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「月でくらす展」で思った、大都市の科学イベントの落とし穴。混雑で消えゆく子供たちの好奇心

東京の日本科学未来館で開催されていた「月でくらす展」に行ってきました。この展示は月の地質学から未来の月面基地、さらには月探査の歴史に至るまで、多岐にわたるトピックで構成されていました。一言で言えば、圧巻の一言でした。しかし、この素晴らしい展示の背後で感じたことがあります。それは「混雑」です。

展示会場内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、親子連れの多さでした。多くの親が子どもに科学に興味を持たせようとこの展示に足を運んでいました。その熱意は、子どもたちが未来を担う新たな科学者や研究者になるためには必要不可欠なものであり、一見すれば、それは極めてポジティブな現象であるように見えます。

しかし、その実態はどうでしょうか?展示物は人で囲まれ、ほとんど見ることができない。体験コーナーは行列ができており、待っている間に疲れ果ててしまう。このような状況では、子どもたちの科学に対する興味や好奇心はかえって削がれてしまう可能性があります。

今回のイベントは、とにかく人が多くて、展示を見て疑問を持ち、考え、解決するということを息子と一緒に全くできなかったなと残念に思い、どうすればよかったんだろうかと反省しています。

この夏休み、私は関西にも訪れました。関西にも触れるべき場所は無数にあります。しかし、それらの場所で感じた人の多さによるストレスは東京とは比べものにならないほど少なかったです。

地方や小規模なイベントでは、観客が少ない分、展示物にじっくりと時間をかけて触れることができます。また、展示を管理している専門家や研究者と直接対話する機会も増えるでしょう。これは、都市部では考えられないほどの贅沢な時間です。

東京は確かに文化や科学に触れる場所が豊富ですが、その反面、常に人で溢れています。それによって、多くの場合、質の高い体験が得られないというジレンマに直面しています。

私たちが子どもたちに提供すべきは、多くの情報や体験よりも「質の高い」体験です。そのためには、大都市での名だたる施設だけでなく、地方や小規模なイベントも視野に入れることが大切だと改めて感じました。

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