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読書のスゝメ

九條です。

いきなりですが…。

ここにひとつの文章があると仮定します。詩でもエッセイでも小説でも伝記でも論文でも…何でもいいと思います。

そこに「何が書いてあるのか」は大事だと思いますが、それよりも「その文章によって筆者は何を伝えようとしているのか?」を理解すること、すなわち「文字だけではなくて文字に書かれていないような背景や筆者の気持ちも理解する」ことのほうが、もっと大切なのではないかなと思ったりします。

同じように、誰かが何かを言っているとします。

相手が「何を言っているのか」を理解することは大事ですが、それよりもその相手が「何を伝えようとしているのか?」のほうが、よほど大切だと思います。

文字や言葉には限界があると思います。文字や言葉だけでは伝えられないことが世の中にはたくさんあると思います。人の心の動きもそのひとつだと思います。

とくに、とても大切なことについては、あえて文字や言葉で直接的な表現はせずに遠回しな表現や比喩を用いたり(ときには沈黙をしたり)して、その気持ちを伝える(読者や聞き手に感じ取ってもらう)ということもあると思います。仏教の「以心伝心」や「拈華微笑」の喩えはそういった例ですね。

ですから、その文字や言葉の上っ面(何が書いてあるのか、何を言っているのか)だけの解釈にとらわれることなく、その文字や言葉の向こう側にいる相手(筆者・話者あるいはその物語の登場人物など)が何を伝えようとしているのか、どんな気持ちなのかを読み取ること、感じ取ることはとても大切なことなのではないかと思います。

それは、ひいては「相手の立場になる」「人の気持ちを考える」「人の心に寄り添う」という、人として人らしい温かくて柔らかい心、優しい心を育むことに繋がるのではないかなと思います。

私は文学部(歴史学/日本史学専攻)の出身なのですが、その一般教養過程の講義(授業)のときに先生が、

いい文章を書こうと思えば、とにかくいい文章をたくさん読んでください。たとえば漱石だとか鴎外だとか芥川だとか、そういった「名作」と言われている文学によく親しんでください。

読書をするのは人間だけです。読書は人の世界観を拡げます。視野を大きく拡げます。世界観が拡がれば、あなた達が持っている自分自身のものの考え方や価値観や世界観とは違った、たくさんの考え方や価値観や世界観に出逢うことができます。

そうして読書をすることによって自分自身の視野を拡げて、世界を拡げて、心を豊かにして、感性を磨いてください。

自己主張ばかりではダメなのです。自己主張などは動物でもしています。人は、人だけが相手の気持ちを考えること、相手の気持になることができるのです。

みなさん、どうか、さまざまな価値観・世界観に出逢って、そうして視野を拡げて「人間らしい人」として大きく成長してください。

と言いました。

読書の秋ですねぇ…。^_^


以下は(歴史や日本の古典文学以外で)私がこれまでに読んできた中でとくに個人的に好きな文学作品を各作家さんにつき1つずつ紹介したものです。あくまでも私個人の好みです(順不同)。^^;

〔日本文学〕

◎夏目漱石『こころ』
◎芥川龍之介『蜘蛛の糸』
◎梶井基次郎『檸檬』
◎壷井栄『二十四の瞳』
◎有川浩『阪急電車』
◎山本巧次『阪堺電車177号の追憶』
◎東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
◎川口俊和『コーヒーが冷めないうちに』

〔海外文学〕
◎ジェームズ・ヒルトン『チップス先生さようなら』
◎E.M.フォースター『眺めのいい部屋』
◎チャールズ・ディケンズ『二都物語』
◎デュマ・フィス『椿姫』
◎ジェーン・オースティン『高慢と偏見』
◎ホメロス『オデュッセイア』
◎ヘシオドス『神統記』

 などなど…。^^;

©2022 九條正博(Masahiro Kujoh)
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