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3歳、葵ちゃんのはなし。

(自我状態療法っていう治療法は、ふつうの頭でいうと『夢:Night dream』みたいな感じで進みます)

昨日の治療はわたしにとって、ブレイクスルーな回だった。

簡単に言うと、わたしの中の、母から虐待を受けていたパーツ「葵ちゃん」が救われたのだ。

感情的に暴力を振るわれる経験というのは、子どもの発育を大きく左右する。体も心も、感覚も感情も、すべての面において害悪でしかない。

傷ついた幼い葵ちゃんと、傷つけた母親。

『謝られる側』と『謝る側』の構図で、当然、葵ちゃんと母が対峙するかたちで治療が進むのかと思っていた。

だけど、結果。。。

母は離婚し、実家に帰った。3歳だった葵ちゃんを連れて。

「え・・・?」と戸惑った。現在のわたしが。

40数年前にさかのぼるのだけど、あの頃の母は、もう仲良くもできない父と過ごし、義理の両親と暮らしていることに、限界を感じていた。

そのストレスのはけ口が、葵ちゃんへの虐待だった。

そんな苦しみがあったにも関わらず家を飛び出さなかったのは、幼い子から父親を奪いたくなかったからだった。

母は小学低学年のときに父親を亡くした。「その悲しみと寂しさと絶望感を、子どもに味わせたくなかった」という言葉を、昨日の治療の中で(当時の母に)聞けた。

「それは葵ちゃんに対する愛ゆえの選択だったんですね。お辛かったですね。

でもお母さん。子どもは大人とは違います。人の言動をそのままに、ダイレクトに捉えてしまいます。大人のように、相手の言動の背景を想像することはできないんです。

幼い子どもに愛情を伝えるのは、直接的でなければなりません。

“自分は愛されているのだ”と感じられる人生なのか、“愛されているのかどうか分からない”人生なのか・・・

それは大人であるわたしたちの言動次第だと思うのです。お母さんは葵ちゃんにどんな人生を歩んでほしいですか?」

心理士が問いかけると、母はしばらく黙っていた。そして間をおいて離婚する決意をした。

わたしを授かったために辞めざるを得なかった仕事にも、母は復帰できるんだとわかった。それがうれしかった。

『アンタのために諦めた』『アンタのために我慢した』ともう言われなくていいんだ。

わたしのせいじゃなかった。母の選択が間違っていたからだった。

これから葵ちゃんは、虐待もされず、感情的に当たられることもない世界線で、母と祖母と暮らしていくのだと思う。

現在のわたしは今の、この世界で生きているんだけど、『夢』の中で、葵ちゃんが健やかに育っていったら、どんなよい影響があるんだろうと楽しみにしている。

(おわり)


【高校2年生、ミサのはなし。】はこちら→

【28歳、スナのはなし。】はこちら→

https://note.com/m19y76m/n/n0e2b0fb24250

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