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ハプニングからのスタート
降り立った駅で
ようこそ〜と言わんばかりにたくさんの花をつけた一本の桜の木。
ちょうど目の高さまで枝が垂れ下がり、淡いピンクがまるで私を包むように揺れていた。思わず写真に撮りたくなり、この日の記念に…とスマホを取り出そうとした…が、
ない!
スマホを入れた肩掛けポシェットがないのだ。
えっ?
さっきまでの行動を脳内で急いで巻き戻す。
あっ!あそこだ!
さっき改札口の手前でトイレに入ったことを思い出した。確かにあの時までは肩から下がっていた。
右手にはゴロゴロとスーツケースを引きながら…
用を済ませてホッとしたのはいいけど、日頃使い慣れないスーツケースのことばかりが気になって、トイレのフックにかけたポシェットのことをすっかり忘れていた。
あ〜
ミッションの始まりがこんなスタートか…と、先が思いやられる。
さっきのトイレに戻ろうと改札口の駅員さんに説明していたまさにその時、ニコニコしながらコチラの方に向かってくる親子がいた。お母さんの手には私のポシェット…
コレですか?
私のリアクションに優しい笑顔とともに全てを察してくれたご様子。お母さんの後ろには小学校低学年くらいの女の子。
その娘さんがトイレで見つけてくれたようだ。
あっ!ありがとうございます。
ホントに助かりました!
ぺこぺこと何度もお辞儀をしている私にどう反応していいのかわからなかったのだろう。娘さんは戸惑っているように見えたが、お母さんの後ろに隠れながらも柔らかな笑みを浮かべ、ちょこんと頭を下げてくれた。
改札付近でやりとりしたその数分の出来事が、これから最大のミッションを目前にアドレナリン全開だった私の気持ちを落ち着かせてくれた。
あの子の姿が、数年後の孫と重なる気がした。
再びエレベーターを出てその桜を見上げた。今度は写真ではなくこの目に焼き付けておこう。そう思った。
さあ、これから二週間。
私はこの春最大のミッションをクリアするためにやってきた。
明日から孫の慣らし保育がスタートする。
サポートがどこまでできるかわからないけど、今、自分のできることを精一杯やろう。
四月当初からスタートしたミッションは無事にクリアすることができました。
二週間にわたる息子夫婦と孫との生活はいろんな気付きや発見がありました。
少しずつ文字に起こしていけたらいいな…と思っています。
先ずは最初に起きたハプニングから書いてみました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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