【エッセイ】大人になったら

子どもの頃、20歳になったら
勝手に大人になれるんだと思ってた。

小学生や中学生の私にとっての20歳って、
手を伸ばしても届かないようなイメージだった。
永遠にそんな歳にはならないんじゃないかって。

何でもできて、
なんでも知ってて、
私なんかよりもグンと大人びている、
そんな成熟した人たち。


私は26歳になった。
20歳なんてとうの昔に越えて、
世間的には大人と言える歳なんだろう。

でも私は恥ずかしいぐらい
知らないことだらけだ。

今日だって
仕事で怒られ、
注意を受け、
軽い言葉も上手く流せずに
ひとつひとつ受け止めて。

凹み、
悩み、
独り反省会を開くような
なんだか哀しい生活を送っている。

思い描いていた大人ってこうじゃない。


転職活動して、必死の思いで
憧れていた編集ライターになった。

転職したってゴールはそこじゃないよね。
分かっていたけど実感する。
会社に入れたからって勝手に実力がつく訳じゃないことを。
当たり前なんだけど。

毎日の業務についていくのがやっとな毎日。
遅くまで仕事して、
帰ったら気絶するように寝て、
起きたらまた仕事の準備して。

成長、、できているんだろうか?
疑問を感じることはあるけれど、
過去の自分よりは確実に進んだ場所にいるんだろう。


4月2日。
新入社員だったあの頃を思い出す。

この日、私は1週間の研修に参加する予定だった。
前日に入社式の後、これから仲良くなるであろう同期たちと交流して、「明日からよろしく!」なんて会話もあった気がする。


そうしてやってきた研修初日に、
私たちは自宅待機を命じられた。

コロナ禍対策だという。

あの頃の日本にとってコロナは今以上に未知の得体の知れない存在で。

研修予定だった資料一式を渡され、自宅でモヤモヤとなんともいえない感情とともに過ごしたものだ。


あの日から早数年。


気付けば転職しているし、
研修期間なんて概念のなく
入社初日から「原稿、書いてみる?」
なんて言われるような会社で
毎日が実践のような毎日を送っている。


今日もたくさんの新入社員らしき
初々しいスーツ姿を見かけた。


私にもあんな時代があったなぁ。
あの頃よりは大人になったよね?

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