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CtoCの超小規模ゲーム開発を終えて、その記録と雑感 ~妻の誕プレにゲームを作った話~

■はじめに

 こんにちは。実は既婚者な花倉みだれです。
 その妻が、先日誕生日を迎えました。めでたいですね。

 「仲がいいエピソード」を売りにしている皆様に比べたらそこまでアツアツラブラブというわけではないですが「仲が悪いエピソード」を売りにしている方と比べたら多分うまくいっているほうかと思っています。今の所。

 そんなわけで、今年の誕生日プレゼントにゲームをあげた、という話を今回はしたいと思っています。

 CtoCで受託開発、身内なのでどうなのよというところではありますが、嘘ではないはず……!
 心に残ったゲーム、というのも嘘ではないはずです……!

■そもそもの発端

 折に触れて過去の記事などでも言っていましたが……。

 今年度に入り、Unityを触りだしたり、SP向けゲームメーカーなり運営なりに滑り込む勉強にでもと、「SP向けゲーム風のガチャ的なもの」を見たり作ったりしている中で、妻から誕生日プレゼントとして「推しキャラのガチャ」を作るよう要求されていました。

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 必要とされるものを渡せるというのはとてもいいことだと思うので、実現に向けて動いていました。現存するSP向けゲームのガチャ演出マジマジ見てみたり。

 ですが、思ったより進捗状況が良さそうに見えてしまったのか、ガチャは廃棄していいので「別のゲーム」を作ってほしい、と頼まれました。

 特に断る理由もないので、承って製作を開始しました。
 ……というところが作り始めたきっかけです。

■製作工程

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いらすとやさんより。「工程」でggったら出てきた画像。ウォーターフォールだとかアジャイルだとかそういう規模感ですらないですね。

 「どんなものを作ったか」というのは本人と私以外に知られてはいけない約束(口頭NDA)を結んでいるので詳細は言えないのですが、ざっくりとどんなことをしたかはお話したいと思います。

 ヒアリング(要求定義)→仕様策定・デザイン(承認)→試作(調整→承認)→本素材導入(承認)→納品

 くらいのステップは踏んでいます。
 実際にやっていることは家庭内なので大したやりとりではないものの、文字にするとすごく開発っぽいですね……!
(要件定義とかαとかデバッグとかアセットとか言い換えたらよりそれっぽそうです!)

●ヒアリング

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 作ってくれ、と言われたものは「☆☆という環境でプレイ可能で◎◎を使った○○っぽいゲームで、××というルールで、▲▲という機能を追加したもの」というくらいのリクエストでした。
 言いたいことはそれだけでもそれなりにわかりはしますが、実際に自分が作ろうと思うと、意外と不確定で不安になることがわかります(笑)
 「××というルールだと、すぐ思い浮かぶレベルでこういう懸念があるけど、そこはどうする?」レベルの細かい話から「細かい機能はいらないから可能な限りシンプルにしてくれ」というコンセプトの引き出しまで、聞けることは一通り聞きました。

●仕様策定・デザイン

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 そこまで大それたものを作るわけではないので、ガチガチの仕様書を作る必要性はありません。
 とはいえ、実際の作業に入る前に、これからやることに立ち返る場所があるとよいなと思ったのと、ヒアリングしたことの再確認をするために、ざっくり紙に画面遷移図やUIの配置などのイメージを書き出して間違いないかどうかの確認をしました。
 省略もできる部分ではあると思いますが、やってよかったなとは振り返って思います。

●試作(調整→承認)

 相互に認識の齟齬がないことがわかってから色々作っていきます。
 途中、こんな機能実現できそうだけどいる? いらない? (それは出来るならほしい、これはコンセプト(=シンプル)に反するからいらない)などのやり取り、こんなSEにしてほしいとか、こんなバランスにしてほしいとか、実物を見せつつ要望を取り入れていきます。
 一通り、要求を満たしたところで仮に完成です。

●本素材導入(承認)

 2Dのゲームで、素材は本人が作るとのことだったので、必要な画像素材のサイズや縦横比などが決まり次第伝えていました。
 もらい次第仮素材と入れ替えたら完成です。

■結果

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 思いのほか喜んでもらえてよかったです。
 こんな感じのができました! と言えない口頭NDAが憎い(笑)

■雑感

 天上人はたくさん目に入るので「私レベルが作れるゲーム」の価値、「私レベルの技術力」は全く高くないと自己評価しています。ですが、場所によっては(全くわからない人から見れば)多少は使えるものなのかなと思いました。

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 「自分が思い描いたものを作ってもらえる」という価値の高さは強いですね。
 例えるなら、転写ネイルサロンやオーダーメイドケーキのような、そういう強さを感じました。
 何より「欲されているものを作って喜んでもらえる」という体験は素晴らしかったですね。

 今回私が費やした工数は、おそらくおおよそ5人日程度でした。
 1000*8*5で40kくらいが原価だと考えると、率直に言えば高い! ですけど、それくらいで頼めるなら頼みたい、という方は結構世の中にはいるんじゃないかな、と想像します。
 思い出の写真を使った家族のメモリアルや結婚式用のアドベンチャーゲームとか、卒業式用のクラス全員のガチャとか、部員の顔グラと能力に差し替えたスポーツゲームとか、ファンクラブ限定配布のアイドルの柄で遊べるトランプやドンジャラのゲーム……そういうのの需要は眠っていたりしそうじゃないですか?
 (余談ですが、実際、草野球やっていた時はメンバーの能力置換でゲームできないかという話になりましたが、『ベストプレープロ野球』が入手困難で諦めたりしたことがあります)

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『ブロックくずして』より。芸人の「デッカちゃん」をモチーフにしたブロック崩しゲーム

 芸人の野田クリスタル先生が面白いですし、ブレイクしているところにもそんな勢いを感じます。


 色々最適化していけばどんどん工数は下げられるでしょうし。
 それこそ、緑と黒の格子柄のケーキを自分で作るのは面倒だけど、刀持った人間のjpgの画像持ち込んでケーキにしてもらうみたいなノリで広く簡単に信用できる人にできるようになると夢が広がりますね。

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『パータシュー』(https://pateachoux2017.com/)様より

 昔読んだゲーム雑誌のインタビュー記事で、とある会社の人が「ユーザーの要望でゲームを作らせたいなら、億くらいもらえれば検討します」といった回答をしていたことを覚えています。
 そっか、自分の欲しいゲームを作らせるにはそれくらい必要なのか……。と当時思ったもので、そこで思考停止している人も少なくないのではないでしょうか(今その会社に頼むなら億じゃ動いてもらえなさそうですけど)。

 スキル売買系のサイトでは既にそういうのもあるのかな、とも思うのですが、CtoCの小規模ゲーム制作みたいなのはもしかしたらそのうち流行るのでは……? というのが今回自分でやってみて思ったことでした。
 500円のアプリ100本売るとか、一人あたり10円広告見てくれるアプリを5000DLさせるより、特定の人に寄り添って一発50000円もらうほうがお小遣い稼ぎ・実績作りとして考えると実現可能性が高い気がするんですよね……。

 街のケーキ屋や雑居ビルのネイル屋なり同人出版社なりが集英社なりアニプレックスなりに納税しているとは思えないので、ある程度リソースをユーザーが用意するなら見逃してくれる、みたいな感じのままいけるとハードルは下がりそうですね。

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UFO仮面ヤキソバン(SFC)

 企業IPのカジュアルゲームみたいなのも、1周か2周回った今こそ隆盛するタイミングなのでは……? いっぱい出てきたら面白そうだなぁとか思います(笑)

 何はともあれ、自分にとっても心に残るゲーム・ゲーム制作になりましたし、妻にとっても心に残ったゲームとなったのではないかなと思っています。
 色々面白かったのでやってよかったです。

 個人サイト時代のキリ番リクエストくらいのノリでリクエストできるような世の中にならないかなぁ……。

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