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フィレンツェの街の様子<Outside>


私が住んでいたフィレンツェという町は 
一年中、世界各国から来るたくさんの観光客であふれ返っていた。
 
真冬と真夏は多少減るけど、
チェントロ(Centro:歴史的保護区でもある街の中心部。英語のセンター)はいつも、渋谷並みの人混み。 
 
日本から遊びに来た友達は
町並みの雰囲気と、人の多さに、
「すごーい。ディズニーランドか、どこかのテーマパークみたい」
と言っていた。 

テーマパークって…
これは何百年も前から現存してる本物の街だよ…
 
「天井のない美術館」とも呼ばれる美しい街だけど、
それだけ人が集まるところには
彼らを狙う、別の人たちも集まって来る。
 
漁師さんたちが漁をするとき、魚の群れを探してそこへ向かうのと一緒。
稼ぎを上げるには漁獲量の見込める良い漁場へ、ってわけで。
 
つまり 
イタリアで 観光客を狙って犯罪を犯すのは、
イタリア人だけとは限らないということ。
 
陸続きのヨーロッパ諸国は昔から、
近隣国同士の人々の交流が普通にあった土地柄だけど、

現代の観光地フィレンツェにはいま、
東欧、北アフリカ、南米などからも
「観光客狙いの犯罪者」たちがたくさんやって来て、
自分たちも同じ観光客ですって顔をしながら
獲物を狙い、町を徘徊してる。
 
「イタリア人とは限らない」ってことでは、
フィレンツェ市内の多くのお店の従業員やオーナーたちだって、
旅行者の目にはイタリア人に見えたとしても、
実は違うってことがよくある。
 
アラブ系の人たちのなかにはパッと見、南イタリア人(シチリアの人とか)とあまり区別がつかない顔の人もいるし、

イタリア人たちが嫌っている、対岸の国のアルバニア人たちも、日本人の目には、イタリア人とあまり見分けがつかない。

(アルバニア人は、男尊女卑思想がひどくイタリアでの犯罪率が高い、という理由で嫌われている。
ついでに言うと同じ理由で、ルーマニア人も評判が悪い)
 
彼らは別に、イタリア人になりすましたり、隠したりしてるわけじゃなく
聞けば普通に自分はどの国の出身だと教えてくれるんだけど、
普段わざわざ「あなたはイタリア人ですか?」とか聞かないしね、
傍目にはぜんぶイタリア人に見えてしまう。
 
私も、最初はぜんぜん分からなかったんだけど
言葉がある程度分かるようになって、
現地のいろんなイタリア人たちと、いろんな話をするようになって初めて、
イタリア人と、イタリア人ではない人たちの区別が
ちょっとは出来るようになった。
 
そうしたら、裏事情についても耳に入るようになった。
 
道端でよくヴィトンやディオールほか、有名ブランドのコピーバッグなどを売っているのは
Marocchini マロッキーニ(「モロッコ人」の複数形)や
Senegalesi セネガレージ(「セネガル人」の複数形)。

でも、それを彼らにやらせている元締めは中国人。
(Cinesi チネージと発音される。単数形チネーゼ。
フィレンツェ人の友達に、そのコピーバッグを作ってるのは中国だから、元締めは彼らだよと説明されたとき、イタリア人て、よく観察して本質を見る人たちなんだな、と思った。
このバッグ売りたちは、道の上に堂々と店を広げているけれど、これは買うことも犯罪になる。
時々警察が思い出したように「買った側を」逮捕することもあるので、買わないように注意して欲しい。まぁ日本人なら買わないとは思うけど…)
 
スリなど財布を狙うのは 
ジンガリ(Zingari「ジプシー」「ロマ」の複数形)、
南米人、イタリア人もいるけど、東欧人も。
 
気付かれないように「こっそり抜き取る」ケース
警官などに化けて騙し取る「芝居が入る」ケース
強奪など、多少「暴力的・攻撃的」に襲われるケース
など、
現金は、いろいろな狙われ方をされる。 
 
彼らは一人の獲物に対し
グループの共同作業で「仕事」をするやり方が多い、とか。
 
あと一般人には関係ないことだけど、
イタリアでは
イタリア人ヤクザの他にも、アルバニア人ヤクザなど、
外国系も実は暗躍している、だとか…
裏社会も表社会と同様、多国籍&多民族が、入り乱れているらしい。

一年じゅう世界各国から来る人々を見続けているので、
フィレンツェの人は(フィレンツェ人だけでなく、そこに住んでいる人)
日本人と、中国人など他のアジア人とを見分けられるそうだ。

私もよく「きみ日本人でしょ」と言い当てられていた。

どこでわかるの?と聞いたら、
「全体。顔つき、表情、何か話しかけた時の反応やしぐさ、行動。全部違うから簡単に見分けがつくよ」
と言っていた。
逆に、見分けがつかない人は、フィレンツェに来たばかりのやつだって。
 
フィレンツェは比較的治安は良いほうで、
夜でも女性一人で出歩くことは出来る。
 
でも私は、まだ慣れてない時期は、念のため
友達の家に招かれた時など
夜は早めに帰ったり、
可能な限り誰かと一緒に途中まで行ったり、
家まで送ってもらったり、
自転車がある時も、のんびり漕がずに、カッ飛ばして帰ってた。 
 
東京みたいな都会と違って
夜はけっこう、人っ子一人居ない通りも多かったので
真っ暗だし、「こわいよー」と 
思わずシャカシャカ漕いでしまっていただけですが…
 
「ここは日本とは違う」ってことを忘れないようにして、
頭の中のどこかでは、昼間でも常に
警戒アンテナを立てて町を歩いてた。 
 
後ろから車や、自転車が来る気配がしたら、
何となく振り返ってどんな人か確認したり、
そのときもし、車道側の手でバッグを持っていたら、
さり気なく反対側に持ち替えたり。
 
フィレンツェで見る観光客たちは、欧米人もアジア人も、人種は関係なく、
みんな口をぽかんと開けて建物を見上げたり、
ショーウィンドウに目を釘付けにされながら、
バッグの口まで大きく開けて歩いてる人たちが多くて、
「危ないなぁ」
と、人ごとながら心配になるほどだった。 
 
「私でも簡単にスリになれるんじゃ?」
と、出来心が出てきそうなほど、無防備な人ばかり。
 
幸せそうで良いんだけど、
油断してると
そんなハッピーな気分からいっぺんに
不幸に叩き付けられることもあるから、
ほんと気をつけて欲しい。
 
イタリア人によると、
「彼ら(スリ)はプロだから、もしあなたが普段は気をつけていても、
たまたま その時 注意していなかった、その
“たった一瞬” を見逃さない。
イタリア人だって、たくさん被害に遭ってる。
彼らはそれを生業にしてるんだからね、訓練しているプロなんだよ。」
 
なんか、人の命を奪ったり、怪我をさせたりせず
鮮やかな手口で、盗みなど犯人にとっての目的を達成させた犯罪だと
それを「芸術的だ」と評価する風潮すら、イタリアにはあるそうです。
 
イタリア人、芸術愛し過ぎ★

というわけで、

以上は私が住んでいた時の話ではあるけど
現在でも、あまり状況は変わっていないと思うし
もっと言うと、フィレンツェやイタリアだけの話でもないと思うので、
外国へ行かれた際には、どうか気を付けてくださいね。
 

書いたものに対するみなさまからの評価として、謹んで拝受致します。 わりと真面目に日々の食事とワイン代・・・ 美味しいワイン、どうもありがとうございます♡