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#140字SS
【140字小説】時計農家
うちは代々続く時計農家だ。昔は盛んだったが、近年は時間管理もスマホの仕事で、同業は年々と減り今では日本産の時計は殆どがうちで獲れた物だ。
そろそろ10年前に収穫に出た父が帰ってくる頃だろう。祖父の骨は私が生まれた頃に、新鮮な時計と共に帰ってきたという。父はどんな姿で帰るのだろうか。
別れ【140字小説】
ぽつり、ぽつりと、場所を選ぶ様に、俺の周りに花が咲いていく。
時には咲く前の花弁がふわりと俺の顔をなで、安らかな言葉をかけていった。
雨がたまにポツリと来たが、本降りにはならない様だ。そうだよな、折角の綺麗な花が萎れっちまう。
ああ。
いい人生だった。
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