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児童養護施設出身者の苦悩

こんにちは、ヨウです。

今日は、児童養護施設から出た子どもの苦悩について解説します。これは、あくまで私の知っている限りの状況ですし、もっと個人的意見もあると思います。あくまで参考程度にご覧ください。


1.児童養護施設の子どもの巣立ちの現状

私は、児童養護施設から大学に進学し、その後就職しました。しかし、大学に進学する子どもは、現状少ない状況です。

NPO法人「ブリッジフォースマイル」の2018年の調査によると、退所直後の進路は、就職 が63.3%、進学が30.1%とのことでした。ちなみに、同じく2018年の文科省の調査では、全ての高校卒業後の進路は、就職が17.9%、進学が71.1%(大学、短大、専門学校)とのことでした。つまり、世間一般の子どもに比べて、高卒就職者が圧倒的に多く、進学率が低いという現状があります。

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/12/22/1375035_1.pdf

こうなってしまう大きな原因は、大学等に進学する際の経済的理由が中心であると考えられます。親に頼れない分、多くの施設出身者は、退所後に経済的支援を継続的にしてくれる身内がいない状況であるため、「まず自立を」と考えると、就職した方が、すぐに収入にありつけるので、安心です。

また、施設出身者は、虐待による心理的ダメージや、劣悪な家庭環境によって、学習に注力できなくなってしまう傾向にあるように感じます。そのため、低学力によって、進学率も低下しているものだと感じます。


2.金銭面での苦悩

先ほど書いた通り、経済的に後ろ盾がないのが、施設出身者のつらいところ。児童手当の貯蓄や、支援団体も多数ありますが、それにも限界があります。お金の使い方もよくわかっていない子どもが社会に出れば、その使い方を学ぶことも大切です。しかし、失敗ができない。また、自分の経済力がなくなれば、生活ができないというプレッシャーがあります。

お金が全ての人生じゃないと思いますが、貯蓄があるとか、収入が安定しているという状況は、精神的安定につながります。親に頼れないということは、経済的不安につながり、それによって精神的にダメージを受けます。

お金は、とても大切なのです。


3.孤独感

先日、施設出身者の方とお話しさせていただた時、「孤独感を感じることがつらい」という話を聞きました。私自身は、家族から離れられたことに満足していたため、そういった思考はなかったのですが、施設出身者の多くは、この「孤独感」にさいなまれているようでした。

これの根源は、「帰る家がない」というところだろうかと思います。親は頼れない、しかし、施設でお世話になった職員さんは、退所者が出た後も、施設での仕事に追われています。退所後に、「施設職員は、あくまで仕事として私たちを養育していたもの」だと強く感じてしまうのです。これこそが、孤独感の原因だと思われる。経済的にある程度自立したとしても、こういった問題は付きまといます。


4.「失敗できない」というプレッシャー

そして、私たち施設出身者は、失敗して無一文になったときに帰る場所がないことを理解しています。仕事も、友達も、恋人も、お金も、全ての失敗のしりぬぐいを少しでもしてくれる人はいない。今手にしているものを失うことを恐れてしまうのです。

これは結構大きな問題です。例えば、施設を出た後に、就職して一人暮らしを始めたとします。その職場は、給料が低く、上司のパワハラがひどくて、勤務時間も長い。そういった状態であれば、大抵の人は、本当に嫌だと思えば、支えてくれる、助けてくれる人に連絡します。そう、親です。そこで「こうしてみたら」と助言をしたり「困ったら助けてあげるから」と話ができます。その状況を打破できるかもしれないし、逃げることも出来るかもしれません。しかし、私達施設出身者は、頼れる親がいません。今、一定の収入を得て、苦しいながらも生活が成り立っているのならば、おそらくその状況を受け入れて、仕事を続けるでしょう。それは、「ここで辞めたら、生活できない。生きていけない。」と知っているからです。

その他にも、「暴力をする彼氏から離れられない」「親からお金をせびられるけれど、断れない」など、それぞれに悩みはあると思います。失敗できないことのリスクは、「きつい現状から逃げることができない」という点です。


終わりに ~私の経験~

私は、大学に進学しました。そこで教員免許を取ったのですが、小学校1種の一枚しかとることが出来ませんでした。この紙ぺら1枚を眺めて、「これのために、毎日バイトをして、頑張ったんだ」と思うと、達成感よりも先に、「教員として生活を続けなければならない」というプレッシャーの方が多かったのです。また、近くにいた友達は、特別支援学校、中学高校、幼稚園、図書館司書の資格を手にして卒業しました。いつでも勉強熱心で、実家から通い、親の支援を受けてたくさんの授業に参加していました。それを羨ましく思っていました。お金と時間に余裕がないために、免許1つ取ることがやっとだった私は、「おれはこんなに働いてなんとかやって、1つだけかよ。」と思ってしまいました。(実際は、サークルの音楽活動とかもしてたので、それをしなかったら、十分できたんでしょうけど。笑)

しかし、私はそこで「一生、教員はしない。」と決めて、教育界に飛び込みました。そうすることで、「何かあったら、ドカタでもやりゃいいか」と思うことができ、他人の戯言に惑わされず、常に自分らしくいることができました。

育った環境に文句を腐るほど言ってきた私は、ある日気づきました。「文句を言い続けても変わらない。変わるには、自分を変えるしかない。」と。

それから、私は児童福祉司への異動を希望し、それをたった1年で辞め、このように記事を書いています。正直、不安しかありません。でも、仕事がない状態の自分の精神状態なんて、やってみなきゃわからないでしょう。「やってみて、だめなら、ドカタすりゃいい。生活できる。生活保護もある。」そう思えたのは、私の周りの人が私に与えてくれた知識があるからです。今の時代は、情報が命。進学するにしても、就職するにしても、色んなことを調べていきましょう。制度や助けてくれる人や場所を調べることが、あなたを助けるはずです。

そして、ツラい状況になったときは、頼れる人に相談をしてください。(私でもいいですよ。笑)


今日は、この辺で。


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