヶ月前…半年前…。
ああこんなことあったな。
1年前…3年前…5年前…。
そういえばこんな場所にもいったな。

記録というものは、消さない限り残り続ける。

しかし実は私は、数年前にスマホ内のデータを一度、訳あって全ロストしている。

まともにバックアップも取っていなかったため、空っぽなデータに呼び戻せたのはたまたま残していた1年も2年も前になるような記録…。アホすぎた。

つまり、私の手元にあるデータは、実のところ途中が1〜2年ほど飛んでいる。
今になって思うと、いろいろ忘れても良いような時期の記録だったから、ないならないで自分にとっては好都合かもしれない。

そんな、途中が少し飛んでいる記録を、ベッドの中で何度も寝返りを打ちながら、気まぐれに見返していた。

ゲームのスクショ、推しの画像、ちらほら紛れるカフェでのワンカット、気に入ってまた買おうと撮ったグミの画像…。
最近のカメラロール内は大体そんな感じだ。

教員をしていた頃は、ゲームをする余裕もなかったし、謎に花とか木とかの画像が多かった。たまに生徒の書いた絵とか、面白いノートのメモとかも残していた。

そんな中、カメラロールにある大好きなゾーンに至った。
これまでにも何度も何度も見返してきた、「2017年の年越し」あたりの画像たちだ。

何もかもが新鮮で、何もかもが楽しかった…!

あの冬、私はフランスに住む友人に会いに「フランスに行った」。

クリスマスが終わった後、12/27〜1/1を海外で過ごすという、個人的に大変大きなイベントがあったのだ。

昨夜見直すまで忘れていたのだけど、飛行機のチケットは12/3に取っていた。月末のチケットを月初に急遽押さえて飛んだのである。

計画性のないチケットの取り方。
我ながら驚きである。

今改めて確認したら、2017/12/03は日曜日だった。

多分、フランスにいた友人と前日あたりに連絡を取っていたのだと思う。そしてそのまま「おいでよ」と声をかけてもらって、ノリと勢いでチケットを買った。…気がする。

あのとき、私はゴリゴリに担任を持っていたし、バリバリに忙しい時期だった。
何ならクリスマスあたりまで部活関係の仕事をして、そこから慌ただしく支度をした記憶もある。

一概には言えないが、教師という仕事の数少ない利点が、基本的には年末年始に多少なり休みがあるというところだと思う。

その休みのほぼ全てを、海の向こうで過ごした。

クリスマスマーケットの迫力に感動した!

今画像を見返してもワクワクする。

何もかもが知らない世界で、何もかもが目新しくて楽しかったのだ。

これはこれで、いつかまた語ってみたい内容なので掘り下げずにおくが、ものすごく楽しかったし良いリフレッシュにもなった。

良い体験をしたなあと思うし、その経験をさせてくれた友人には今でも感謝しきりである。

ここまでだと、なあんだ、たまの休日に海外に行くなんて割とアクティブな人間なんだなあと思われるかもしれない。


しかし、実のところ私は、移動も環境の変化も全く得意ではない。

海外への修学旅行の引率という仕事の帰り、実家に立ち寄った。
すると、安心からいろいろ込み上げる思いがあって、親が心配するくらい声をあげてわんわん泣いた。大の大人が!と、自分に驚いた。

それほど「非日常」にストレスを感じる人間なのだ。

普段、非常に緻密に計画を立てて、いわゆる予定調和なことが大好きな私なのだが、数年に一度こういうバグが起こる。
今思うと、海外へなんてどうして行けたのか自分で説明ができない。

そんな自分でも把握しきれないような、「突拍子のないこと」が、したくなる。

周りがちょっと躊躇するような高さから飛び込むみたいな、衝動的に無茶なことがしたくなるのだ。
あの時期は、そのスイッチが海外旅行という目的で押されたのである。

そう思って振り返って見ると、これまでの人生でも、突然一人で北海道や沖縄、島根に行ってみたり、髪を30センチほどバッサリ切ってみたり…。

なかなか衝動的な人間ではあった。

一人暮らしを始めたときも、かなり勢い任せなところがあった気がする。

「バグ」なんて言い方をしたけれど、私は私の中のそういう「衝動的な部分」が実は結構好きである。


自分のことなのに、他人のことを見ているような不思議な気分になる。

興味深い。
そんなことを考えながら、きっと今夜もカメラロールをたぐる。

明日は朝から予定があるから、しっかり眠らなくてはと思いながら…。

あー!晴れますように!眠れますようにー!
そんなことを思っていたら、寝付けないんだろうなあなんてことも思いつつ。

次の突拍子のなさスイッチはいつ入るかなー。
もはや少しだけ、面白くもある。これだから、「私」はやめられない。

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