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宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節

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槙 深遠(まき しんえん)は、時の流れの異なる空間を往来しながら結界の修復を続ける【脱厄術師(だつやくじゅつし)】。主従関係にある鷹丸家の娘、維知香は、その身に災厄を宿す【宿災(…
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#不思議

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 春・壱1

あらすじ 槙 深遠(まき しんえん)は、時の流れの異なる空間を往来しながら結界の修復を続…

Luno企画
1年前
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宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・参1

 朝日が描く白い筋。カーテンの隙間から入り込む輝き。汗ばんだ体を起こし、維知香は窓辺へと…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・参2

 自分が作った作務衣を深遠が纏う。その隣に自分がいる。数日前までは、想像しただけで多幸感…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・参3

「脱厄術師がいくら強固な結界を施しても、貴方の中に宿るものは反応を示すんですよ。好奇心、…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・参4

 部屋の窓から見える空は、刻一刻と約束の時の色に近づいている。維知香に宿る災厄は、ざわめ…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・参5

「維知香様ご自身も、心を弱くされていた。あの状態では、とても災厄と通じることはできません…

Luno企画
1年前

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・参6

 灯馬は自身の手をじっと眺め、ぐっと握り、静かに開いた。 「こんな風に、手を握って、開いて、自分の顔を触って、生きていることを何度も確かめました。何故、生きているのだろう、と……零下のもと、ひと晩中強風に晒され、雪に叩かれ、それでも生きていた私を、村人達は奇跡と崇めました。神に許された子、愛された子、様々な呼び名を貰いました。ですが皆、心の奥底では私を恐れていたのです。崇める心と恐れる心は、背中合わせで共存しているのですよ。 人々にとって私は、やはり異物であったのです。で

宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・参7 

 紫黒に染まった空を渡り、鷹丸家へ。二階にある維知香の部屋の窓へ向かって、灯馬は器用に風…

Luno企画
1年前
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宿災備忘録 四季 対岸の君と逡巡の季節 夏・参8

 喉の渇きを覚えて、台所へ。居間に明かりがある。 「維知香、いつ帰ったの? 少し前に声を…

Luno企画
1年前