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空き家の子供

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創作大賞・ホラー部門参加の長編ホラー小説です。空き家に潜む「子供」の恐怖を、現在(冬)と過去(夏)を交錯させながら描きます。
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2024年6月の記事一覧

空き家の子供 第13章 現在・冬(7)

第13章 現在・冬(7) 通夜の夜。蒼太が帰っていった後、親戚たちも皆帰ってしまって、私た…

海藤文字
3週間前
6

空き家の子供 第12章 過去・夏(6)

第12章 過去・夏(6) 少し迷いがあったけれど、聡子はやっぱり空き家へ向かった。描きたい…

海藤文字
3週間前
8

空き家の子供 第11章 現在・冬(6)

第11章 現在・冬(6) 祖母の遺体は通夜の会場である葬儀社の会館へ運ばれていった。母に続…

海藤文字
4週間前
11

空き家の子供 第10章 過去・夏(5)

第10章 過去・夏(5) 聡子は夢を見た。今から二十年前、空き家がまだ空き家ではなかった頃…

海藤文字
1か月前
5

空き家の子供 第9章 現在・冬(5)

第9章 現在・冬(5) 祖母は真夜中過ぎに臨終を迎えた。両親と私が最期を看取った。既に意識…

海藤文字
1か月前
11

空き家の子供 第8章 過去・夏(4)

第8章 過去・夏(4) 夕方、二階の自分の部屋で、聡子はスケッチブックを一枚一枚、丹念に見…

海藤文字
1か月前
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空き家の子供 第7章 現在・冬(4)

第7章 現在・冬(4) 十二月に入ると、街には大勢の人が溢れた。夜の飲食店はどこもいっぱいで、私と彼は冷え込む夜の街を長いことさまよい歩いた。駅のガード下にある大衆居酒屋にようやく落ち着いた頃には、私の体は冷え切っていた。 「とりあえずビール」と彼、大塚は言った。 「この寒いのに?」と私は呆れた。 「聡子はお湯割りにする?」 「ううん、熱いウーロン茶で。ウーロンハイじゃなくて、ウーロン茶」 「なんだ、飲まないの?」 「酔っ払いたくないの」  大塚は少し心配そうな目つきで私を見

空き家の子供 第6章 過去・夏(3)

第6章 過去・夏(3) 毎日、聡子は空き家に出かけていった。二日目以降荷物に増えたのは、蚊…

海藤文字
1か月前
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空き家の子供 第5章 現在・冬(3)

第5章 現在・冬(3) 祖母が入院した。十一月の終わりに近い日曜日、私は病院に出かけていっ…

海藤文字
1か月前
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空き家の子供 第4章 過去・夏(2)

第4章 過去・夏(2) 聡子が絵を描く準備をする間、慶太はポケットに手を突っ込んでうろうろ…

海藤文字
1か月前
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空き家の子供 第3章 現在・冬(2)

第3章 現在・冬(2) 音もなく降り続く冷たい雨の中、私は逃げるように、足早に歩いた。空き…

海藤文字
1か月前
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空き家の子供 第2章 過去・夏(1)

第2章 過去・夏(1) 十五年前の夏、小学校が夏休みに入った最初の日。十一歳の平井聡子は、…

海藤文字
1か月前
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空き家の子供 第1章 現在・冬(1)

あらすじ現在・冬。久しぶりに実家に帰った私(平井聡子)は、子供の頃に深い関わりのあった「…

海藤文字
1か月前
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