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スキルアップの方程式|その向上心に目的はあるか

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✔ スキルアップに必要なのは、制御と方向性。
✔ スキルアップは手段であって、目的ではない。
目標があるから、スキルアップを実感できる。

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外資系の投資銀行で働くようになって以降、クライアントの若手や前職の頃に慕ってくれていた後輩からキャリアの相談をよく受けます。
僕の存在が刺激となっているのは嬉しいかぎりですが、なかには「このままでいいのか」「何か行動を起こさないといけないのでは」という漠然とした不安を抱えている子もいたりして…そんな焦燥感を感じさせてしまっているなら、ちょっと心境は複雑ですが。

彼らの話を聞くと、だいたいがスキルアップの話題に収斂しゅうれんします。
どうすれば仕事が上手くいくか、何をすれば上を目指せるか ―― みんな悩むポイントは一緒です。

断言してもいい。
スキルアップに必要なのは、手に入れたもの、身に付けたものをコントロールし、正しいディレクションを与えることです。

“コントロール”と“ディレクション”

突然ですが、みなさんはダーツを知っていますか?
円形のボードに、一定の距離からダート手投げ矢を投擲し、得られたポイントを競い合うゲームです。

やったことがある方ならわかると思いますが、初心者ではダートを的に刺すだけでも一苦労します。
投げる力が弱いと的に届かず、強すぎると的に弾かれて得点にならない。
的に刺さるようになったら、後はいかに狙った場所に投擲できるようになるか…果て無き自分との戦いです。
フォームを固め、手首のスナップを工夫し、自分に合ったグリップ握り方を見つけて ―― 僕も昔どハマりしていたのですが、実に奥が深い。

意外かもしれませんが、ダーツにおいて一投で最高点を得られるのは中心ではありません。
扇状に分けられた各エリアには、ポイントが2倍になる帯ダブルリング3倍になる帯トリプルリングが存在していて、20の3倍=60点が中心ブルの50点より高いんです。

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そして、ダーツには多種のゲームがあり、たとえば所定の点数に総獲得ポイントをピタリと一致させる早さセット数を競う01ゲームや、的の各エリアを陣地に見立てて奪い合うクリケットなど、これらは一概に高得点を狙い続ければいいというものではありません。

ダーツにおいてゲームに勝ったり、上達を実感するには、“コントロール使うツールの制御ディレクション正しい狙い・方向性が重要。
そして、それはビジネススキルに関しても同じ
ことです。

向上心が陥る“手段の目的化”

スキルは身に付けたはずなのに、上手く活用できないし、役に立たなかったりするけど、どうしてなのか? ということをよく聞かれるのですが、そんなときに僕が決まって返すのが、「たぶんそれはスキルの問題じゃないよ」という答えです。

使いこなせない、役立たないと思っているモノは、スキルではない。
それはおそらく、学んだり経験して得た知識やノウハウだ。
手に入れ身に付けたモノに振り回されては活用どころではないし、たとえ自分のものにコントロールできたとしても、目的ディレクションを持って使わないと、思った成果は上げてくれない。

仕事の本質は課題やタスクの解決であり、その目的に向かって知恵を絞り、経験を活かすのが本来あるべき姿ですが、実際には知り得たモノを使うこと自体が目的になっている、いわゆる典型的な“手段の目的化”が起こっているケースが少なくありません。
勉強家で、頭も良いし、知識や経験も豊富なのに、何か残念 ―― 働いていると、そういった人に出会う機会が意外と多いのも、これが原因かと。
そして、そんな人たちが回すプロジェクトや業務は、だいたい失敗します。

スキルアップは手段であって、目的ではありません。
本来の目的は、仕事の効率化だったり、就活だったり、転職だったり、人それぞれでしょうが、ただいずれの場合も、そのために何を手に入れ、それをどのように扱うコントロールできるか、どうやって活かすどんなディレクションを与えるは、必ず意識した方が良い。

スキルアップは必須なのか

ネットが普及し、SNSなどで他人の体験や価値観に簡単にアクセスできるようになった現代、そこに自分を投影している人は多いでしょう。
みんなやっているなら自分もやった方がいいかもしれない、成功者が実践している方法なら間違いないはず ―― その考えは否定しません。

でも、そうやって手に入れたものを、あなたは制御できますか?
どの方向性で使っていくのか、イメージはついていますか?

人には得手不得手があるし好みの問題だってあるわけで、たとえば難関の資格試験をパスして一定の能力を証明できたとしても、そもそも苦手なジャンルだったら自信を持って知見を取り扱いコントロールできないと思うんです。
会社でも、TOEICで所定の点数を取らないと昇格できないとか、指定の研修を受講して課題をクリアしないと特定の業務に就けないとか、そういったことがありますが、それって本当に社員のその後ディレクションを考えてのことなのか…いまだに疑問だったりします。
一時の向上心は満たせても、いざ現場で実践となると思っていたほど活用できなくて、成長を実感できないというのはあまりに悲しい。

僕は、社会人にとってスキルアップは絶対ではないと思っています。
目標や目的がなかったり、明確に与えられていないのであれば、無理して頑張らなくてもいい。
ただ、もし見つかったなら、そのときにはじめてそこに向かうために必要な知識やノウハウを引っ張り出したり、新しく手に入れて、使いこなす努力をすればいいんじゃないかと。
その積み重ねが、きっとスキルアップの実感になります。

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スキルアップの方程式は、“コントロール” × “ディレクション”。
手段であるべきスキルアップが目的化すると、せっかくの知識もノウハウも経験も、自分の制御コントロールから外れてしまう。
焦ったり無理する必要はなくて、目指すもの正しいディレクションが見つかってから動いても、成長の実感は必ずついてくる。

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本記事がみなさんのワークハックになれば嬉しいです。


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