藤壺の宮は〝物の怪のせい〟にしたくない 【最終話】
終
『女性は、初めての相手に背負われて、三途の川を渡るらしい』
平安時代に、そんな俗説が流布していたことを知っている人間は、現代において、果たしてどれ程いるのだろうか。
それを「ロマンティックだな」と感じるか「いや、地獄絵図かよ」と思うのかは、人によってそれぞれ明暗が分かたれることだろう。
それこそ、背負う方も、背負われる方も。
脩子はそんな現実逃避をしながら、片手で顔を覆っていた。
「仮にも初夜に「いよいよ進退窮まった」みたいな反応をするの、さすがに失礼