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ネットゲームのお役立ち情報SNSアカウントを勝手に約半年運営してみて思ったこと

■はじめに

 こんにちは。花倉みだれです。
 今回は、Twitterで特定タイトルのゲームの情報発信アカウント(非公式)を作って半年間動かしていた時のお話をします。
 リソース有り余っている企業であれば独自部隊がやっていたり外注していたりするイメージ(そうでないところは実働部隊が兼務しているイメージ)ですが、そういった人材を求めているところからこいつ素質あるんじゃね……? 採ってみるか……? と少しでも思ってもらえたらという下心がないとは言いません。

■お役立ち情報アカウントとは

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gamewithさんが運営しているグランブルーファンタジー攻略Twitterアカウント公式アカウントがイベント告知などに専念しているのと比較して、よりユーザーが欲している情報に踏み込んで告知している印象です。公式の委託でやっている前提(確証はないですが)で見てみると、発信する情報でメディアを使い分けていることがわかります。

 公式アカウントとは別に、ユーザーの欲している情報を提供しているTwitterアカウントのことをここでは指します。一般ユーザー有志によるものも、法人で運営しているものも同じ扱いとします。
 私個人としては持っていないゲームの攻略本も買って読んだり、電撃PSの持っていないゲームの攻略記事を見てゲームを買うこともあるくらい紙の攻略記事や攻略本というものが好きです。
 ですが、好き・嫌いは置いておくとコンシューマであってもアップデートが繰り返され、ネットゲームであればイベントの更新などが頻繁にある以上、現在においてはお役立ち情報発信メディアとしてTwitter発信が有効であることは認めざるをえないところだと考えます。タイムラインで受動的に情報が受け取れるという点や拡散の容易さで非常に相性が良いです。
 公式アカウント+ユーザーコミュニケーション用広報アカウント+外部(というてい)攻略サイト、というのが最も余裕あるタイトルの情報発信体制なのかなというふうに見えます。

コミュニケーション

最も余裕のありそうなタイトルのTwitter運用のイメージ。インフルエンサーやプロデューサーやディレクターなどはユーザーコミュニケーションに含まれるものと考えています。

 私が今回この記事で言う「お役立ち情報アカウント」とは、上の図で言うところの「攻略アカウント」のことを主に指します。
 非公式に勝手にやっていただけなので、公式とは言えませんからね……。

■やってみたタイトルとその理由、そのタイトルの傾向

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ドラゴンネストM公式ホームページより

 やってみたタイトルは「ドラゴンネストM」というタイトルです。
 ゲームはとてもオーソドックスなMOアクションRPGです。パーティやギルドを組んで大きなドラゴンを協力して倒して週末は多人数対人戦を行います。
 なぜこれだったかというのは、友人がこのゲームのギルドマスターをやっていたからです(私はメンバーとしてまったり遊んでいました)。かつ「攻略アカウント」に類するものが目に止まる範囲では存在せず「何をやったらいいかわからず離脱する」ユーザーが多いのはユーザー目線でも見て取れました。これに心を痛めていたギルドマスターたる友人の助けになればと始めたのがきっかけです。
 一応アルテマが外部的な攻略サイトとして存在していて、攻略班などが動いていた形跡もあるのですが、ユーザー的認知は高くはなく、更新もいつだかに止まってしまっていました。
 公式アカウントの発信は、SNSキャンペーン(スクショグランプリやプレゼントキャンペーン)を除くと、メンテナンス告知、新商品の紹介が主だっています。

●私がお役立ちアカウントを始めた時のドラゴンネストMの状況
・「攻略アカウント」「攻略サイト」「ユーザーコミュニケーション用アカウント」はない、あるいは機能していない。
・最先端コンテンツのゲーム的な攻略に関しては有志同士の情報交換がそれなりに活発。
・初心者離脱が多い(ように見える)
・時限のイベントが多い
・ユーザー同士のコミュニケーションは活発

■役立つ情報源となるために決めた方針

 「ドラゴンネストM」の状況を踏まえ、以下の方針を決めました。

●方針
・「中の人」の存在は極力消す
・発信する情報にネガティブなニュアンスは含めない
・「定期イベント」の紹介と時報を定期的に行う
・「更新情報」の紹介と解説を更新のたびに行う
・「時限イベント」は終わり間際に再度警告を行う
・「攻略」には触れない



■方針と実際の運用

●「中の人の存在」について

 あまり熱量のあるユーザーでは正直なかったので影は薄いかと思ってはいましたが、ユーザー間コミュニケーションが活発なタイトルである分「特定ユーザーのアカウントである」ということがわかってしまうと不要な火種を生むリスクがあると考えられました。それこそ、友人であるギルドマスターの友人であるということがわかってしまうと不便になりかねません。「なんだかわからないけど親切に色々まとめてくれてる人」という印象を与えることを目指しました。
 アカウント名はゲーム内でもチュートリアルキャラとして登場する「ギルド長」とし、アイコンもそれに準ずるものとしました。口調等はトレースしていないのでなりきりアカウントではありませんが、参照してくれるドラゴンネストMユーザーからは概ね直感的に理解していただけたようでした。
 (今ここで中の人がいた感を出した暴露をしているのは、運用を止めて半年以上経過しているので時効かな……というところです)

●発信する情報にネガティブなニュアンスは含めない

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実際のツイート画面。公式発表を画像つきで紹介しつつ、内容を噛み砕いて紹介、自分たちがどうすればいいか(しばらく待てば大丈夫)ということを伝えています。どちらかと言えば鎮火する方向で協力したい気持ちでした。ギルドがあるゲームで離脱ユーザーが出て凹むのは運営だけではないですからね……。

 これはもうシンプルに公式に見つかって怒られるのが怖かったからです。勝手にやっていることですからね。今も書きながら結構ビビっています。でもタイトルぼやかすとよくわからなくなりそうなので思い切っています。
 臨時メンテナンスや不具合などでユーザーの怒りを買っている状況も少なからずあり、自身ユーザーとしてちょっとどうなのと思うところもないとは言えませんでしたが、それは極力隠すよう心がけました。「こういう状況があって、公式発表はこうで、だから自分たちはこうしたらよいのではないか」とあくまで事象を元に中立に情報発信をするよう心がけました
 あとは「人間味」を出さないための要素としても大事だと考えていました。


●「定期イベント」の紹介

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実際のツイート画面。いつはじまる何を目的としたイベントなのか、参加条件が何で、報酬が何なのかわかるよう心がけていました。

 「ドラゴンネストM」では、毎日20時に始まるサーバー全体でボスを殴るイベント「ワールドボス」を始め、毎日、ないし毎週決まった時間に始まるイベントがあります。
 これの告知とルール説明などに四苦八苦しているギルドマスターの様子は見て取れ、実際自分も最初はよくわからなかったので、紹介を決まった時間に行うこととしました。なるべく参加者が多いほうが盛り上がるイベントではあるので、ゲーム内のプッシュ通知などでやってくれればそれに越したことはないのですが、ないものはしかたありません。
 ダンジョンごとに異なる挑戦権がそれぞれ回復するタイミング、ログインボーナスの切り替えタイミングなど自分が疑問に思った仕様についても同様に行うようにしました。
 方法としてはtwittbotを利用していました。色々定刻ツイートするツールはあると思いますが、この時目に入ったのがTwittvotだったという以上の選定理由はありません。やりたいことは不足なくできていました。
 毎週のイベントは毎週、毎日のイベントは毎日、定刻にツイートするよう設定するだけです。

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twittvotの実際の編集画面。イベント開始の30分程度前からはじめ10分前には紹介し終わるように設定していました。

 公式がやってくれればいいのに……と言ってはいますが「ユーザーコミュニケーション用アカウント」に類するものが「ドラゴンネストM」になかったわけではありません。

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「プレイングサポーター」として活躍されていた中根もにゃさんのツイート。

 芸能人を起用し、彼ら自身がギルドマスターをやるという企画(施策)をやっていた期間がありました。適宜イベント告知等も行われおり、奏功すれば私が出張る必要もないだろうと勝手に注視していたところです。
 ですが、企画の性質上告知内容はギルドメンバー向けというニュアンスが強く「ドラゴンネストM」ユーザー全般への周知という意味ではやや不十分な節がありました。
 また、公式色が強いためコミュニケーション用アカウントでは「何をしたらいい」までは突っ込めないのだということもよく見て取れたところです。
 とても頑張っていらっしゃることは伝わっていただけに、運用の難しさも感じさせました。

●「更新情報」の紹介と解説を更新のたびに行う

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ガチャ更新の紹介の一例

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「更新情報」紹介の一例

 「ドラゴンネストM」は週一のメンテナンスの度に何かしら更新があるゲームでした。
 その度に公式のお知らせをしっかりと読み、スクリーンショットをお知らせごとに全て撮影しました。
 スクリーンショットを貼り付けて概要の説明を行います。イベントであれば開催期間、注意点、報酬の説明などを添えました。アバター新商品などはプレビュー画面のスクリーンショットを撮影して貼り付けたり、同アバターを利用しているユーザーを引用したりリツイートしたりして紹介しました。ギルドマスターというのは本当に離脱ユーザーに心を痛める性質のよう(今離脱しているので申し訳ないですが)で「魅力的な商品を紹介する」引用元としてもそれなりに便利に使えたようです。
 テキストベースのお知らせは読まない方も多いことが想像できるので、大事だと思われる点を掻い摘んで紹介しつつ、全文スクショで掲載する形を取りました。
 「お知らせをスクショつきで全部あげる」というのは意外とユーザー(フォロワー)から好評で、ユーザーコミュニケーションでの引用元としての価値を提供できていた部分だったように思います。
 「わかりにくいイベントを掻い摘んで紹介する」という部分でもそれなりの信頼度はあったようで、ギルドチャットで「ギルド長さんがそのうち解説してくれるでしょ」といった話題になっているのを見た時はバレたかとドキドキしていました(笑)

●「時限イベント」は終わり間際に再度警告を行う

 限定ガチャをはじめとした終わりのあるイベントに対して、やり忘れがないように警告をしていました。
 「いつかやろうとしていて機会損失をした」というタイミングは結構離脱に繋がる印象もあったので、それをせめて防ぎたい意図です。離脱に心痛めるギルマスを見る機会を減らしたい意識ですからね。
 こちらも使っていたのはTwittbotで、更新情報の紹介をしたタイミングで設定をするよう心がけていました。
 

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Twittbotの設定画面と実際のツイート画面。終わる前日などのタイミングでイベント紹介の画像を引用しつつ、忘れないように~と告知をしていました。

 自分で設定しておきながら前日見て、あ、これ終わるんだ~ってなることもあったのでリマインドアカウントとして結構必須の告知なように思います。それなりにお役に立てた自負もあります。

・「攻略」には触れない

 あくまで「お役立ち情報アカウント」の枠に収まるよう意識しました。
 元よりさほど熱量の高いユーザーではなかったことやそもそもアクションゲームが苦手で最先端コンテンツの攻略情報の提供は難しいという事情もありますが……。何より、最先端攻略に関しては最先端ユーザー同士で盛り上がっていたので水を差したくない気持ちでもありました。
 「更新情報の紹介」はあまり間違えることもなく恨まれることもないですが「攻略情報」は誤っていた時にヘイトを買う怖さもありますしね。
 ここまで突っ込めるとなお良いのだろうということもわからないではないので、やや心苦しい部分でもありました。

■成果について

 最大のフォロワー数は150程度です。これが多いか少ないかはドラゴンネストMのDAU(デイリーアクティブユーザー=プレイヤー数)がわからない以上なんとも言えませんが、とくにCM等もしておらず、自分からは誰かに絡みに行くこともなく、フォローも公式アカウント関係以外はしないスタンスの中、口コミ半年間で広がった数字としては悪くなかったかなと自分では思っています
 面と向かってであったり、間接的にであったり頼りにされたり感謝されたりするのはプライスレスな気持ちよさがありました。

 また、運営型ネットワークゲームのマネタイズ、お知らせの伝わる部分・伝わらない部分、訴求される部分、イベントスケジュール等々を意識して見るいい機会にもなりました。他のタイトルで見る、お役立ちアカウントや、有志の攻略隊などの凄さも身を持って知ることができました。
 「ギルマスを救う」という意識が、離脱を救うことや商品をしっかり紹介することに繋がり結果的には多分運営を手助けするような形になっていたかと思います。これをうまい具合に自己アピールに繋げて次に繋げたい気持ちはあります。
 触れていながらあまり意識しない業界の色々について意識するきっかけになったので、視野は広がったように思います。

■工数を踏まえた今後の展望・総括

 途中で筆を投げてしまった理由の一つでもありますが、やっていることは上記の範疇のみであるものの、それでも工数は結構かかっていました。
 なるべくテンプレを作ってそれに収めるよう意識したりと工夫は重ねてはいたのですが、それでもそれなりに仕事がアップアップだった時期なのもあり他のことがあまりできないくらい圧迫していたのも事実です。
 クリエイターが作ったもの、プランナーが企画したイベント、それらをより魅力的にお伝えしていくことのやりがいは非常に強く感じました。が、それでも次にやるならお仕事でやりたいですね(笑)
 次に何か大きくハマったコンテンツの公式発表が弱かったらまた自主的にやることもあるかもしれませんが……。

 生産性が高い活動とは言えないとは思いますが「告知コンテンツを作った」という言い回しを用いれば何かを「作った」ことにもなるかと思います。
 「作られたものを応援するものを作る」というのは、そう言えばnoteのコンセプトに近しいものを感じます。
 noteの人たちと自分を同列と持ち上げるのはさすがにおこがましいですが「つくる」ことは苦しくも楽しいものであることは間違い有りません。
 ブログは辞めて久しいですし、noteがなければこういう総括をする機会もなかったかもしれません。
 「つくるのが楽しい」ことを知れた。note様を始め、各コンテンツの製作者様に感謝をし、企画「つくるのはたのしい」タグをつけることをお許しいただきたいです。

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