見出し画像

黄色い傘の女 #1/3:《禍事》

初めての一人旅はとても不思議な旅だったと回顧する。

当時の私は仕事もプライベートも心身共に参っていた。
まるで幽鬼にでもなったかのように、何をするでもなく、ただ悪戯に過ぎていく時を他人事のように傍観しているだけの日々だった。

そんな中、追い討ちを掛けるかのように身の回りでは"不思議な事"が起こっていたのでいくつか紹介しよう。

不思議な現象その1

・引越し前日、
 窓に絶対映り込むはずのないヘッドライトが流れた。

私の住まいは2階にあり、同じ高さの道は無い。
その窓に面した側に道はあるが車が1台通れる程度で、
通ったとしても徐行程度の速度。
私が見たのは体感的に4,50km/くらいの速度だった為、
"窓に直撃するような光源が流れるはずがない"

不思議な現象その2

決まった所だけ、
たまに黒い影または白い靄が掛かる瞬間がある。

民家の塀の角(路地の入り口)
信号の無い小さな交差点、消火栓の横…と特定の部分を見やると塊状のシルエットが見えたり、靄(もや)が掛かったような状態になるのだ。

目の病気を疑い病院を受診するも、何も出ず。
そんな事が…毎回ではなく

"たまに"   "決まったその部分だけ"起こる。

ただ引越しを控えていた事もあったのでその場に行かなければ問題ないと思っていたのだが、新居に移ってからも度々影(靄)が目に映っていた。

新居に移ってからは"怖い夢"を見るようになる。
起きているような感覚だが身体が動かない。
…いわゆる"金縛り"というものだ。

その状況に加えて、
"知らない人が家の中に入ってくる「夢」を見る"

夢と断言出来る理由は、間違いなく鍵を2つ以上掛けていてその内1つは破壊でもしなければ開かないものであるからだ。

その内容はというと、
ガチャガチャと音が鳴り、人が入ってくる。
背丈は家具の位置等から160cm程度、暗いので顔はもたろん顔も見えず男女の判別までは出来ない。

それは玄関まで来る……が、何もしない。

ただ、立っているだけだ。

私は恐怖を感じ、起きようとする。
しかし身体全体が鉄か鉛かになったような感覚で、四肢はおろか指一つすら動かない。
それでも必死にもがき、呻き声を上げながら起きてみると、それは騒々しい音を立てて逃げるように去っていく。

…この、あまりに不思議な怖い夢を2度3度は見ていた。

ただ最後にその夢を見た時に危険を感じ、
「とりあえずここに居続けるのはヤバい」と本能が教えてくれたのか、これまで1度も経験のない一人旅をする敢行する事にした。

唐突に。
なのに何故か行き先はすぐに決まった。

私は適当な衣服と小物をボストンバッグに詰め込む。
そのまま寝ずに朝を待ち、日が昇ると同時に家を出た。

逃げるように、誘われるように。

→続く。 第2夜《奇禍》
(リンク繋げました、押すと続きが読めます)

#私の不思議体験


〜あとがき〜
最後までお読み頂きありがとうございます。
不思議体験というお題を見て、今から15年くらい前に僕の身に起きた"一連のナゾな実体験"を書き記す事にしました。
敢えて、小説…というとブランクもあって微妙すぎるので、今回は手記に近い内容にしています。
(ただカテゴリには小説を加えてます(笑))

何週間か前から書いてやっと出来たくらいなので、次回更新は来週…くらいだと思います。

宜しければ次もまたお読みくださると幸いです。
(スキやコメントくださると励みになり、更新がちょっと早くなるかもしれません)

もし良いなと思われたらサポートお願い致します。今後のコンテンツ作成の励みになります!