「面倒くさい」は、やった方がいい

こんにちは、ヨウです。


今回は、物事の考え方について、ある人の発言をもとに考察していきたいと思います。




6年生担任時代の話

私が小学校の教員をしている時の話です。

私の担任していた6年生で、放課後、教室に残るメンバーがいました。私と個人的な話をしたい子たちと、宿題をやってこなかった子たちです。

宿題をやってこなかったR君は、家で勉強しても集中が続かず、学習内容がなかなか理解できませんでした。保護者から「良かったら、宿題を見てあげて欲しい」と要望がありました。そのため、放課後に宿題と兼ねて、個別に勉強を教えてあげていました。

それ以外の子3~4人は、家であったことや習い事のこと、学校でのことを私に話したくて、残っていました。私の学校では集団登下校の文化がなかったので、そういうことが許されていました。私は、R君に勉強を教えながら、子どもたちの雑多な話を楽しく聞いていました。


R君に、教えるべきことを教えて、「やり方は理解できたみたいだから、5分だけ、自分でやってみようか。」と声をかけたところ、R君は

「えー。メンドクサイなー。帰りたいー。」

とぼやきました。すると、残って話をしていたメンバーのN君がこう言いました。

「面倒くさいと思うなら、やった方がいいよ。」

と言ったのです。私が「どういうこと?」と尋ねると、N君は、こう説明しました。

「だって、『面倒くさい』って思うってことは、『できるけど、やりたくない』ってことでしょ? 『こんなの無理だよ!』って思うなら、できないだろうし、無理してする必要はないと思うけど、面倒くさいくらいならできることだし、さっさとやってしまった方が後々面倒じゃなくなるから、面倒くさいことは、今やった方がいいよ。」


R君は、「そっか。なら、とりあえずやろ。」と残った課題に取り組みました。R君は、残った課題を5分ほどで片づけて、「終わったー!やったー!」と意気揚々と帰って行きました。



「面倒くさい」は「自分ができること」

私は、N君の発言で、はっとさせられました。

確かに、「面倒くさい」は、「やればできること」を目の前にしたときに浮かぶ感情です。私たちだって、「仕事に行くの、面倒くさいな」「部屋の片づけ、面倒だな」「晩御飯の準備、かったるいな」とか思うんですが、実際、これらのことは、「やればできること」なんですね。


N君が自分で考えて出した結論なのか、誰かから聞いたことなのかは定かではありません。しかし、この考え方のおかげで、R君は「面倒くさい」勉強を終えることができたのです。



面倒くさいことは、とっととやるに限る

N君の発言を聞いて、私は、密かに面倒くさがっていた、歯医者の予約をしました。定期健診のはがきが来ていたものの、電話するのは何となく面倒で、ほったらかしにしていたのです。

家に帰って、すぐに歯医者に電話をして、次の土曜日に予約を取りました。時間にして約2分。ぼーっとスマホを眺めて過ぎてしまうほどの時間です。

予約が済んだことで、1つスッキリすることができました。不思議なことに、面倒なことが1つ減るだけで、心に余裕が出てきました。すると、今まで目を背けていた「面倒なこと」をやっつけたくなってきたのです。


たった1つの行動でしたが、それが、結構大事だな、感じたのです。



「面倒くさいこと」を先延ばしにする方が、面倒

私は、N君に承諾を取り、クラス全体に、「面倒くさいこと」について話をしました。歯医者の予約の話をして、私の心がスッキリした話をして、こう伝えました。

N君が「面倒くさいことは、できることだから、やった方がいい」というのは、先生もやってみて感じました。学校の宿題って、面倒ですよね? でも、先生は、みんなが習ったところを宿題にしています。だから、今日の宿題は、みんな、家に帰って最初にやってみてください。遊びに行く前、習い事の前。手洗いうがいをしたら、即宿題。これ、やってみてください。結構効果があると思います。

こう伝えた次の日は、全員、宿題を提出して、一部の子からは「先にやった方が、夜ゆっくり出来てよかった!」という意見も出ました。宿題の提出率も、一時的に向上しました。


面倒なことは、先にやっつけた方がいい、と感じた体験でした。



終わりに ~訓練が必要~

今回の話ですが、この話で、宿題の提出率は「一時的に」上がりました。しばらくすると、元の状態に戻っていったのです。

こういう「面倒なことを先にやる」みたいなことは、頭でわかっていても、なかなかできないことです。実際にやってみるとスッキリするのですが、それを毎日続けるとなると、「習慣化」のトレーニングが必要です。

少なくとも、2週間、毎日「帰ったら宿題をやる」みたいなことを、嫌々でも続けないと、この話は無駄になります。そして、いよいよ「やればできるのに」状態になってしまうのです。


私たち大人も、面倒なことから逃げてしまいがちです。

そういう時は、小学校6年生のN君の発言を思い出して、自分を律していくことが大切かもしれません。



ちなみに、N君は、宿題の提出はきちんとするものの、明らかに答え丸写しみたいな感じで提出することがありました。「とりあえずやる」精神が強すぎて、本当に「とりあえず出す」という感じで、宿題の内容について、私からよく注意を受けていました。笑

もしかしたら、「とりあえずやる」にも一長一短あるのかもしれませんね。



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