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高級消費財 EC運営の実情-集客編-

Ecommerce manager

ここではEC担当者が求められる、ブランディング目的でない費用対効果が見合う集客方法のみ考察いたします。
まず一般的に商品(ブランド)を認知させて新規トラフィックをサイトに呼び込んだ後、購入に至るまでは以下図の通り3つの壁(①~③)があります。

パーチェスファネル

感性に訴えかける高級ライフスタイル商材(ブランド ファッション、インテリア、コスメなど)の場合、
・商品デザインもしくは価格が魅力的でない限り強い購入意欲は起きにくく、一般消費財よりも①の壁が厚い。
・価格の高さゆえにECの情報だけでは即決購入に踏み切れず、店頭試着やSNSでのブランド評判調査など価格に対する妥当性を納得させる検討材料がシビアに要求されるため③の壁も厚い。
ユニクロやZARAで服を買うのとはわけが違うので、例えば皆さんが消費者の立場で買ったことのない高級ファッションブランドバッグを、インスタグラムや広告バナー経由でサイトを見ただけで今日か明日にでも欲しくなるという態度変容が起きた経験はほとんどないと思います。「お金があったら買ってもいいかな」程度で終わる、それが認知です。

つまり集客後の購入転換率(CVR)がとても低い商材であるがゆえに、取れる手段は以下2択となります。
・①の壁をスキップして興味フェーズにいる(ブランドは決めていないが商品は探している)消費者をターゲットとして集客後のCVRを高くする。
・広告やインフルエンサー投稿など広告宣伝費がかかる施策は短期的投資回収が困難なため、お金のかからないPR活動で自然流入を生み出す。

まず前者の”ブランドは決めていないが商品は探している消費者”というのは、(自社ブランド名を含まない)商品カテゴリ名称をGoogleなどで検索しているユーザーを指します。
なのでSEO, Googleショッピング広告で検索ユーザーを取り込むのが他のどの広告やインフルエンサー投稿より費用対効果が良いです。
SEOは1度上位表示させれば広告費用がかからないこと、Googleショッピング広告はリスティング広告と違って商品画像が表示されるので購入確度の低いユーザーのクリックを防ぐことでROASを担保できます。

続いてPR活動は、今購入に至らなくても「いつか欲しい」程度の認知を形成した後に、その商品カテゴリを実際に買う時が来た時に思い出してブランド名を検索しサイト来訪して頂くという中長期でのトラフィック生成を指します。具体的には投資が少ない以下2つが挙げられます。
・直営店舗のウィンドウにデジタルサイネージを設置しコンテンツを発信することで通行人に印象付け、ブランドの検索数を増やしてECへの訪問数を促す。ここで留意したいのはブランドの抽象的なイメージビデオではなく、記憶に残りやすくリアルなライフスタイルイメージを短時間で伝えるものを制作します。
・自社SNSアカウントでブランドのコーディネイトや製品へのこだわり、製造工程などを発信し、商品が高級である理由を画像や動画で説明します。

PRコンテンツというとお金だけ払って企画立案は媒体やエージェンシーに丸投げという企業が散見されますが、この場合企画側はコンテンツの面白さよりも発注者に承認を貰うことが最優先事項となるため、他社の踏襲や当たり障りないものに落ち着きがちです。よって多少クレイジーでもいいので消費者の興味を引くコンテンツを自前で捻りだすことが重要です。苦労なくして投資回収なしです。

ここまで施策が限定的になると、「Googleショッピング広告だけでは縮小均衡に陥って売上高がスケールアップしない。」「一般ワードのSEOは楽天などのECモールが上位を独占していて難易度が高く、トラフィックのインパクトが出るまで何年かかるか読めない。」などのご指摘を頂くかもしれません。
ただし並行して②~③の壁を低くする売り場改善活動を行い購入転換率を高めることで、トラフィックの母数は大きくなくてもそれなりの純増売上は作れます。無理して集客をすればするほどCVRが低下して投資回収できなくなってくるため、サイト来訪者数にはこだわらず純増売上と費用対効果を優先します。

次回は②、③の壁を低くするための売り場設計(サービスやUX)のお話をさせて頂きます。

※ちなみにROASが高いとされるブランド名を含むキーワードに対するリスティング広告やリターゲティング広告、ポイントサイトへのアフィリエイト広告は、広告がなくても買うお客様を広告にくぐらせて既存売上を広告経由にシフトしていることが大半で、サイト全体で見た売上純増効果はほとんどないので割愛してます。
※またラグジュアリー商材のPRというとセレブリティを起用したりイベントを開催したり雑誌へタイアップ広告を出稿するのが定石ですが、成果は?と問われると広告費換算価値などといった間接指標でお茶を濁すしかない、投資回収できているのか不透明な施策なので財力がある企業しか出来ないことと思います。よってこれも割愛しています。

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Ecommerce manager
外資の高級消費財企業でEC運営しています。その知見を活かし、副業で高級消費財特化型のコンサルティング業務をお請けできますので、もしご興味ありましたら記事にコメント頂ければ幸いです。