酒と泪と猫と人

大学に通い、ある程度の人間関係を持つ上で欠かせないものに飲み会がある。お酒を飲みながら友人や先輩後輩と交流する。プライベートであまり話すことのない方々とも、お酒の力を借りると昔からの親友同然に楽しくお話できるから不思議なものだ。

大人数でお酒を飲むと何かと唱えることの多い魔法の呪文がある。いわゆる「コール」である。

「なーんで持ってんの!ⅹ2飲み足りないから持ってんの!」
「サンダーーバード!!1号!!2号…」
「○○、飲んでなくない?WOWⅹ2」
「1杯2杯はー??当たり前ーー!!!」

とまぁ色々あるわけで、自分もこのコールたちに厄介になったことは度々ある。飲みすぎたと思って遠く逃げても飛んでくるコール。それをどう周りに受け流せるかが、その夜トイレの個室に籠らずに済む秘訣となる。
もちろんその際はアルコールから逃げた罰として、泥酔状態の連れを家まで送るという面倒くさい使命が課される訳だが。

そんな楽しい楽しい飲み会。ふとこれは人間以外の生き物にも存在するのではと思った。

例えば、猫。猫はマタタビの匂いを嗅ぐと人が(猫が)変わったかのようにハイになったり泥酔状態に陥ったりする。ということは猫の世界にも飲み会ならぬ「マタタビ会」なるものが存在するんじゃないか?

金曜の夜に路地裏で猫たちが

「おう○○〜、最近どうよー?上手くやってるか?」
「いやー、上司が面倒くさくてさぁ…何かと言いがかりつけてくるくせに自分は全然仕事しないんだよ。マジあいつクソだわー!」

「ねぇねぇ○○くんとはその後どんな感じ??」
「1回ごはんに行ったんだけどー、向こうから全然連絡くれないんだよね…ニャインも全部こっちからだし返信も遅いし…なんでよー泣」

「てかさ、ニャンスタに毎日のように美味しいマタタビの写真ばっか載せるやついるじゃん?どんだけリア充アピールしてんだよって感じだよねー」
「わかる!しかもそういうやつに限って彼猫匂わせニャイートとかするじゃん!?まじウザい!」

「ニャーンで持ってんの!ニャーンで持ってんの!嗅ぎ足りニャイから持ってんの!ハイハイ!ハイハイ!」
「ニャイニャーイ!!」

と会話(?)してるのを想像しながら散歩していると、近所でよく見かける猫が家々の間をすり抜けて大通りに向かっていた。大方、今夜のマタタビ会の予約でもしにいくのだろう。いつか猫たちが千鳥足で肩を組んで街を歩いている姿を見かけたらそっといろはすを渡してあげようと思う。飲みすぎ(嗅ぎすぎ)には注意しなよと言い添えて。

まぁ、いろはすでマタタビ酔いが覚めるかどうかなんて知らないけれど。

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