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ドリーム・チャイルド

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サイバーゴシックファンタジー『仮面師は微笑う』第5話(ウィングス文庫『Tears Roll Down ティアーズ・ロール・ダウン 2』第2話)。 〈白の王〉からの残酷なる贈り物─…
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2016年9月の記事一覧

Ⅴ.夢見てるのはどっち?-2

 奥のドアが開く音にアリスは振り向いた。現れたグリフォンはウェイターのお仕着せを脱いでラフな恰好になっている。彼は静かにドアを閉め、いつもと変わらぬ穏やかな顔で店内を見渡した。

「客ならもう全部引き上げたぜ?」

 毒トカゲを思わせるギラギラした深緑のネイルを塗り付けながら、顔も上げずにチェシャ猫が告げる。彼も既に着替えて私服姿だ。黒いランニングの上に柄もののシャツを引っかけ、ベルトや紐飾りがあ

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Ⅵ.Sweet Trap-1

 店の前でチェシャ猫と別れ、グリフォンは最初にエイダを見つけた場所へ戻った。警察に行く前に、どちらの方向から来たかなど確認しておこうと思ったのだ。

 そこはいくつかの街路が交錯し、カフェやレストラン、ブティック、書店などが集まった広場だった。ウィンターローズがある辺りよりずっと賑やかで、通りをまっすぐ行けば〈人形館《ドールハウス》〉へもそれほど遠くはない。

「どっちから来たか、覚えていますか?

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Ⅵ.Sweet Trap-2

 その頃エイダはすでに広場からずいぶん離れた場所まで来ていた。別にグリフォンから逃げ出そうとしたのではなく、手をつないで歩くうちにたまたまとある人物の姿が目に留まったのだ。

 それは、つい先ほどウィンターローズの店内でちらっと見かけた人物であり、エイダの記憶にある三人の人物のひとりでもあった。あのときは突然ものすごい勢いで飛び出して来たので、びっくりして固まってしまったが……。

 衝動的にエイ

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Ⅶ.夢の子-1

 長い長い初夏の夕暮れ。ほんのりと残照を留める静かな書斎で、レイヴンはひとりパソコン画面に見入っていた。何度も検索を繰り返しながら必要なデータを集め、醒めた表情でデータ群を一瞥すると彼は椅子の背に深々ともたれかかった。

 外はまだ昼間のように明るい。それでも日はだいぶ傾いて暖かい空気に涼風が混じり始めていた。街のざわめきが微風に乗って微かに響き、レイヴンはふと顔を上げた。物憂い金色の光がひっそり

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