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[vol.2] 他者のありのままを受け入れる。これが難しいのよ。

こんにちは、るんさです。私は現在社会人3年目、20代後半です。職場での人間関係と職場環境で悩んでしまい、4ヶ月半前に適応障害と診断され、現在休職しています。


前回までのあらすじ

本シリーズの始まり[vol.0]で私は、復職へのプロセスを物語ととらえ、公開したら面白いのでは?と思い、その決意やきっかけを述べました。そして自分が復職するためにまず必要なことは、今の自分の思考の癖を認識し、考え方を良い方向へ変えていくことだ、と考えました。
前回の[vol.1]では、「人間関係でストレスを感じたときに使える対策パッケージ」を自己流で構築したことを述べました。パッケージは全7ステップに分かれており、前回は「ステップ0 : 記憶の想起」を行い、人間関係でストレスを感じた出来事・しんどいなと思った出来事を思い出し、ひたすら書き出しました。

今回の内容

今回からようやく具体的なステップの内容を踏んでいきます。今回はステップ1からステップ3までまとめて見ていきます。

ステップ0 : 記憶の想起
ステップ1 : 自分の受け入れ
ステップ2 : 自分と他者の比較
ステップ3 : 他者の受け入れ

ステップ4 : 自分の考え方の癖の自認
ステップ5 : 自分の考え方の分岐
ステップ6 : 新しい自分のセルフイメージ
ステップ7 : 他者を許す

ステップ1 : 自分の受け入れ

ステップ0でありありと思い出した、ストレスを感じた出来事・しんどいなと思った出来事に対して、色々な感情を抱いたと思います。「イラついた」「傷ついた」「ショックだった」。
その気持ち、まずは自分が受け入れてあげましょう。感じた思いを否定する必要はないんです。あなたは何も間違っていません。
大事なのは、自分の一番の味方は自分であることです。親でも、友達でも、パートナーでもありません。自分です。
自分に向けて、声に出して言ってみましょう。「あれはイラついたよね」「グサッときたよね」「落ち込む気持ち分かるよ」。自分の心を置いてけぼりにせず、丁寧に拾ってあげてください。
イメージとしては、自分の中にカウンセラーさんがいるような感覚です。カウンセラーさんは、相談者の話に耳を傾け、「大変でしたね」「それは確かに辛かったですね」などと相談者をまるごと受け入れてくれますよね。傾聴という単語があるように、相手の話を遮らず、否定せず、受け入れる。それを、まずは自分が自分に対してやってあげましょう。
「私は大変な中、がんばっているんだね」と、自分を労る気持ちが芽生えると思います。

【るんさの具体例】
(声に出して自分に伝える)「先輩Aとコミュニケーションとるのしんどかったよね。質問する前にカンペとか用意して自分なりにがんばっていたよね。本当は色々仕事教えてもらって自分でできること増やしたいのに、喋りかけるハードルが高くてしんどくて、仕事がままならなかったときもあったよね。同期はおろか歴の近い先輩もいない、女性もいない、気を休められる時間や空間もなくてしんどかったよね。本当にあのときはよくがんばっていたよ。」

ステップ2 : 自分と他者の比較

さて、ステップ1で自分という強力な味方(カウンセラー)がそばについてくれるようになりました。ステップ2から具体的なワークに入っていきます。ステップ2ではずばり、自分と他者の比較をします。 「え?そんなことしていいの?」いいんです。むしろここで分解していくことが大事なんです。

自分と他者の何を比較するかというと、自分と他者の持つ常識・価値観の違いを比較します。

というのも人間関係でストレスを感じる原因は、往々にして、相手の言葉や行動が自分が良しとするものと異なっているから、ではないでしょうか?相手の言動が、自分が良しとすること・期待することと異なるから、「その言葉はないわ」「なんでそんな行動取るの」とイライラしてしまうのではないでしょうか。
つまりイライラの正体は、自分の常識・価値観のエリアから外れた言動を相手が取っていることに対するリアクション、ということになります。ここで大事なのが、自分の常識・価値観のエリアが確立されていると同じように、相手には相手オリジナルの常識・価値観のエリアが存在するということです。このエリアの違いを見せつけられたときに、私たちはイライラしてしまうのです。

ステップ0で思い出したあなたが人に対してストレスを感じた出来事では、必ずや、自分と他者の持つ常識・価値観の違いがあったはずです。それを事実ベースで比較してみましょう。

【るんさの具体例】
<先輩Aの言動>
・友達と喋っているようなおちゃらけた口調を使う。ナメた先輩や上司にはタメ口を使う。
・早口で喋る。
・やたらと説明が長い。もはや何を言っているか分からない。
・思ったことを全部言ってしまう。人の話の途中でも遮って言いたいこと言っちゃう。
(その他書き始めたらキリがないので一旦ストップ)

・・・それに対して・・・

<私の場合>
・最も後輩なので、先輩には当然のように敬語を使う。ただ、よく喋る慣れた人にはフランクになることもある。
・普通のスピード、ときにはゆっくりじっくり喋る。
・できるだけ短文で簡単な言葉で説明するように心がける。(相手にとって分かりやすいかは不明)
・自分ばかり話しているとハッとなり、相手に質問などをして話を振り、話すと聞くのバランスを心がける。
・本音は、気の許した友達でないと言えない。親やパートナーに思ったことを言えないことが多い。

ステップ3 : 他者の受け入れ

ステップ2で、人間関係でストレスを感じた出来事について、自分と相手の常識・価値観の違いを明文化しました。ステップ3では、ずばり、自分と他者は明確に違うんだという事実を受け入れ、他者をその存在のまま受け入れていきます。これをここでは、前回の[vol.1]で示した参考文献②に倣い「他者をリスペクトする」と表現します。

正直私が思うに、このステップ3が最も難しいというか、最も肝要だと思います。「多様性を認めよう」「みんな違ってみんな良い」近頃よく聞く言葉ですよね。頭では理解しているのです。頭では理解しているのですが、どうしても体得できていないこともありますよね。体得できていたらいじめも争い事も炎上もさほど起きないはずです。「人はみな違うんだ、当たり前は人それぞれなんだ」この事実をいかにフラットに柔軟に受け入れるかで、ストレス社会での私たちの生きやすさが随分と変わってきます。

予め伝えておきますが、他者を受け入れるということは決して、理解することではありません。常識や価値観の違う他者の考えに、無理に共感して理解することではありません。ただ違うんだ、という事実を認識するのです。
ではどのようにして他者をそのまま受け入れることができるのか。上述の通りここでは「他者をリスペクトする」と表現しますが、それはすなわち、他者に対し以下のような思いを馳せることです。

「あの人の現状には、色々な事情があるのだろうな。あの人の人生の条件下で、あの人なりに生きてきるんだな。」

他者の常識や価値観に対して善悪の評価を下さず、優劣も付けないのです。ただ、その人のありのままの存在を認識するのです。
というのもその人の現状は、これまでの様々な、本当に計り知れない様々な事情でもって形成されているのです。その人の生まれ持った体質、育てられた環境、周囲にいた人たち、そしてそれまでの経験値、全てが人それぞれなのです。これらの事情の中には、その人が努力しても変えられない規定された条件というのもあったことでしょう。例えば家族構成、生まれた土地、生まれた時代、天災・事故などの経験。そういった、本人しか分からない数多の事情が折り重なって初めてその人の現状があるのです。その事情を全て把握するのは不可能ですが、必ずしも把握しなくても良いのです。ただ、「あの人は私と違うけど、何か事情があるのだろうな。その中でもあの人なりに生きているんだな」と思うことが、他者をリスペクトし受け入れることなのです。

「あの人は◯◯だから」という善悪や優劣の決めつけを手放し、「あの人にしか分からない事情・条件下の中で生きてきたのだな」という事実に目を向けること。これが他者の受け入れ、他者へのリスペクトです。ただ先述した通り、様々な事情があるからと言って、必ずしもその人を理解しなければならないわけではありません。他者の言動に疑問を呈して不適切を思っても、自分と他者の違いを受け入れる、それらは両立することができます。

覚えておいていただきたいのは、本手法はこのストレス社会を生きづらいあなたにとって、生きやすくするための極めて合理的な手法であるということです。今までであれば「あの人許せない」などとイライラして体内に毒素を溜めてしまっていた状態から、「あの人は私と違う、何か事情があるのだな」とライトに認識してあげることで、自分の体がデトックスされる感覚になるでしょう。これは結果的に、自分を大切に守ってあげることになるのです。

【るんさの具体例】
「今の私は、様々な事情、様々な条件下、そして様々な経験に基づいて形成されている。それと同じように、先輩Aも様々な事情・条件・経験の中で生きてきた結果、今の先輩Aがある。そりゃそうだ。違って当たり前だ。」
「先輩の事情、その正解は分からないけど想像することはできる。例えば『おちゃらけた口調を使ってしまう』件について、職場でも本当に友だちが多くて、かしこまって喋られないのかもしれない。『早口で喋る』のも、もしかして身近にいる家族とかにも早口の人がいて、それがうつってしまったのかもしれない。『やたらと説明が長くて話が分かりづらい』のは、本人も自覚があって気にしているかもしれない。(実際先輩の机の上には「分かりやすい説明の仕方」のノウハウ本が置いてあった。)『思ったこと全部言ってしまう』のも、本当はただ私が先輩のことを羨ましく思っているだけ。あんな風に、私も疑問とか不満とか愚痴とか言いたい。先輩はその大切さに早い段階で気づいて実践しているのかな。」

まとめ・次回予告

さて振り返りですが、今回の[vol.2]ではステップ1から3を見ていきました。まず自分が一番の味方になって自分を受け入れること。そして、自分と他者はそれぞれ常識や価値観というエリアを持っていて、そのエリアは明確に違うんだと意識すること。最後に、今目の前にいる人は、計り知れないそれぞれの事情の中で形成されてきたのだな、という他者の存在そのものの受け入れ(リスペクト)を実践すること。
驚きです、自分で書いてとてもスッキリした気分でいます。今目の前に先輩がいないからこのようにゆとりを持てているだけかもしれませんが、ただ確実に、先輩の見る目が変わった感覚があります。
この考え方が習慣化すれば、ストレスをデトックスするだけでなく、これまでストレスと感じていた事柄をそもそもストレスと感じなくなることができるかもしれません。もっと自分にインストールしていきたいです。

さて次回も非常に重要なステップを控えています。自分の思考の癖を分解して自認し、新しい分岐(引き出し)を作っていきます。このステップを踏むことで、自分を大切に守ることができ、自分自身が持続可能でハッピーな状態へと変わっていくはずです。ぜひ実践してみましょう。

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