『今のは、大人としてどうなんでしょうか?』という問い
急に、マスタード・イエローの「何か」がほしいと思った。
今まで一度も、試したことのない色だ。
いつも、白、黒、紺、ダークブラウン、グレーの私の服。
以前も書いたが、ストールやバッグに色を持ってくることで、その日の気分を調整している。
ある日、朝起きたら急に、自分が大人の女だという自覚だけが一人歩きする気分になっていた。
変な話だが、たまにある。
いつも、自分の年齢など気にしないし、気にする状況にも置かれていないのに、突然「待てよ。」と思うのだ。
「今のは、大人としてどうなんでしょうか?」
と自分に問う瞬間がやってくるのだ。
良い意味でも、悪い意味でも。
ある朝、突然、白いシャツやダークブラウンのセーターに、マスタード・イエローを合わせたら素敵じゃないかしら・・・と思った。
そして、暫くの間、そう思ったこともすら忘れていた。
マスタードといえば、MAILLEのマスタードを思い浮かべる。
茶色い粒入りの方の色合いも好きである。
辛味はなく、酸味と甘さ。
ツンと辛子の香りがして、食欲をそそる。
いや、まさに『酸いも甘いも噛み分ける』という言葉の通り。
「人生経験が豊富で人の心の機微や世間の事情によく通じている。」という意味らしいが、私がかつて想像し、なりたいと願っていた大人の女には、未だなれていないことを痛感する。
だからか。
その色が必要だと、突然閃いたのかしら。
身につけるものにマスタード・イエローは考えたことはなかった。
そして、暫くして巡り会ったのは、ざっくりとした麻のストールだった。
このざっくりしたマチエールなら、黄色の範疇の中では落ち着いていて、大人っぽい感じがした。
そして、意外にも軽い。
ざらざらとした感触で、ボリュームがあり、いつの季節でも体温の調節が可能だ。
大事に長く使えば、どんどん味が出ていくだろう。
そんなわけで、麻100%のストールを手に入れた。
私は、使い込んだ麻の感触が好きなのである。
それで、気分は大人なようですが、大丈夫ですか・・・私。
「今のは、大人としてどうなんでしょうか?」
そう自分に問い続ける。
たぶん、歳を重ねても。
ずっと。
それは、自分を律する『魔法の言葉』である。
シンプルでないことにはNOという。
筋が通らないことに異を唱える私でいい、と自分に許可する。
清濁併せ呑めないのは、昔からだ。
試行錯誤しながら、人生は続いていくのだ。
書くこと、描くことを続けていきたいと思います。