空き家の子供 第7章 現在・冬(4)
第7章 現在・冬(4) 十二月に入ると、街には大勢の人が溢れた。夜の飲食店はどこもいっぱいで、私と彼は冷え込む夜の街を長いことさまよい歩いた。駅のガード下にある大衆居酒屋にようやく落ち着いた頃には、私の体は冷え切っていた。
「とりあえずビール」と彼、大塚は言った。
「この寒いのに?」と私は呆れた。
「聡子はお湯割りにする?」
「ううん、熱いウーロン茶で。ウーロンハイじゃなくて、ウーロン茶」
「なんだ、飲まないの?」
「酔っ払いたくないの」
大塚は少し心配そうな目つきで私を見