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宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節

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槙 深遠(まき しんえん)は、時の流れの異なる空間を往来しながら結界の修復を続ける【脱厄術師(だつやくじゅつし)】。主従関係にある鷹丸家の娘、維知香は、その身に災厄を宿す【宿災(…
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宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 春・壱1

あらすじ 槙 深遠(まき しんえん)は、時の流れの異なる空間を往来しながら結界の修復を続…

Luno企画
1年前
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宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 春・壱2

 砂利を踏んでやってきたのは、漆黒のハイヤー。門の前で停車の姿勢に入ると同時、後部座席の…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 春・壱3

 木枠にはめられた曇りガラスが軽快な音を奏で、それに反応した足音が、家の奥から近づいてく…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 春・壱4

 声を荒げず事の成り行きを見守った正一は、首を振り、やれやれといった動きを見せる。 「着…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 春・参2

 鷹丸家の中庭に面した縁側。そこに座る頃、空間は完全に夜の様相となっており、涼やかな夜風…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 春・参3

 再開した正一の響きは、篤実さを増し、重みを含んでいる。それ感じとり、深遠は座を改めた。…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・壱3

 顔面を覆うほど伸びてしまった前髪と、肩を過ぎてしまった後ろ髪を、ばさりと切り落としてもらった。少し幼い印象になった姿で、深遠は維知香の戻りを待った。床屋の店先、赤、白、青が回転するポールの横に立ち、通りに視線を向ける。 (ここも随分と西洋化が進んだな……人が変われば町も変わる。だがこの地の結界は、綻び知らずだ……あの人は、相当優秀な術師なのだな)  こちら側の時間で言えば遥か昔、この周辺は落人の隠れ里であった。戦で破れ、この地に辿り着いた者の中に、鷹丸家の祖先がいた。ま

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・壱4

 夕刻。鷹丸家の座敷。かつて正一が座っていた場所には、吾一の姿。 「今回も、ご苦労様でし…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・壱5

 維知香が言った通り、夕餉の食卓は豪勢で、会話の途切れない、楽しい時となった。しかし昼間…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・壱6

 深遠は黙して言葉の続きを待った。吾一は卓上に視線を固定したまま、静かに音を再開させる。…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・壱7

 正直に胸の内を吐き出した。その安堵なのか、若干心が軽くなったように感じる。本当に、わか…

Luno企画
1年前