名曲歌詞の条件~EXITがカバーした「まちがいさがし」に思うこと~
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名曲歌詞の条件~EXITがカバーした「まちがいさがし」に思うこと~

私にとって4月は何かにハマる時期かもしれない。それまでの人生で、何の興味もなかったジャニーズ、嵐が好きになったのも2010年4月だった。そして2020年4月は、今までさほど興味のなかったお笑いという分野、芸人さんにハマる。

最初にお伝えしておくけれど、私はアメリカ在住。日本のことはネットニュース、YouTube、テレビジャパン(北米向けNHK有料番組だが、民放の番組も少し放送されている)でしか触れることができない。だから日本で流行っていることは、私のあたりまえではない。とはいえEXITというお笑い芸人さんが流行っていて、多少顔を認識できる、くらいの存在ではあった。完全にハマった理由は、たまたまYouTubeで彼らのネタ動画をみたこと。パリピかなんか知らないけど、言葉と服装だけチャラい武装をして、結構マジメなネタで面白いじゃないか!とあっさり落ちました。それでチャンネル登録をして、たびたびYouTubeを視聴するようになったのです。先日彼らが、菅田将暉さんの「まちがいさがし」のカバー動画をあげ、ファン皆様いたく感動していました。


ここで、なぜこの選曲なのかについて。昨年兼近さんの過去に関する報道があった時期に、「ゴッドタン」というバラエティ番組の企画内でお二人出演時のBGMとして「まちがいさがし」が流れたのがきっかけだそうです。その企画というのが、コンビ愛を確かめるようなものであったと。そこから度々この曲がEXITのテーマソングのような使われ方をして、別の番組では二人でこの曲を歌唱したこともあるとか。(私もネットで調べただけだからね。)だってお二人はそれぞれ、以前のコンビを相方の不祥事により解消し、現在に至るわけですから。端的に言ってしまえば『まちがいさがしの 間違いの方に 生まれてきたような気でいたけど』って歌詞、染みるでしょう。正解の方じゃ出会えなかったんですよ。お二人もファンに向けて歌ったのだと思いますし、ファンの方はとても感動したと思います。

で、やっと今日の本題!その感動的な曲を聴きながら、(いや、本当にじんときたけれど!)作詞家は一人、嫉妬心を燃やすわけです。やっぱり、米津玄師はすごいセンスの持ち主だなあと。

もちろん、私もこの曲は知っていました。最初からいい曲だな、と思っていました。米津さんと菅田さんのタッグといえば「灰色と青」、私はこれが大好きなので、「まちがいさがし」もリリース当時から注目していました。十分良き歌ではあるんだけど、こうやってEXITがカバーして歌っているのを見て、改めて思う。「まちがいさがし」は名曲なんだなと。

作詞家が考える名曲の条件「歌詞に隙間があること」

いくら米津さんが作詞作曲をされたといっても、菅田将暉さんがあの深みのある声で歌えば、聞き手は菅田さんの世界観に浸ることでしょう。リスナーはたいてい、歌い手を中心に歌詞の世界を理解します。ああ、菅田さんはまちがいさがしの間違いの方と感じながら生きてきて、でも素晴らしい誰かと出会えたんだな、と。事実がどうであれ、菅田さんがあたかもそういう人生を送ってきたんだなと錯覚しながら、歌詞を咀嚼します。(しかもこの曲、もともとタイアップついてますよね。タイアップ先の内容だってリンクする歌詞なんです。)きちんと「歌い手が中心にいる世界」を作り出せる歌詞は、良い歌詞です。けれど、さらにリスナーが「え?これって私のことをうたっているんじゃないの?」という驚きや共感を誘い出すことができれば、それは名曲になります。菅田将暉の世界が、私の世界と重なることで、リスナーはより親近感を抱き、その歌自体を好きになります。本当は作者でさえ意図していないような解釈を、リスナーがすることによって、歌がひとり歩きをするのです。そうしてひとりあるきをする曲が名曲なのだと、私は考えています。

菅田将暉さんの世界が、聞き手の世界と重なること。そうなるために、歌詞には隙間が必要です。菅田さんが中心にいながらも、それ以外の人が入っていける隙間がないと名曲にはならない。今回のように、EXITが歌えば、リスナーは「え?これってEXITのことをうたっているんじゃないの?」と思うということは、「まちがいさがし」の歌詞には、誰かが入れる隙間があったということです。私のこと、もしくはあの人達のことを歌っているんだと、聞き手が感じることができる。たくさんの共感ポイントが詰め込まれている歌詞…これぞ名曲なのだなあ。

隙間がある歌詞って、本当に難しくて。ただ単に抽象的であればよいというわけでもなく、抽象的すぎればスッカスカの歌詞になってしまい、それこそ誰も共感できない。その加減は難しいです。誰でも書けるものではありません。私も書けてません。でも、いつか!

とりあえず、当分は米津玄師漬けになりますか。7月の嵐のシングルも米津さんだしね。あれもいい曲だなあ。ほんと、米津玄師さんに嫉妬しかありません。大好きです。


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Image by Free-Photos from Pixabay


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アメリカはラスベガス在住、日本の作詞家です。https://www.facebook.com/lyricwritersorano/ 歌詞、言葉について。(不定期更新)