見出し画像

霊感を信じないママが経営するスナック【占いにハマる女】

あら~ いらっしゃい!
ご無沙汰じゃない?
え?私の名前?!それを今さら聞くわけ?!

田中みな実よん🖤
嫌だ!そんな顔しないでよ!冗談っ
女はみんな、田中みな実になりたいってフワちゃんが言っていたのが忘れられなくてついよっ

私は石川さゆみ!石川さゆりちゃんと一文字違いなの。
さゆみママって呼ばれてるわ。よろしく~

そうよね~この感染症なんとかならないかしらね~
また、非常事態宣言なんでしょ?何回目って感じよ!

まあ、今のところはお店はやっていけるけど・・・
苦しくなるわね。
副業しようかしら~

嫌だ!またその話!?
私、霊感なんて無いわよ~本当に!!

占いもスピリチュアルも信じない!

あ!占いで思い出したんだけど。
この前、ちょっと不思議な体験したの。

先日、若い女の子が来たのよ。
珍しいでしょ!?20代かしらね。
癖なのかずっと右手で首を押さえているの。

小さな声でぽつりぽつりと話し出したわ。

彼氏にやっとプロポーズされたけど、何故か急に心がざわつくようになったらしいのよ。

彼氏のことが好きで好きで早く結婚したくてずっとプロポーズを待っていたから、凄く嬉しかったはずなのに・・・だって。

私、まだ独身だしそういうのはよくわからないのよね~
あら!そうよ!私はみんなの恋人なの!
アドリア海のマダムジーナと一緒よっ

・・・それでね。

心を落ち着かせたくて、占いにハマったらしいのよ。
タロット、水晶、六星占術だっけ?あらゆる占いをやったらしいけど、日に日にざわつきが大きくなって眠れなくなったらしいわ。

占い師さんの答えは半々、彼氏との結婚はうまくいくと言われたり不幸になると言われたり。

彼女が熱心に語るからさ。ふと、私も占い師の真似事したくなったわけ。

私も少し占いが出来るのよ~
右手の手相を見せてって。

彼女は不安そうな顔で右手を出したわ。

私は、彼女の手を握ってこう言った。

その彼氏をお母様に笑顔で紹介出来るなら結婚はうまくいくんじゃない?お母様はいつも近くで心配して見守っているわよって。

そしたら、最初はポカンとしたけど、『ありがとうございます』って頭を下げて帰り支度を始めていそいそと帰っちゃった。

私ね。見ちゃったのよ。
彼女の首に殴られたような痣があるの。

それと、お店のガラスから女性が心配そうに眺めてるの。
ほら!そこのガラスよ。チラッと見えたの!
あれっ?もしかしてって思って!
絶対、あの女性はお母様だって。私の直感!
きっとずっと彼女を心配してついて来たのね。

彼女がこのお店に入ったのは、隣の雑居ビルのタロット占い館からの帰りにスマホのナビで【スナック さゆみ】を見つけたらしいの。

彼女のお母様の名前が『さゆみ』だって。
偶然、私と一緒!
あの震災で亡くなったらしいわ。
お気の毒よね・・・

彼女のその後?

うーん、わからないけど、お母様に見守られているから正しい選択をするんじゃない?

幸せになって欲しい。そう願いたいわ。


私ね。あの震災のことなら霊を信じてもいいかなって最近は思ってるのよ。


だって、近くにいるって信じたいじゃない。






よろしければサポートお願いします!!サポートされるような活動を続けられるように頑張ります