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サンタクロースの贈りもの
パパやママの置いてくれたプレゼントに大はしゃぎして、あちらこちらの子どもたちがサンタクロースにお礼を言っている顔を想像すると、温かく満ち足りた気持ちになります。
息子が小さかったころ、毎年サンタクロースからのカードを英語で綴ることにしていました。いつもどこかから息子を見守っている、親以外のだれかに思いを馳せて文面を考えるのは、とても楽しい時間でした。
息子のほうも、サンタクロースへのプレゼントを枕元に用意していました。寒い夜に駆け回るサンタクロースのために、忙しくても食べやすそうなポッキーをひと袋、サンタクロースへの手紙も添えて。
サンタクロースが実在すると息子が信じていたのはいつまでだったのでしょう。
「お兄ちゃんのいる小学校の同級生に聞かされて、本当は親が置いてくれていると知ってたよ。でも、サンタクロースを信じているふりをして、ずっとプレゼントをもらっていたんだ。」と打ち明けられたのは、中1のクリスマス明けのことでした。
その中1のクリスマス前、「サンタさーん!今年はアラビア語のカードがほしいでーす!」と、息子は宙に向かって声を張り上げました。
それは母への挑戦状なのね。よし、受けて立ちますとも。
「英語だけでなく語学は大切ですよ。まじめに勉強しましょう。サンタより」とアラビア語で綴ったカードを、寝顔は幼いままの息子の枕元に置きました。
その後、いくつものクリスマスを経て、息子はレヴィ=ストロースの贈与論に興味をもつほど大きくなりましたが、サンタクロースがやってきた最後のクリスマスは、今も話題にのぼります。
わが家からもみの木までの地図をかく子のえんぴつの長き道草
春野りりん『ここからが空』
サンタクロースとして大人が子どもにプレゼントするのは、夢をみる力や、信じる力、だれかを思う心の力なのかもしれません。
「幼い日に、心からサンタクロースの存在を信じることは、その人の中に、信じるという能力を養う…サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の中に残る。この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに代わる新しい住人を、ここに迎えいれることができる」という松岡享子さんの言葉が思い出されます(『サンタクロースの部屋 ― 子どもと本をめぐって ― 』)。
サンタクロースになることは、大人の大切なお役なのかもしれません。
すべての子どもたちが、まわりの大人たちから「あなたが大好きだよ。あなたのままがいいんだよ。あなたがいてくれてうれしいよ」と笑顔を贈られますように。
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