#2【ZWIFT・ロードレース】エアロor軽量化 どっちを取るか?コースによって最適なフレーム・ホイール選択を考える
#1の続きになります。※説明の区切りが悪かったので#1を加筆修正しています。
1.結論まとめ
長い記事になったので今回の検証の結論を先にまとめておきます。
何を重視するかの考え方による部分もありますが、敢えて書くと下記になります。
★コースの途中に重要な山岳があるコース
■平均勾配が5%以下の登り ⇨ Tron (Concept Z1)がお勧め
■平均勾配が5%以上の登り+PWR4W/kg以上で登る場合 ⇨Tron (Concept Z1)がお勧め
■平均勾配が5%以上の登り+PWR4W/kg以下で登る場合 ⇨Tron (Concept Z1)
又は Specialized Tarmac Pro+Lightweight Meilenstein ・Specialized Tarmac Pro+ENVE SES 7.8等の軽量重視設定もあり
★Alpe du Zwift等 勾配5%以上で登りオンリーのレース
■最軽量 Specialized Tarmac Pro+Lightweight Meilenstein 1択
★平坦基調コースの場合
■コース全体の平均出力を下げたい場合
Specialized Venge S-Works+Zipp 858/Super9 が優位
■勝負坂
Tron (Concept Z1)が優位
★スプリント
■ロングスプリント、積極策(早めに前に出て逃げ切る)
⇨Specialized Venge S-Works+Zipp 858/Super9が優位
■ショートスプリント、ドラフティング内率高、加速勝負
⇨Tron (Concept Z1)が優位
結果的にはAlpe 意外はTron (トロン)選んでおけばほぼ間違いなしで、私もそうしています。
2.Volcano Climbコースでの検証
■おさらい
基準機材A : 総合No1
Tron (Concept Z1)
比較B : エアロNo1
Specialized Venge S-Works
Zipp 858/Super9
比較C : 軽量No1
Specialized Tarmac Pro
Lightweight Meilenstein
比較D : Tronより軽量にしつつできるだけエアロを保った組合せ
Specialized Tarmac Pro
ENVE SES 7.8
※表の見方#1記事参照
上記のデータは私が走ったレースの結果を採用しています。Volcano Climbのコースは高低差120mの山がありここが勝負所となります。スタートとゴールの高低差が0なので、登った分下った事になり、見た目上登坂抵抗は0(W)。Zwiftレースの多くは周回コースなので、このパターンになります。
※登ってゴールのレースはけっこう少ない
今回の比較では、比較B : エアロNo1”Specialized Venge S-Works+Zipp 858/Super9”がベストに見えます。本当にそうでしょうか?Volcano Climbの下りはそれなりに長く、出力を落としても着いていける休止ゾーンになります。重量が重い分下りの出力のアシストを受けてもあまり意味がありません。下りで得するからといって、機材をわざわざ重くする人はまずいません。
そうすると”下りのみ抵抗”の出力変化は除外して考えた方がいい。それが一番右の列の”下り出力除外差分”になります。ここを見ると比較Bは+0.1に転じるので、基準のトロンバイクの方が良いという結果になります。
もう一つ別の見方をすると、このコースではVolcano Climbの登りで残れるかがレースの最大のポイントになります。登りまで、まったりペースで進んだ場合は、登り勝負となり、それまでの平坦で多少空気抵抗が削減できてもあまり意味がないことになります。※実際には登りまでも、そこそこキツイペースで進むことの方が多いですが・・・
3.Volcano Climb登りのみで比較※勾配の低い登り
Volcano Climb登り区間のみを切り出して比較します。ちなみデータはZwift Powerのセグメントランキングデータから条件に合うものを引っ張ってきています。上記は5W/kgで走った時のデータです。タイムは6:38とVo2MAX域としては非常に苦しい長さです。平均勾配は3.4%と割と緩め、平均速度も33.9km/hとそれなりにあるため、空気抵抗もそこそこあります。
このような状況では総合力の優れた、Tron (Concept Z1)がベストになります。
出力によって速度が変わり、空気抵抗の比率も変化していくので、他のPWR(4W/kg,3W/kg,2W/kg)も見ていきます。
2W/kgになると、平均速度は16.4km/hまで落ちて軽量化の効果が高くなってきます。ここで比較C:の最軽量組合せがベストになりますが、差分も小さく軽量No1 Specialized Tarmac Pro+Lightweight Meilenstein を選ぶかは微妙なところでこれなら、平坦・スプリントもあるのでTronを選ぶ方が良いでしょう。
4.Leith Hill登りのみで比較※勾配の高い登り
勾配の高い登りの例としてLondonにあるLeith Hill平均勾配6.8%での比較です。PWR(6W/kg,4W/kg,2W/kg)の結果を並べてあります。
6W/kgでいった場合でも、登坂抵抗の比率が高く、空気抵抗が小さい為軽量化重視の比較C、比較Dの方が優位の結果になります。これが、4W/kg、2W/kgと下がっていく程に軽量化優位の傾向が強まっていきます。
これも、コース途中の坂だったら悩ましいところで、6W/kgでいけるような猛者はTron (Concept Z1)で良いと思います。4W/kg以下の場合は、登りの重視度によって Specialized Tarmac Pro+Lightweight Meilenstein
Specialized Tarmac Pro+ENVE SES 7.8 といった組合せもありだと思います。
ふわっとした結論になってしまいますが、
★コースの途中に重要な山岳があるコース
■平均勾配が5%以下の登り ⇨ Tron (Concept Z1)がお勧め
■平均勾配が5%以上の登り+PWR4W/kg以上で登る場合 ⇨Tron (Concept Z1)がお勧め
■平均勾配が5%以上の登り+PWR4W/kg以下で登る場合 ⇨Tron (Concept Z1)
又は Specialized Tarmac Pro+Lightweight Meilenstein ・Specialized Tarmac Pro+ENVE SES 7.8等の軽量重視設定もあり
軽量化設定は下記表参照
5.Alpe du Zwift
Alpe du Zwift は登坂距離も長いですが、勾配も急で平均8.5%です。上記は4.2W/kgですが、平均時速は15.6km/hしかありません。この場合は、最軽量 Specialized Tarmac Pro+Lightweight Meilenstein が圧倒的有利で計算上はTronより約27秒早くなることになります。
★勾配5%以上で登りオンリーのレース
■最軽量 Specialized Tarmac Pro+Lightweight Meilenstein 1択
6.平坦系コース:London Classique
平坦系のコースの例として、London Classique で検証を行います。このコースには長い登りはなく9m程登る短い坂があるだけです。下りも勾配がゆるく足を緩めれる程ではありません。この場合は、比較B : エアロNo1のSpecialized Venge S-Works+Zipp 858/Super9 がベストに見えますが、登りのみ、スプリントのみでもう少し検証してみます。
※コースのある部分だけ検証するには、Stravaの分析データを使ってその範囲だけ抜き出すことができます。
6-1.勝負坂のみの検証
約9m登る勝負坂になります。距離はほんの200m、ここは一気に出力が上がる勝負坂になります。この区間だけ取り出した場合は、Tronの方が優位となります。※19秒間1W差なので大きな差ではありません。
6-2.スプリントのみの検証
London Classiqueのスプリントは緩やかに下りながらのゴールスプリントになります。同じコースでの別のスプリントについて検証します。
★パターン① 30秒間のロングスプリント
この時は、少人数でのスプリントとなり残り470mからのスプリント開始と比較的ロングスプリントとなりました。最後早めに先頭に出たこともあり、最高速度は64km/hとこのコースにしてはさほど速度が上がらずのゴールです。④加速抵抗の比率が低めです。この為エアロNo1のSpecialized Venge S-Works+Zipp 858/Super9が優位となっています。
★パターン② 19秒間のショートスプリント
この時は大集団スプリントとなり、ラスト340m19秒間のショートスプリントとなりました。ドラフティングゾーンに入ったままゴールした為、最高速度は71.6km/hまで上がっています。短時間での急加速勝負となった為、④加速抵抗の比率が上がり、④加速抵抗と②空気抵抗がほぼ同じです。④加速抵抗は重量に比例する為、重量面で優位なTronの方が優位の結果になりました。
これは意外な結果で、高速スプリントになればなる程エアロ効果が重要と思っていました。それはある意味では間違っていないのですが、
Specialized Venge S-Works+Zipp 858/Super9 とTronを比較した場合に、Specialized Venge S-Works+Zipp 858/Super9のエアロの優位は0.39%とわずかですが、重量は約0.8%の悪化となります。そうするとドラフティングを活用した加速勝負のショートスプリントとなった場合は、スプリントでもTron優位の結果になります。ちなみにこの検証方法だと、差分から空気抵抗を求めている為、ドラフティングブーストとエアロブーストのアイテム効果も含めて検証できます。
★平坦基調コースの場合
■コース全体の平均出力を下げたい
Specialized Venge S-Works+Zipp 858/Super9 が優位
■勝負坂
Tron (Concept Z1)が優位
★スプリントの場合
■ロングスプリント、積極策(早めに前に出て逃げ切る)
⇨Specialized Venge S-Works+Zipp 858/Super9が優位
■ショートスプリント、ドラフティング内率高、加速勝負
⇨Tron (Concept Z1)が優位
まだ少し続きます。
次回は、実走編で今回のフォーマットで富士ヒルの検証をしたいと思います。
↓作成した計算シートは公開しておきます。
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