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施設退所後の家族の話

こんにちは、ヨウです。


先日、妹と連絡が取れなくなり、何があったのかと気になって地元に突撃訪問しました。車で3時間以上かかる他県です。台風10号が迫っていて、尚且つ、昨今の日本の状況からすると不要不急だと思われるかもしれませんが、そうしました。その結果のご報告と、そこから見えた「施設退所後の家族」についてお話しさせていただきます。

個人的な話ばかりになるかもしれませんが、ご容赦ください。



3人の関係は良好

私のきょうだい構成は、私、弟(私の2歳下)、妹(私の3歳下)です。3人はそれぞれ別の県に住んでいます。妹だけが地元の県に残り、母と物理的に近い状況です。

普段、私たちはきょうだい3人のLINEで繋がっており、お互いに何か言いたいことあったらLINEに写真やら文章やらを投稿するような感じです。私は娘の写真を送ったりしています。弟も妹も、自分の状況やら「こんなもの買った。いいモノだったから教える」みたいな感じで、フランクに連絡をしていました。誰かが何かを投稿するたびに、お互いに「それ面白いね!」みたいに軽く返事をするような関係です。

また、3人で旅行に行くこともあります。お互いに、いろいろと愚痴ったり、思い出話に花を咲かせたりします。その辺のきょうだいよりも、かなり良好な関係で繋がっているという自負があります。



妹が、2人の兄に連絡をしなかった理由

いつもなら、私の娘の写真に「かわいい…」と返事をくれる妹が、連絡を一切せず、そして既読すらつけていない状況でした。しかも、私の娘の誕生日にも、一切連絡をよこさなかったのです。

しかも、今年度から妹は彼氏と同棲を始めました。彼氏は顔見知りで、お互いに話をしたり飲みに行ったりしたこともありましたが、深い関係ではありません。

私と弟は、「何か悪いことが起きているのでは?」という予感がして、即座に行動をとりました。


結論から言うと、妹は健在で、彼氏と何か問題があったわけではありませんでした。妹が連絡をよこさなかった理由は、私たちの両親にありました。



妹を責める母

実は、妹は同棲を始めることを母に伝えていなかったのです。それがいろいろ回りまわって母に伝わり、「なぜ挨拶に来ないのか!」と激怒していました。そこから、母は妹に対して、脅迫めいたLINEを送り続けていたのです。

妹は母のことが好きなので、それなりに気を使って接していました。「怒らせてごめんなさい」と連絡を返していたのですが、母の怒りは収まることはなく、母は何度も何度も暴言を送り続けていたのです。



妹を救おうとする父

そこに、父が登場します。施設を出てから、私たちきょうだいは、父との交流を再開させました。施設から自立ことがきっかけで、私たちは、私たちの判断で交流をしていたのです。

父は、私たちきょうだいを大切に想ってくれています。地元に帰ったら、食事を用意してくれたり、飲み会を開いたりしてくれていました。私たちに「奢ってくれ」という母とは違ったのです。


妹は、父に「母からこういうLINEが来て困っている。どうしたらいい?」と相談しました。これが、妹を苦しめる結果となってしまうのですが。


妹は、「同棲の挨拶をしなかったこと」が悪かったと思っています。筋を通さなかったことが悪いと自責の念に駆られていました。挨拶に行かないといけないな、と思っていました。そうすれば、母とも仲直りすることができると考えていました。そのタイミングについて相談したかっただけなのです。

しかし、父に相談し「挨拶は必要ない」と言われてしまいます。それどころか、父は、母が不幸になるような行動をとるように、妹に指示しました。(内容の詳細については省きます。すみません。)


父は、母に対していろいろな恨みがありました。離婚で借金を負担させられたこと、親権を取られたこと、可愛い我が子を施設に入れたこと、その後も子どもたちに楽をさせようと努力しなかったこと。詳細は省きますが、とにかく父は母に対していろいろな恨みを持っていたのです。



父と母に気を遣う妹

妹は、ただ、母の気持ちが収まる方法を知りたかっただけでした。しかし、父から「母は悪い奴だ」と口々に言われ続けていました。

妹は、母も父も大好きです。もちろん、やりきれない気持ちもたくさんありますが、それを越えて、2人のことが感情的に好きだったのです。

妹は、母には「ごめんなさい。」と謝り続けていました。それでは母の怒りは収まりません。そして、父からは「こういう風にしなさい。」と、母が不幸になる方法を指示され続けていました。それは実行されません。母が不幸になるから。


妹は、父からの言いつけを守っているふりをして、ごまかしながら行動していました。母の前で父の話をすると憤慨する。父の前で母をかばうと叱られる。そのはざまで、どうにもできずに苦しんでいました。

妹は、母と父に気を遣うあまり、精神的にいっぱいいっぱいになっていました。



妹は、兄2人にも気を遣った

そういう状況でも、妹は「自分の行動に原因がある」と思っていました。そして、そういう不甲斐なさを、兄に連絡することをためらっていたのです。

妹は、兄に「迷惑をかける」ことを嫌っていました。私は、妹から相談されることを迷惑だと思ったことはなく、「いつでも相談していいんだよ。」と伝え続けていましたのにもかかわらず、です。弟も同じでした。

しかし、それでも妹は、「迷惑がかかってしまう。」という気持ちで、私たちと連絡を取ることを避けていたのです。「LINEを見てしまったら、相談したくなる。」という気持ちから、私たちからのLINEを意図的に無視していたのです。



兄からの助言

私たちの家庭の事情ですから、他人にどうこうできる話ではありません。だから、私たちきょうだいが支え合うしかないのです。兄が間に入って、何かしら話をつけるしかないのです。

しかし、妹としても、「自分で何とかしたい」という気持ちがありました。それをないがしろにすることはできません。

また、同棲している彼に迷惑をかけることも、妹はためらいました。今までも散々迷惑をかけてきたのに、また面倒なことに巻き込んでしまったという気持ちでした。


私たちは、妹に「こうしたらいいよ」という方法論をぐっと飲みこんで、こうアドバイスしました。

 どういう行動を取ったら正しいかは分からないし、どれが正解かはまだ分からない。妹自身が悪いところもあったかもしれないけれど、親にも悪いところはある。だから、自分を責めなくてもいい。
 自分で考えて、自分が正しいと思ったことをしていい。理屈抜きで、自分の感情を表に出してもいい。だから、自分がこうだと思ったことをやっていい。
 ただ、最終的に「もうダメだ」と思ったら、俺ら兄貴のどちらかを頼って。逃げ場はあるから、自信をもって行動していい。
 俺らは、最後まで味方だから。

こうして、私たちは帰路についたのです。



切っても切れない関係

私たちがこの世に存在している理由は、紛れもなく、父と母です。現在どういう関係であろうと、その2人がいたからこそ、私たちはこうして生きています。それは、人によっては嬉しいことであり、また違う人にとっては悲しいことです。

妹は、自分の親が大好きです。そこに、深い理由も理屈も何もありません。好きなものは好きなので、しょうがないのです。

しかし、親同士は元々他人です。だから嫌い憎しみ合うことは簡単でしょう。しかし、私たちは親と根っこの部分で繋がっています。そうした人たちと、上手くやっていきたいという感情があっても、これまたしょうがないのです。



最後に決めるのは自分

そして、妹はもう大人で、自分で生活を成り立たせています。当然のことですが、一人の人間として尊重しなければなりません。だから、「あんなやつとは縁を切れ」と言うことはできません。きょうだいと言えど、そうやって人間関係を強制することはできません。

だから、私たちは「最後まで味方だ」というメッセージとともに、最終的な判断を妹に託しました。私たちの言葉を、妹がどう受け取ってくれたかは分かりませんが…。



複雑な事情を、やはり子どもが抱えなければならない

私たちは、親と別の場所で育ち、様々なことを教えてもらいました。親の見えないところで成長しました。

それでも、私たちには、親から生まれたという事実があり、それが親の手によって複雑な事情に変わってしまいました。

私たちは、親を捨てることだってできたはずです。しかし、それでも親との交流は再開しました。それは、私たちが選んだ道ですから、しょうがないのです。


ただ、そういう家庭の事情を受け止めてくれる人は誰がいるのでしょうか?

離婚して孤立し、3人の子育てに疲弊して精神疾患を患った母を、誰が支えてくれるのでしょうか? その心の穴を誰が埋めてくれるのでしょうか?

子どもを奪われ、借金を抱えて、孤独と貧困に苦労させ続けられた父の話を、誰がまともに聞くのでしょうか?


結局、そういう悲しい事情を受け止めなければいけないのは、子どもなのです。



終わりに ~私の考え~

少なくとも、私は親と関わらなくても生きていけるし、親との関係を切ろうと思えば、簡単です。しかし、「親と確執があって、縁を切りました。」と話すと、一般の多くの方は、「あなたにも原因があったのでは?」と思うはずです。

私が、細く細く、最低限の交流を親と続けている理由は、結局「体裁」だけです。親がいて、そこと上手くやっていくことが、社会の評価に直結してしまうことがあるからです。

教員という公的な仕事をするためには、そういう「家族を大切にする」という世間一般の常識に逆らうことは、私にとってデメリットなのです。デメリットを打ち消すためだけに、私は「親を大切にする」という事実を表面的に作り上げているのです。


見識がある方は、「そんなくだらないこと、しなくていいよ。」と思うでしょうが、誰が相手になるか分からない職業であるがゆえに、そういう「見た目」は維持しておく必要があるのです。


ただ、そういう「家族のしがらみ」に苦しめられている人は、私たちのような「社会的養護を受けた者」だけじゃないはず。家族のせいで不幸を背負わされた人はたくさんいるはずです。


まず、この「家族依存社会」をひっくり返したい。最終的に、子どもに「自分を一番大切にして生きて」というメッセージを伝えたい。

私は、家族のしがらみと戦いながら、多くの仲間とともに、この生き辛い社会を変えていきたいと思っています。

そんな力は、まだ私にはありません。しかし、最終的にそうなるように、手の届く範囲で努力をしていきます。




すみません、愚痴っぽくなってしまいました。これで、終わります。


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